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原作崩壊した世界で男装王女は生き抜きたい  作者: 平坂睡蓮
第一部 第4章 試練の刻
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4.浄玻璃の鏡

 原作崩壊――私は原作のフリーデルトのように処刑される運命が嫌で、原作より早くフリードリヒとイリスを婚約させた。原作よりも早い婚約が、あるいは私というイレギュラーな存在がかき乱したせいで物語を崩壊させてしまったのかと思っていた。


 なのに、カラスが言うには原作はとっくの昔に崩壊していたと言う。フリーデルトという悪役の魂が死んでしまったことで、カラスが描いたシナリオはとっくに崩壊していた。

 そしてカラスはこの原作崩壊した世界を私にどうにか立て直して欲しいと、そういう思いで私の魂をフリーデルトの肉体にぶち込んだのだと。


『勘違いしないでもらいたいんだけど、俺は君に原作のように処刑されて欲しいだなんてこれっぽっちも思っちゃいない。むしろ君にはこれからも頑張って歴史をつくり、世界を発展させる力になって欲しい。君は先輩からもらい受けた大切なリソースだ。先輩の世界の方がこの世界よりも高次元だから、そこから来た君の魂にはとても力がある』

「つまり私は自由に生きて構わないってこと? あんたが望む世界の方向性に沿っていなくても、今まで通り好きに動いていいってこと?」

『まぁそういうことさ。……でも問題がある、そもそも何故フリーデルトの魂が死んでしまったのかって点だ』


 確かに。

 神の如き管理人が予定したシナリオを根底からぶち壊す荒技ができるなんて、一体何者?


「もしかして、それってシルビア王妃が残した呪いと何か関係あったりするの? あと呪いと言えば、300年前から王家が封じているおぞましき呪いって呼ばれている"ケイオス"ってのもあるし。どっちも原作の乙女ゲームにはそんな設定なかったけど」

『……そうだなぁ、ケイオスについては最後に説明するよ。シルビアの呪いについては今すぐに“見せる”よ』


 カラスはそういうと、モニターの前に一枚の鏡を置いた。そして鏡に何かケーブルのようなものを、嘴と羽を器用に使って差し込み始めた。


「鏡なのに何でケーブルが……」

『細かいことは気にしたらダメってもんだろ。これは“浄玻璃の鏡”っていうアイテムさ』


 浄玻璃の鏡――オタクの知識の中では割とマイナーなところだと思う。

 地獄で閻魔大王が死者の生前の善悪を見極める際に使う鏡で、それには死者の生前の行いが映し出される。


『俺がゲーム作ってる間にこの世界で何があったのか、それを知るために先輩からこの貴重な鏡をお借りした。少々これに手を加えて、死者の過去ではなく、任意の過去を見られるようにしてある』

「……管理人なのに、世界の過去ログみたいなのも見れないの? ほらアカシックレコードとか千里眼的なものとか」


 神様なら、管理人という名称からして分かりそうなもんではないかと思う。わざわざ別用途の浄玻璃の鏡を改造しなければいけないほど、過去を見るのが難しいのだろうか?


『……先輩の世界のオタク怖い。なんでアカシックレコードとかそんな知識まであるの? 浄玻璃の鏡も知ってるみたいだし。……いやー、参ったね。君の言う通り、管理人の権限で過去を見ることは本当なら可能なんだけど。事情があって、俺は管理者権限の一部を行使できなくて、過去ログを漁れないんだよね』

「は? 何で管理人でしょ?」

『はいはい、それも後で説明するからさ。浄玻璃の鏡とPCの接続が完了したから、何があってフリーデルトの魂が死んでしまったのかモニターに映すから良く見てね。……本来ここまで手出しするのは管理人としてマイナス査定だからあんまりやりたくないんだけど、こればっかりは君の力では真実にたどり着けないから特別だ。君は“手っ取り早く全部教えてくれたら良いのに”って思ってるだろ?』


 あからさまにギクッとした私は悪くないと思う。


「神様なら気前よくその辺全部丸っと教えてくれたっていいじゃないかって、普通思うでしょ。こっちは乙女ゲームの世界に放り込まれた挙句、原作崩壊して絶望したし、しかもその実態は私がフリーデルトに突っ込まれる前から原作崩壊修復不能レベルだったとか。酷くない?」


 自分で言ってて悲しくなってきた。

 夢小説とかにありがちな、悪役だけど最終的には逆ハーレム的展開もワンチャンあるんじゃないかとか、思わなかったわけではない。原作のフリーデルトは性格からして捻くれていたけれど、中身が私なら意外とその辺上手くやれるんじゃないかって。

 だというのに、そもそもの根底部分から原作崩壊修復不能レベルとかどうしろと? もっと私にボーナススキルとかチートアイテムとかくれたっていいんじゃないの、このカラス野郎。


『そうしてやりたいのも山々なんだけど、神の過度な干渉はマイナス査定だ。過去にあったことを見せること、それが許容できるギリギリのラインだ』


 そう言うとPCの画面は真っ暗になってしまった。

 一瞬壊れたのかバッテリー切れかと慌てたけれど、すぐにモニターには情景が映し出された。


 PCに接続された浄玻璃の鏡が過去を映し出した――。

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