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天高く馬肥ゆる

「おや、珍しい」

「……」

「食べている間に口を開かないのは感心だ。さすが我が執事」

「執事違いますー」

 部室で昼食と洒落込んでいたら例によって例の如く先輩がやってきた。それと執事でも専属運転手でもない。

 学祭も終わったので最近は送迎の頻度も落ちている。残念なことにゼロにはなっていない。何故だ。

「おにぎりとは君にしては珍しいね。しかも手作り……姉君かな?」

「いやこの歳になって別々に暮らしてる姉に食事作ってもらうわけないでしょう。握り飯くらい自分で作りますよ」

「しかしこの前君の部屋に行った時には、あまり自炊しているようには見えなかったが……」

 それも間違いではない。コンビニは生活する上で欠かせない友達だ。

「実家から米と栗が大量に届きまして。米はともかく栗の方は処理しきれないんで先輩もよかったら持って帰ってください」

 お裾分けとして本日部室に持ち込んだばかりので、残量は一切減っていない。

 先輩が机の上に置いた栗満載の袋を覗き込んでいるが、そういえば

 この人料理とか出来るんだろうか。

 少なくともおかゆは作っていたような気もする。

「ふむふむふむ」

「先輩がそう言って考え込んでる時ってろくなこと考えてませんよね」

「失敬な」

 私をなんだと思っているんだ、という台詞は先輩の代名詞のような気がしてくるから困る。

「少し貰うよ。小分けに出来るようなビニール袋はあるかい?」

「少しと言わずたくさん持って行って貰えると助かるんですが。ビニール袋ならこちらをどうぞ」

 先輩にビニール袋を差し出すと、何故か受け取らずに思案顔。

 かと思えば突然近寄ってきて食べかけの栗ご飯おにぎりをぱくりと一口。

「何やってんすか」

「ふむふむふむ、悪くはないがそこまでだな」

「いや味の感想は別にいらないんで」

 食事が減った。なんということだ。

「次は私がもっと美味しい料理を作ってやろう」

「胃薬の準備は怠らないようにします」

「だから本当に君は私をなんだと思っているんだい!?」

 先輩だとは思ってますよ。一応。

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