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しかしまわりこまれてしまった

「……流石に……中止にしようか長塚後輩……」

「そっすね。これは流石に無理です」

 ここの所先輩の機嫌を損ねる事態が多かったので、しょうがないここはご機嫌をとるターンだな、とデートになぞ誘ってみたのだけれど。

 全国的に猛暑日とかでとてもではないが出掛けるような状況ではない。

 先輩そんな身体強くないようだし。

「正直、講義棟からここにくるだけで死ぬかと思ったくらいだ」

 あついとろける、と呟きながら先輩が熱のこもりそうな長い髪を手早く纏めている。おぉポニーテルは良き文明。

 うっすらと汗の浮かんだうなじは良いよな、と思うがそれを口に出したらセクハラで投獄だ。社会的に死ぬ。

「どうした、女の身支度は見ないのがマナーだぞ」

 ふふん、とちょっと得意げに先輩がいう。

 こういう姿は久し振りに見た気がするが、どちらかといえば先輩といえばこっちだ。

「すみません、見惚れていたもので」

「なんだなんだ、私のご機嫌取りか。一応君にも罪の意識というやつはあったんだな」

 ふふふん、と笑う姿はかなり上機嫌だ。いやあんたデートに誘っただけで機嫌直しすぎだよ。チョロいな。

「あったから遊びに行くお誘いをしたんでしょうが。いやまあ流石に猛暑日に外で歩くのは自殺行為なんで自粛ですけども」

 埋め合わせもちゃんと考えますけども。

「というか、我々の場合は移動手段が徒歩か公共交通機関というのがネックだね」

「原付は二人乗り出来ませんからねぇ」

「長塚後輩が持っているのは自動車の免許なのだろう?」

 先輩専属のドライバーにでもなれとおっしゃるのだろうか。

「ペーパードライバー状態で同乗者付きはちと怖すぎてですネ」

「だが練習しないことには上達もしないだろう?」

 おおっとこいつは雲行きが怪しい。いや外の話ではなく。

「季節的にも良い感じだ。運転の練習も兼ねて避暑地にでもいこうじゃないか」

 自分の発案で想像が膨らんでいるのは先輩の目がきらきらしている。

 逃げるコマンド。知らないのか先輩からは逃げられない。

「ソッスネ。コンドイキマショウカ」

 ふふふふふん、と先輩が凄く楽しげになった。

 ちょっと事前にレンタカーでも借りて練習しておかないと本気でやべー。

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