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サバンナの村

作者: 高階 桂

      1


 冷たい石の上で、今村詩織は目覚めた。

 寝ぼけ眼のまま、身を起こす。

 妙な光景が、眼に飛び込んでくる。黒々とした石の柱。その向こうに見えるのは、雲ひとつない青空だ。‥‥色彩補正でも施したかのような、不自然なくらい青い空。

 詩織は視線を落とした。横たわっていたのは、石畳の上のようだ。しかも、かなり凹凸が激しい。表面は滑らかに仕上げてあるが、それでも出っ張りが身体のあちこちに当たって、痛い。

 ‥‥痛い?

 詩織は下半身を見下ろし‥‥そこで初めて自分が素裸であることに気付いた。

 夢の中だろうか。

 ぼんやりと、詩織はそう思った。昨夜はきちんとパジャマを着込んで、自分のベッドで眠ったはずだ。こんな石畳の上で、素っ裸で目覚めるわけはない。

「‥‥ああ、良かった」

 背後で、女性の声が聞こえた。

 本能的に、詩織は振り向いた。

 初老の女性が、石畳の上に正座していた。手入れの悪い黒髪と、面長の顔。麻を思わせる荒い繊維で編んだような簡素なワンピースを着ている。

 外国人?

 詩織はとっさにそんな印象を持った。喋った単語は日本語だったし、顔立ちも日本人のおばさんらしいが、なんとなく違和感がある。

 ‥‥いや、そんなことを考えている場合じゃなかった。裸なんだっけ。

 詩織は慌てて股間と胸を手と腕とで隠した。まだ十七歳である。相手が女性であっても、裸体を晒すことはやはり恥ずかしい。

「あら、ごめんなさい。‥‥これを、着て」

 中年女性が脇に置いてあった布の塊を手にして、詩織に差し出した。詩織はそれをひったくるようにして受け取った。‥‥胸から腕を放す時間を最小限に留めようとすると、どうしてもそういう動きになる。

 布の塊‥‥ややざらざらした感触ながら、どうやら衣服らしい‥‥で胸を隠しながら、詩織は周囲を素早く見回した。どうやら、ストーンサークルのような十数本の石柱が円形に立ち並ぶ石造りの遺跡みたいなところにいるようだ。ざっと見た限りでは、中年女性以外に人気はない。

 詩織は衣服を広げると‥‥中年女性が着ているのと同じようなワンピースらしい‥‥手早く着込んだ。夢の中であれなんであれ、全裸というのはどうも落ち着かない。

「本当に良かった。急に歳を取ったから、色々なことを忘れてしまって。手順を間違えたら、どうしようかと‥‥」

 中年女性が、喋る。一粒の涙が、皺のよった目尻から零れた。

「ねえ、あたし、夢の中にいるの?」

 詩織は訊いてみた。

「いいえ。夢ではありません」

 中年女性が立ち上がり、詩織の手を取った。やさしく引っ張り上げられ、仕方なく詩織も立ち上がる。

「お茶でも飲みながらお話しましょう。わたしの名は‥‥アイナ」

 中年女性‥‥アイナが名乗る。

「‥‥ええと‥‥詩織でいいわ」

「シオリ。とても素敵な名前」



 どうやら夢ではないらしい。

 アイナに手を引かれて歩みながら、詩織はそのように断定した。

 足の裏が痛いのである。今まで何千回と夢を見たはずだが、足の裏が痛かったことはない。

「ちょっと待って」

 詩織は足を止めた。

「どうしたの、シオリ?」

 アイナが訊く。

「足の裏が痛いのよ。裸足だもん」

 詩織は片足立ちになると、足の裏を手でさすった。

「そう‥‥あれが必要なのね。足につけるもの。なんて言ったっけ‥‥」

「靴のこと?」

「そう、靴」

 詩織はアイナの足を見た。裸足である。まわりの赤茶けた地面の上には、大小さまざまな石ころが散らばっている。アイナはそれらを踏みつけて平気なのだろうか。

「村まで行って、何か取ってきます。待っていてね」

 そう言い置いて、アイナがすたすたと歩み出す。

「待って‥‥とか言っても無駄でしょうね」

 詩織は諦め顔でアイナの後姿を見送った。片足立ちしていても仕方がないので、石ころの少ないところを探して、地面に腰を下ろす。

 周囲は見事なまでに平坦だった。三百六十度見回しても、山はおろか丘すら見えない。地面は赤茶けた土がむき出しになっているところと、背の低い枯れ藁色の草が群生しているところのまだら模様だ。樹はまばらにしか生えておらず、森などは見当たらない。その数少ない樹にしても、堂々たる立木と言えるものは皆無で、半数は人間の背丈よりもわずかに高い程度、のこりの半数は地面に這いつくばるように生えている。

 気温は高い。三十度近くはあるだろうか。だが、空気が乾燥しているせいか、暑苦しさはそれほど感じられない。

「サバンナ、かな」

 詩織は指で土をいじりながら、そうつぶやいた。動物もののテレビ番組などでよく見かける、ケニアやタンザニアあたりのサバンナに、景観はよく似ている。

「ライオンとか、いないよね」

 急に不安になって、詩織は身を低くしてあたりを見回した。動物の姿は、ない。

 ‥‥しかし。

 夢でないとしたら、ここはどこなのだろう。アフリカだとしたら、どうして全裸でそんなところに放り出されたのだろうか。

 詩織はしばらく頭をひねったが、合理的な説明はひとつも思い浮かばなかった。


 植物繊維を編んだシートのようなもので足を包み、同じく植物繊維を撚った紐で縛って固定する。

「これでいいでしょう」

 紐を結び終わったアイナが立ち上がる。

 詩織は数歩歩いてみた。これならば、痛くはない。

「ありがとう、アイナ」

「どういたしまして、シオリ」

 アイナが微笑む。

「ねえ、ここって、どこなの?」

 歩みだしたアイナに、詩織は尋ねた。

「ロンガ村です」

「どこの国?」

「‥‥国などという高度な概念は、ここにはありませんわ」

「じゃ、大陸は?」

「タイリク?」

 アイナが怪訝そうな表情で、詩織を見やる。

 ‥‥日本語は達者なようだが、アイナの教養はかなり制限されているようだ。

「質問を変えるわ。あなた、どこの人?」

「ロンガ村の者ですわ」

「日本人じゃ、ないよね」

「日本人‥‥もちろん、違います」

「あたし、なんでここにいるの?」

「ごめんなさい。わたしが呼んでしまったんです」

「‥‥なんで呼んだの?」

「それが、〈さだめ〉だからです」

「さだめぇ?」


 ロンガ村は‥‥貧乏だった。

 泥を塗り固めただけの壁。雑な草葺きの‥‥日本の古い民家に見られるような美しく整った藁葺きとは比べ物にならない‥‥屋根。汚れた布を垂らしてあるだけの出入り口。そんな粗末な円形の家‥‥いや、小屋といった方が適切か‥‥が、雑然と寄り集まっているだけだ。その数、ざっと三十戸くらいだろうか。

 小屋は、いずれも小さかった。大きいものでも直径五メートルくらい。高さは、屋根の天辺ですら詩織の身長よりも低い。窓などはもちろんなく、明り取りなのか換気口なのか、上の方に小さな穴がいくつか開いている程度だ。

 村の周囲には、耕作の跡が見られた。遠目でよくわからないが、野菜か何かを栽培しているようだ。

「‥‥アフリカじゃ、なさそうね」

 歩むふたりに気付き、近寄ってきた村人たちを見ながら、詩織はそうつぶやいた。肌の色こそ浅黒いが、顔立ちはアフリカ人のそれではない。もっと東洋的だ。

 身に纏う衣服も、村のたたずまい同様簡素だった。女性はアイナや詩織が着ているのと同様の、ワンピース。ただし、かなり着古してある。男性は腰にサロンのように布を巻いただけ。子供は‥‥全裸だった。

 村人はみな一様に細身で、背が低かった。大人の男性でも、詩織より背の高い者はいないようだ。

 ‥‥高いといえば。

 詩織は少し前を歩くアイナの頭の天辺を見た。アイナの身長は、173センチの詩織よりやや低い程度だ。この村の女性陣の中では、頭ひとつ高いだろう。

「ここが、わたしの住まいです」

 一軒の小屋の前で、アイナが歩みを止めた。入り口の垂れ布を捲くり上げ、詩織に入るように身振りで促す。

「‥‥お邪魔します」

 あまり気は進まなかったが、詩織はおとなしく中に入った。‥‥太陽が燦々と照りつける戸外から急に暗いところへ入ったから、中の様子はぼんやりとしか見えなかったが、誰もいないことは見て取れた。

 アイナが紐を取り出し、垂れ布を巻いて縛った。外の明るさが小屋の内部へと差し込み、ようやく細部まで見えるようになる。

 床は突き固められた土がむき出しになっていた。真ん中あたりがくぼんでおり、そこには黒く変色した石や灰、枝の燃え滓などが溜まっている。

 家具らしいものは、まったく見当たらなかった。植物繊維を編んだと思われる、座布団くらいの大きさの敷物とおぼしき物がいくつか。寝具なのか、あるいは衣類なのか、雑に畳まれた布の山がひとつ。かめが大小十個くらい。用途は定かではないが、石も大小五個ほど。薪が二束。備蓄食料なのか、それとも単なる焚き付けか、あるいは他の用途があるのか、乾燥した植物の葉のようなものが一山。食器か調理器具と思える土器が数個。壁には、道具類が吊るしてある。瓢箪を二つ割りにしたもの。擂り粉木のような棒。A4サイズくらいの皮革。石器時代を描くマンガに出てきそうな、石斧。隅に立てかけてあるのは、粗雑な作りながらどう見ても箒であった。

「お茶を淹れましょう」

 アイナが敷物を指し、座るように促す。


 ‥‥やっぱり夢ではないらしい。

 アイナが淹れてくれたお茶を飲みながら、詩織はそう結論付けた。

 ちなみにお茶は茶葉を使ったものではなく、なにかの実を焦がして香りをお湯に移しただけの、簡単なものだった。詩織は昔韓国料理店で食後に飲んだお焦げ茶を思い出した。あれほど香りはよくないが、そこそこ飲める。それに、どう見ても衛生状態が良くなさそうな村なので、一度沸かした水を飲めるのはありがたかった。

「わたしと力を合わせて、この村を救ってほしいのです」

 お茶を飲みながら、アイナが懇請する。

「救うって。まさか、ドラゴンと戦え、とか言うんじゃないでしょうね」

 どうも世間一般で言う異世界に来たらしい、と詩織は推測していた。異世界に召喚されて村を救う、などというストーリーであれば、小説であれ映画であれRPGであれ、そのあたりが定番だろう。

「どらごん?」

「あ、いや。冗談だから聞き流して」

「役立てて欲しいのは、あなたのその知識なのです」

 アイナが、手で周りを指し示すようなしぐさをした。

「ご覧になってお分かりの通り、この村はたいへんに貧しいのです。無事に大人になれる赤ん坊は、五人に一人くらいです。三人は、まだ乳飲み子のうちに死んでしまうし、残る二人のうち一人も幼いうちに死んでしまう。もちろん、正常に出産できずに死んでしまう赤ん坊も多いし、出産時に亡くなる母親も大勢います。あなたなら、それを改善できるはずです」

「‥‥ええと。あたし、出産はもちろん妊娠したこともないんだけど」

 ‥‥それどころか、セックスの経験もないんだけど。

 詩織は心中でそう付け加えた。

「それでもあなたは衛生とか消毒といった概念が普及した世界からいらした。それを広めてくれるだけで、この村は大きく変わるはずです。他にも、食料の増産や道具作り、細かい生活の知恵などあなたが持っている知識はこの村に大いなる恩恵を施してくれるはずです。わたしも協力させてもらいますが、急に歳を取ったので忘れていることも多くて‥‥」

 アイナが言葉を切り、切なげな表情を浮かべる。

「‥‥協力するのは吝かじゃないけど‥‥あたし、どうやったら帰れるの?」

「時間は掛かりますが、必ずもとの世界へと帰ることができます。それは、お約束します」

 アイナが、言う。

「ほんと?」

「本当です」

「なんでそこまで断言できるの?」

「それが、〈さだめ〉だからです」

 真顔で、アイナ。


       2


 一ヵ月後。

 詩織は、すっかりロンガ村の生活になじんでいた。

 最初の数日は、アイナの住まいに居候していたが、いまでは村人総出で作ってもらった専用の小屋を使っている。火の熾し方も覚えたし、火種を朝まで消さずに灰の中に蓄えておく方法も学んだ。

 村人たち‥‥全部で百二十人くらいいた‥‥の顔と名前もすべて覚えた。アイナと詩織のことは、特別な存在だと思っているらしく、皆一様に親切で、恭しいといっていいほどの態度で接してくれる。反対に遠慮がないのが子供たちで、なにかというとすぐにまとわりついてきて、遊びをせがむ。

 言葉も、だいぶ覚えた。文法はでたらめだが、単語を繋げることで簡単な会話くらいならできる。

「唯一慣れないのが、これよね」

 火にかけた小さな土器の中身を自作の菜箸でかき混ぜながら、詩織はぼやいた。

 食事である。ロンガ村の主食は、ひえの仲間と思われる作物の実を粉にして、水で練った柔らかいペースト‥‥あえて例えると白玉のようなものだろうか‥‥だった。不味くはないが、さりとて旨くもない食べ物だ。おかずはスープだけのことが多く、大豆に似た豆を煮てから潰し、岩塩を加えて発酵させたうえに乾燥させたものをベースに、ありあわせの野菜やそこらへんに生えている草を入れて煮込んだものが多い。味は出汁が利いていない味噌汁みたいで、これまた不味くはないが旨くもない。

 魚が採れる所はどこにもなく、狩りも積極的に行わないし、畜獣もいないから肉類の供給もない。明らかに蛋白質不足だ。‥‥みんな小柄なわけである。

 脂肪分だけは、ふんだんにある。村の周囲に生えている樹の中に、油脂を多く含む実を生らせるものがあるのだ。実は生のまま食べることができる‥‥ちょっとアボガドに似た味がする‥‥し、より多くの脂肪分を含む種は煮込んだあと乾燥させると、何ヶ月も蓄えておくことができる。油を採るには、種をすりつぶして湯に混ぜれば、脂肪分が分離して上に浮かんでくるので、それを掬うだけでいい。出来損ないのマーガリンみたいな味と香りだが、スープの風味付けに使ったり、野菜類と一緒に食べたりと、なかなか重宝する。

 この一ヶ月で、詩織の指導によりロンガ村の衛生観念はかなり改善された。出産は一回だけだったが、手洗いと湯を使った消毒を徹底させたせいか、母子ともにいまのところ健康である。共同トイレも多数設置したし、下肥を直接畑に撒くことも止めさせて、堆肥作りを始めさせた。

「そろそろいいかな」

 詩織はスープを火からおろすと、二つ割りの瓢箪で少し掬って味をみた。満足すると、稗のペーストをスープに浸して、食べ始める。ちなみに、食事は一日二回である。ロンガ村には、昼食という概念はない。

 食事をなんとか改善しようと、詩織は色々と工夫を重ねていたが、いずれも失敗に終わっていた。調理器具が質の悪い土器しかないので、炒るとか炒めるとか揚げるという調理が不可能なのだ。沸騰した水よりも高い温度に長時間土器を晒すと、割れてしまうのである。油があるのだから、それで野菜炒めを作ったり、天ぷらを作ったりするだけで、食卓は‥‥いや、この村での食事は土間に座ったまま土間に置いた皿から瓢箪と手で食べるのが基本で、食卓というものはないのだが‥‥かなり豊かになるはずだ。

「土器作りから工夫しないとだめでしょうねぇ」

 稗のペーストを口に運びながら、詩織はぼんやりと考えた。土器がもろいのは、高温で焼くことができないからだ。単なる焚き火では、高温は得られない。炉が必要である。

「まあ、先の話よね」



 大事な話がある、と言ってアイナが詩織を連れ出した先は、最初の日に詩織が目覚めた遺跡であった。

「なんなの、これ」

「古代の魔導装置です。その昔、この地には高度な魔導を使う人々が住んでいたと思われます。でも、何らかの原因でその文明は滅んでしまった」

「じゃ、村のみんなはその末裔ってこと?」

「おそらくそうですね」

「で、大事な話って、なに?」

「これを、見て下さい」

 アイナが、遺跡の中央にある台座のような部分を指差す。

「文字?」

 円筒形の台座の側面に、びっしりと細かい文字が掘り込まれている。もちろん、詩織が見たことのない文字であった。

「言うまでもなく、ロンガ村のみなさんは文字を持っていません。これは、古代の魔導文字です。この魔導装置のいわば使用手引きですね」

「アイナは読めるの?」

「一応は。‥‥昔は完全に読めたのですけれども、急に歳を取ったせいか、今はいささか自信がありませんが」

 恥ずかしげに、アイナが言う。

「これは、なに?」

 詩織は台座の上に見えている半透明の石を指差した。大きさも形もほぼテニスボールくらいで、下半分が台座に埋め込まれているようだ。上から覗くと、下の方がわずかに紫色の光でぼんやりと光っているように見える。

「この魔導装置が蓄えている魔導力の量を表しています。あなたを召喚するのにすべての力を使いましたから、空っぽに近いですね。時間が経つにつれ、勝手に溜まっていきます」

「ふうん。満タンになるまで、どのくらいかかるの?」

「まんたん?」

「あ、その魔導力がいっぱいになるまでのこと」

「八年くらいです」

「‥‥効率悪い装置ね」

 詩織は苦笑した。

「この魔導装置を使えば、あなたを元の世界へと送り返すことができます」

「ほんと?」

「はい。しかし、それには最大の魔導力が必要です」

「‥‥ってことは、八年経って魔導力がいっぱいにならないと、あたしは帰れないの?」

「そうです。残念ですが」

「‥‥そうか」

 詩織は肩を落とした。

「ごめんなさい、シオリ。〈さだめ〉とはいえ、あなたを召喚してしまって」

 アイナが、頭を下げる。

「まあ、八年くらいなら、ここで暮らしてもいいかな、って気になってきたしねえ」

 詩織は正直にそう言った。不便なことばかりだし、ろくな食べ物もないが、詩織はロンガ村での暮らしを楽しみ始めていた。村人は善人ばかりだし、子供たちもみな可愛い。なによりも、みんなが詩織のことを頼りにしてくれていることが、心地よい。この村にいる限り、詩織は尊敬され、無条件に愛される重要な存在なのだ。元の世界へ帰れば、どこにでもいるありふれた、ちっぽけで無力な女子高生に逆戻りである。たしかに、安逸な生活だ。おとなしく勉強していれば、衣食住に不自由はしない。友人もいる。便利な機器や道具に囲まれている。だが、ロンガ村で得られるような充実感は、決して味わうことはできないだろう。生きることの実感とでもいうのだろうか。漫然と日々を過ごしていた元の世界より、こちらの方が楽しいとさえ言える。

「あ、雲が出てきたよ。ありゃ雨になるね。その前に、帰ろう」

 詩織は地平線の彼方を指差した。白い雲が、湧き上がりつつある。



「これが最後の雨かも知れませんね」

 激しい雨を眺めながら、アイナが言う。

「いよいよ乾季か」

 詩織は腕を組んだ。

 雨季半年。乾季半年というのが、このあたりの気候だそうだ。一応一年中枯れない泉がすぐそばにあるから、飲み水と畑に撒く水には不自由しないが、乾季はやや食料が不足する。それを補うのが、雨季のあいだに蓄えた保存食である。

「今年の乾季はシオリのおかげで豊かに送れそうですね」

 アイナが微笑む。

 近くに岩塩の露頭があるので、塩には不自由しない。詩織は村人に塩蔵の方法を伝授したのだ。新たに建てられた食糧倉庫には、大きな甕に蓄えられた塩漬け野菜がたっぷりと収められている。もちろん、以前から村人が作ってきた乾燥食品も蓄えてある。

 遅々たる歩みではあるが、ロンガ村は日々豊かになってゆく。


       3


 詩織がロンガ村で生活を始めてから、六年の歳月が経過していた。

 村は栄えていた。乳幼児の死亡率は劇的に下がった。人口は百六十人を超えた。小屋の数も増えた。食糧生産も順調で、乾季でも豊かな食生活を送れるようになった。

 余裕ができた詩織は、様々なことに挑戦した。料理の風味付けに使える植物を探して遠出をしたときには、野生の芋の一種を見つけた。ジャガイモのように種芋で増えるその芋は、いまでは村の主食のひとつになっている。様々な道具も作り上げた。炉も工夫し、より高温で土器が焼けるようになった。詩織はいまや村のみんなと同じように、裸足で歩いていた。足裏の皮は、すっかり分厚くなっていた。

 アイナは、三年ほど前からスターラという名の少女を弟子にして、魔導技術を教え込んでいた。魔導装置の魔導力の溜まり具合を示す石は、徐々に紫色に染まりつつあった。


「伝染病だわ‥‥」

 詩織が気付いた時には、すでに村中にその病気は蔓延していた。

 詩織も感染した。下痢が続く。大人はなんとか耐えているが、幼児の中には脱水症状から重篤となる者も出た。

 孤立した村の、どこに感染源があったのか。鳥などの野生動物が持ち込んだのだろうか。

 防疫の知識くらいなら詩織にもあったが、ここまで病気が蔓延したのでは手の打ちようがない。おそらく、赤痢のような病気だと思うが、詩織にできる治療法は整腸効果のある薬草をありったけ集めて、煎じて飲ませるくらいしかなかった。

 その夜、ひとりめの犠牲者となる乳児が身罷った。夜明け前に、三歳の女の子が息を引き取る。

「アイナ。もう、だめだよ」

 詩織は泣きじゃくりながら、アイナに抱きついた。おそらく大人は生き延びるだろうが、体力のない子供や老人は死ぬだろう。六年の歳月をかけて作り上げてきた幸福な村の暮らしが、菌かウイルスかはわからないが、ほんのちっぽけな生物のために葬り去られようとしている。

「ひとつだけ、村を救う方法があるかもしれません」

 厳しい表情のアイナが口にした。

 詩織ははっと顔をあげた。

「なに? どうするの?」

「‥‥魔導装置を使うのです。まだ魔導力は不十分ですが、なんとかなるでしょう」

「アイナにできるの? やって! 早く!」

 詩織はアイナの手を握った。

「でも、今魔導装置を使えば、せっかく溜まった魔導力を使い切ってしまいます。シオリが元の世界へ帰る日が、遠のきますよ」

「それがどうしたのよ! みんなを助けることができるのなら、死んだっていいくらいよ。あと八年待つことくらい、なんでもないわ!」

 詩織は言い切った。


 どうやったのかは詩織にはよくわからなかったが、遺跡の中でアイナが複雑な身振りをしながら何かを唱えると、ロンガ村の方角が淡い緑色の光に包まれた。

 効果はてきめんだった。詩織は、腹部の違和感が消えていることに気付いた。火がついたように泣きじゃくっていた赤ん坊が、安らかな寝息を立てている。共同トイレにこもっていた人たちも、怪訝そうな表情で出てきた。子供たちの何人かは、早くも小屋の外に出て追っかけっこを始めている。ほんの数分前までは、お腹を抱えて呻いていたというのに。

「助かった‥‥」

 詩織は地面に膝をついた。嬉し涙が、とめどなく流れる。

 翌日確認すると、台座の上の球は透明になっていた。



 疫病の翌年、詩織は結婚した。

 相手の青年は、村の中でもっとも長身であった。それでも、詩織よりは低かったが。

 数ヵ月後、詩織は妊娠したことに気付いた。


 アイナが体調を崩したのは、それから間もなくだった。

「ごめんなさいね、シオリ。わたしはそろそろ死んでしまうわ」

「馬鹿言わないでよ。まだ、若いんだから」

 横たわるアイナの枕元で、詩織はそう言った。

「わたしはそろそろ五十歳よ」

「あたしの元の世界じゃ、まだ若いわよ」

「ねえシオリ。お願いがあるの」

「なんなりとどうぞ。でも、遺言なら聞かないわよ」

「まだ生まれていないけど、この子の名付け親になっていい?」

 かなり膨らんだ詩織の腹部をいとおしげに撫でながら、アイナが言う。

「もちろんいいわよ」

「アイナ、って、名付けてほしいの」

 アイナが、すがるような眼つきで詩織を見上げる。

「いい名ね。でも、男の子だったら、どうするの?」

「生まれてくるのは、女の子よ。わたしには、わかるの」

「いいわ。この子の名前は、アイナよ。聞こえるかしら、アイナちゃん」

 詩織は胎児に呼びかけた。

「それともうひとつ。この子には、魔導を学ばせて欲しいの」

「‥‥どうやって?」

「スターラに弟子入りさせて。この子、絶対に魔導の素質があるから」

 詩織はにっこりと微笑んだ。

「魔導なら、あなたが教えればいいじゃない」

「無理よ。この子が生まれるまで、わたしは生きていないわ」

「そんなことない。すぐに、元気になるわよ。アイナには、絶対あたしの子を抱き上げてもらうんだから」

「わたしも‥‥あなたの子供を見たいとは思うけど‥‥それは無理なのよ。〈さだめ〉に反してしまう」

 不意に、アイナが嗚咽を始めた。

「泣かないで、アイナ」

 詩織はアイナの細い肩を抱いた。もともとスリムな女性だったが、寝込んだせいでさらに痩せたようだ。

「シオリ、あなたに会えて、ほんとうに良かった‥‥」



 数日後、アイナは就寝中に身罷った。

 シオリが無事出産したのは、その二ヵ月後だった。アイナの予言は当たり、赤ん坊は女の子であった。詩織はその子を約束通りアイナと名付けた。


       4


 その年の乾季は、異常だった。

 今まで一度も枯れたことのない泉が、枯れた。

 水の蓄えはあったが、飲み水だけに使っても、雨季までは到底持たない。

「疫病以来の危機ね」

 詩織は決断した。

「魔導装置を使いましょう。スターラ。あなたなら、雨を降らせるくらいできるわね」

「しかし、シオリ‥‥」

「このままでは、みんな死んでしまうわ。魔導装置を使って」

 詩織はスターラを鋭い視線で見つめた。

「‥‥はい。わかりました」

 スターラの魔術で、乾季にも関わらず三日間にわたって雨が降り注ぐ。泉の水は復活し、雨季が訪れるまで枯れることはなかった。

 半分以上溜まっていた魔導力は、ふたたびゼロに戻った。


「母さまは、元の世界へ帰りたいの?」

 五歳になったアイナが、問う。

「昔はそう思ってたけどね。でも、今は父さんもアイナもいるし。帰っても、誰もあたしのこと覚えていないと思うしね」

 いつしか詩織は三十路に突入していた。

 すでに、元の世界での生活は記憶の彼方にあった。ロンガ村で生まれ育ったような気がするほど、こちらになじんでいた。

「ねえ。母さまがいた世界は、違う言葉を喋ってたって、ほんと?」

 アイナが、訊く。

「本当よ。ここの言葉とは、かなり違うわ」

「教えて」

「いいわよ」

 それ以後、日本語のレッスンが、ふたりの日課となった。幼いが聡明なアイナは貪欲に知識を吸収し、詩織は半ば忘れかけていた日本語を甘酸っぱい郷愁と共に思い出しつつ、アイナに教え続けた。



 故アイナとの約束通り、詩織は六歳になった愛娘アイナをスターラに弟子入りさせた。

「たしかに、アイナには魔導の素質があるようですね」

 スターラが、言う。

「頭の回転の速い子だしねえ」

 詩織は目を細めて、他の子供たちと遊んでいるアイナを見やった。背の高い両親の遺伝子を受け継いだために、アイナは六歳ながら同じ年頃の子供たちの中では飛びぬけて背が高かった。

 ロンガ村は順調に発展を続けていた。人口は二百人をあっさりと超えた。実験的に、家畜の飼育も始まっていた。遠方で捕まえてきた小柄な鹿に似た動物を、繁殖させようという試みである。成功すれば、蛋白質不足は一気に解消されるはずだ。



 ロンガ村を、再び旱魃が襲った。

「魔導装置に頼るしかないわね。スターラ、頼めるかしら」

「アイナにやってもらいます」

 スターラが、まじめな顔で言う。

「‥‥あの子、まだ九歳よ?」

「九歳でも、力はわたしより上です」

 スターラが、にやにやと笑う。

「悔しいけど、あっさり抜かれました。あの子が魔導を使う方が、失敗の可能性が少ないですわ」

 詩織とスターラが見守る中、アイナが遺跡の中で呪文を唱える。

「終わったわ」

 呪文を唱え終わったアイナが、疲れた顔で石畳にへたり込む。

「成功ね」

 スターラが、空を見上げた。白い雲が、急速に空を覆い始める。

 詩織は台座の上を見やった。石は完全に色を失っていた。


       5


「わたし、母さまを元の世界へ返してあげられると思うの」

 達者な日本語で、アイナが言う。

 第二の旱魃から六年が経過していた。アイナは十五歳の、背の高い少女に成長していた。

「いいわよべつに。もうあたしは、ここで死ぬまで暮らす覚悟を決めたから」

 同じく日本語で、詩織も答えた。ふたりだけで会話する時には、極力日本語を使うようになっていた。

 詩織は四十歳になっていた。もとの世界で言えば、四十歳の女性といえば頑張ればまだ子供を産めるくらいの年齢だ。だが、ロンガ村ではすでに初老の域であった。

 夫は去年亡くなった。スターラも、詩織より若かったにも関わらず死んでしまった。ロンガ村に初めて来たときに大人であった村人は、すでに全員亡くなっている。詩織は成長期に充分な栄養を採って育ったから、元々の村人よりは長生きできるだろうが、それでも最近自分が老け込んでいることには気付いていた。長年の粗食が、身体を蝕んでいるのだ。おそらく、六十前に死ぬことだろう。

「もう少しで、魔導装置の銘文を完全に理解できるようになると思うの。そうしたら、もとの世界へ戻すだけじゃなくて、もっと色々なことができるはずよ」

 アイナが言い張る。

「いいのよ。あたしは幸せなんだから。こんなにかわいい娘がいるんだもの。それだけで、充分だわ」

 詩織はアイナを抱きしめた。



 母さまを元の世界へ返してあげたい。

 アイナは毎日遺跡にこもって研究を続けた。

 詩織がこの村にどれほどの恩恵を施したか、アイナは大人たちに色々と聞いて知っていた。自分と同名の魔導を能くする者によって、十七歳でこの村に召喚された母さま。それから長い間、母さまは尽力し、貧しい村を豊かに作り変えてきた。全滅の危機さえ、何度も救ってきたのだ。こうやってアイナが魔導の研究に没頭できるのも、村が豊かなおかげだ。

 村は恩返しをしなければならない。母さまは、もっと幸せになるべきだ。


「キシュバ」

 アイナは、年下の友人の一人に声を掛けた。

「なあに?」

「急で申し訳ないんだけど、あなた、魔導を学ぶ気ない?」

「あ、あたしが?」

 キシュバが、眼を丸くする。

「そう。わたしが見る限り、あなたには才能があるわ。ぜひ、わたしが習得した技術を、学んで欲しいの」

「やる! 教えて!」

「じゃ、今日からさっそく始めましょう。わたしの後継者は、あなたよ」



「‥‥ちょっと休ませて」

 魔導装置の端に、詩織は腰掛けた。

 日に日に、体力は弱りつつあった。まだ四十二歳のはずだが、村からここまで歩いてきただけで息切れしてしまう。

 アイナが、その隣に座った。十七歳になったアイナは美しかった。身長の伸びは止まってしまったが、それでも170センチ近くある。

 しばらく休んだ詩織は、立ち上がった。

「で、なにを見せてくれるの?」

「こっちよ、母さま」

 アイナが、詩織の手を取って引っ張り、魔導装置の中へと入ってゆく。

「見て。魔導力がいっぱいになったの」

 アイナが、台座の上を指し示す。

 石が、完全に紫色に染め上げられていた。

「ありがたいことに、最近は旱魃も疫病もなかったしね」

 詩織は微笑んだ。八年もの長い間、村は危なげなく繁栄していたのだ。人口はそろそろ三百に届こうかという勢いで伸びている。

「わたしね、この銘文を完全に理解できるようになったのよ。それどころか、応用までできるようになったの」

 楽しげに、アイナが告げた。

「そう。良かったわね。本当に、あなたは魔導の才能に恵まれていたのね」

 詩織はそんな愛娘の姿に目を細めた。

「魔導力も溜まったし、これを使って母さまを幸せにしてあげるわ」

「あたしより、村を幸せにしてあげてよ」

「いいえ。もう村は充分に幸せになったわ。こんどは、母さまが幸せになる番よ」

「あたしは充分幸せよ。村のみんなも好きだし、あなたのことも大好き。ここで静かに老いて死んでいけたら本望だわ」

 詩織は本心からそう言った。元の世界にいれば、もっと長生きできただろうか、これほど充実した人生を送ることはできなかったはずだ。ごく平凡に、さながら寿命を浪費するかのような、無駄な生き方をしてしまったに違いない。

「いいえ。母さまは元の世界へと帰るべきだわ。ほんとうの母さまと父さまのことを慮ったことはある?」

 大人びた口調で、アイナ。

「‥‥娘のことはとっくに死んだと思ってるでしょうね」

「母さまが召喚されたのは十七歳。わたしと同い年よ。もしわたしが、急にいなくなったら、母さまはどうお思いになるの? 悲しいでしょ? 苦しいでしょ? 辛いでしょ? 同じ思いを、母さまの母さまと父さまは味わったのよ」

「そう言われるとね。両親には、済まないと思ってるわ。でも、いまさら元の世界へ帰っても‥‥」

 たぶん、両親はまだ健在だろう。だが、下手をすれば自分たちよりも老け込んだ娘が突然現れても、困り果てるに違いない。

「この魔導装置は、異世界へ渡るだけじゃなくて、他にも色々なことができるのよ。時間を遡ることも、可能なの」

 アイナが、台座をいとおしげに撫でた。

「時間を遡る‥‥」

「そう。二十五年前。母さまが召喚された時に、遡ることもできるの。わたしは、その方法も解明したわ」

「遡って、どうしようというの?」

「母さまを、二十五年前の元の世界へ戻せるのよ」

 アイナの言葉に、詩織は苦笑した。

「遡っても、意味はないわ」

 十七歳の女子高生が消え、代わりにひどく老け込んだ女性が現れるだけではないか。

「もうひとつ、できることがあるの」

 アイナは呪文を唱え始めた。

「アイナ、何をしようというの?」

 詩織は問う。アイナが無視して、呪文を唱え続けた。台座が、ぼうっとした光を発する。水色の光だ。

「これでいいわ。さあ、母さま。わたしを抱いて」

 アイナが、詩織の手を引く。ふたりは、台座のそばで固く抱き合った。

「大好き、母さま。愛してるわ。だから、許して」

「どうしようというの、アイナ?」

「母さまは、二十五年時間を遡って、元の世界へと帰るの。わたしとは、これでお別れよ。ごめんね」

「やめて、アイナ。あたしは、アイナと別れたくないの」

「もう遅いわ。これは、〈さだめ〉なのよ。魔導装置は発動している。もうひとつ、大好きな母さまに贈り物があるの」

「贈り物?」

「そう。二十五年という、失われた時間を戻してあげる。‥‥今までありがとう」

「アイナ!」

 台座の光が増す。水色の柔らかな光が、抱き合う母娘を包み込む。

「わたしと別れて寂しいかもしれないけど‥‥ごめんね。わたしは寂しくないんだ。すぐにでも、母さまに会えるから」

「アイナ‥‥まさか」

 ふっと、水色の光が消えた。

 抱き合っていた母娘の姿も、消えた。

 石の紫色も、消えていた。



 アイナはゆっくりと身を起こした。

 素裸だった。魔導装置は、生身の人間以外を〈飛ばす〉ことができないのだ。

 立ち上がったアイナは、台座の上を確認した。石は、紫色に輝いている。魔導力は、充分に溜まっているようだ。これならば、すぐにでも召喚を行えるだろう。

 アイナはよろよろと魔導装置から出た。急にめまいに襲われ、しゃがみ込む。

 相当体力は落ちているようだ。これが、老いというものなのだろうか。

 手をまじまじと見る。皺だらけだ。顔を撫でてみる。造作はほとんど変わっていないようだが、皺が感じられる。髪も、そうとう痛んでいるようだ。

 詩織を二十五歳若返らせる代償として、アイナは自分を二十五歳老けさせたのだ。愛する母さまのためなら、それくらいなんでもないこと。

 とりあえず、アイナはロンガ村の方向へと歩みだした。二十五年前‥‥自分が生まれる何年も前の、ロンガ村へと。

 シオリを‥‥母さまを召喚するのは、もう少し落ち着いてからでいいだろう。


お読みいただきありがとうございます。本作のテーマはあくまで「母と娘」であります。決して時間SFではございません。よくあるネタとオチですが、すっきりと短く纏めてみました。現在、長編連載中です。よろしければご一読下さい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 未来から来た人物が過去で何かすることで事態が発生するなら、まじめに誰がそう仕組んだのか考えると頭がおかしくなる。 未来から来た娘が異世界召喚を行うならまず前提として娘が生まれないといけないが…
[一言]  うわっ、切ない話(TT) 目頭が熱くなった。 冒頭から、日本語が通じる、「急に年をとってしまって」発言から「ん?」と思っていましたが、同名のアイナと名づけるあたりでひょっとしてと思ったらこ…
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