第5話 ここって…
よろしくお願いいたします!
「…んで、こいつはなんで死んでないんだ?」
「わ、分かりません…」
こいつ…辛うじてとはいえ俺様の魔法を食らって生きてやがる…
「魔法耐性が異常に高いのかもしれません…」
「だが、俺様の魔法をもろに食らって生きるなんて魔法耐性の高い魔族の中でも上位貴族ぐらいだぞ?人間なら…勇者ぐらいか…?」
人間が勇者召喚をしたのか?
「勇者ですか…ですが、何故こんなところに?」
「…俺を倒しにきたか?」
「それにしては様子がおかしかったですね…それに装備もまともなのを着けていませんし…それに強そうにも見えませんねぇ…」
俺の前で真っ黒焦げで倒れているこいつからは、強者の威圧は感じられなかった…
「…これ以上考えても意味はないか…あとはこいつに聞くしかあるまい『ウォーター』」
「!?痛い痛い痛いいったあああい!!!」
あ、こいつ全身火傷してんの忘れてた…
「おい、こいつを治せ」
「分かりました。『ヒール』」
~真冬視点~
「痛い痛い痛い痛いいた…くない!?」
急に痛みが引いたぞ!
「おい、小僧」
ん?目の前に魔王っぽいおっさんとインテリ系のイケメンがいる…外見は四十代と二十代ぐらいか…
「なんですか?」
「お前は誰だ?」
「人に尋ねる前に自分から名乗るのが礼儀だと思いますよ」
情報収集は大切だよね!
「…お前自分の状況分かってんのか?」
俺は魔王を討伐する勇者!で、ここはどこだ?
「ここは魔王城、俺は魔王オースティンだ」
「魔王!?魔族の王と書いて魔王?」
「そーだが?」
…ま、まずいまずいまずいまずいまずいまずい!!!何故こーなった!?
「で、お前は誰だ?」
どーするどーするどーするどーする!?
あなたを討伐しに来た勇者です。って言ったら絶対殺される!なんか適当な…
「ちなみに適当なこと言ったら殺す。」
「俺はあなたを討伐しに来た勇者です。」
言ってしまったああああ!!!
魔王怖すぎ!!あれが、殺気ってやつ!?
思わず即答しちゃったよ!
「そうか…人間が勇者を…」
ん?人間が勇者を?あの魔王は誤解しているのか?だとしたらこの誤解はまずい…このまま、人間を滅ぼそうってなったらやばい!
「い、いえ!人間ではなく、女神によってここに召喚されました!!」
代わりに女神を殺してください!
「女神だと?…だとすればあれは、女神の加護か…」
加護?加護って何の話だ?
「人間側が召喚したのではないなら殺す必要はないか…?」
よっしゃ!とりあえず命は助かっ「ですが女神の加護持ちは非常に危険です!」なに余計なこと言っちゃってんのおおおおおおお!!!!!
「それに自らこいつはあなたを討伐しにきたと言ったではありませんか!」
「…それもそうか。」
言ったけども!もう一ミリもそんなこと思ってないよ!
「すまんが、お前は危険過ぎる。だから死んでくれ」
魔王からさっきとは比べ物にはならないほど濃密な殺気が放たれた。俺は確実に死ぬと本能で理解させられた…
こんな異世界召喚って…
「じゃあな、『エク「やめてっ!!」』!?」
そこで俺はあまりの恐怖によって気絶した…
~?視点~
「リリィか…」
「お父様!こんな弱き者を殺してはなりません!」
「我が娘よ…こいつは勇者なのだ。我らの敵だ」
「で、ですが!この方からは殺意を感じませんでした!敵意もない弱き者を殺すのですか!」
「だが、こいつは危険なのだ。いま殺さねばこいつが我々を殺しにくるかもしれぬのだぞ?」
「で、ですが…」
お父様の言うことも正しい…いや、自分が間違っているのだろう…
でも…
「それじゃあ!お母様や弟を殺した人間と同じじゃないですかっ!!!」
「!?だ、だが…」
「いつまでこんなことを繰り返すのですか!?」
「リリィ…そうだな…」
「お父様…」
「だが、こいつは危険過ぎる。」
…え?
「魔の森へ」パチンッ
人間の男は消えていた…
「お、お父様!い、一体何を!」
「あの男は『魔の森』へと転送した」
…魔の森?
「そ、それじゃ!殺したも同然じゃないですか!」
「普通なら死ぬだろうな…」
た、助けに行かないと!!
「行かせん。『ロック』」
体が…う、動かな…い…
「娘を塔の最上階へ!」
「はっ!」
は、早く助けないと…死んじゃう…
お読みいただきありがとうございます!
主人公は息をつく間もないですねw
次からは魔の森編です!
感想、アドバイス等ございましたらどんどんください!




