魔女王様の最凶の能力。
さてさて、私もお仕事を開始したいと思うわ。
まあ、面倒な話しだけど王様の仕事なんて書類仕事ばっかりよねぇ。めちゃくちゃ面倒くさいのよ、これが。何かもう、判子押せば良いんじゃない的な感じ。
優秀な執事と宰相がいるから、まだマシみたいなんだけどねぇ。
書類仕事している合間に私の能力について頭の中で整理してみる。
私の能力は"医療系チート"っていうのか・・・・・?
他にも、魔力が人間の中ではものすごく強いこともそうかもしれない。そのおかげで、古代魔法だったり、種類を問わず沢山の魔法が使えるしねえ。
でも、それ以上に便利なのがこの"医療系チート?"なのよ。
ようするに、私は前世の記憶のおかげで人体の解剖学に始め、病気や薬なんかの豊富にある知識の中から、魔力を代価に全てを具現化できるって事。それは、私の視界に映る範囲ならばどこでも良く、例えば人体の構造を理解している私にとって、視界に映る人間の体内に出現させることなんて簡単なことだわ。ただし、出現させることが出来るスペースがなきゃダメ。実験してみれば、骨の中や肉の中は無理でも、胃袋とかはオーケーみたいだった。
想像してみてよ、尽きることが無いほどの凶悪な魔力を宿した私がその魔力を代価にすれば、現代にあった注射器やメスだけでなく、手術台も、医療用ノコギリも、劇薬・毒薬の類も、・・・・・病原菌だって具現化出来てしまう。視界に映る全ての敵の体内からメスが飛び出す様は想像を絶するよね。まさに、最凶の力と言えると思うんだけどなぁ。
反対に人助けにもこの力は使える。
本当に死んでればどうにもならないけど、腕や足が千切れたくらいならば魔力を使って縫い合わせるように引っ付けることが出来る。だからこそ、宙を飛んだレディウスの首を繋げることが出来たのよ。
知ってる?人間ってね、首を撥ねられてもすぐには死なないのよ。前世の世界の西洋で処刑に使われていたギロチンって有るじゃない?それで首を撥ねられてから数十秒間瞬きをし続けた首もあったらしいわ。だから、余裕でレディウスは助ける事が出来たというわけ。
要するに、人体解剖が頭にあれば魔力が続く限り、どんなに破壊されていても細胞自体を瞬時に正常化させることも出来ると言うこと。身体を構成する全ての物は細胞の集まりと言えるしね。
・・・・・結果としては、大概の病気や怪我も治すことが出来てしまう能力とも言えるのよねぇ。
だから、私は狙われる。強欲な王族や貴族をはじめとした糞どもに。
私を側に置き、自身に何かあった時の道具として、政治の駆け引きの駒として、酷い物では私の生き血を飲めば不老不死になるなんて物もある。
だから、私は国を創った。私に従う者だけが私の力の恩恵を受けることが出来る国を・・・。
数多の種族が私の庇護下に入ろうとやってくる。それは今でも続いてる。
そうじゃない人間もいるかもしれないけど、大きな国になれば、なるほどに糞どもが多くいる。その糞どもは様々な種類がいて、美しい容姿のエルフを奴隷にしたがる者、獣人達を殺し合わせ見世物にする者、弱い立場の存在を虐げる者等が代表的ね。前世にもいたかもしれないけれど、それを取り締まる存在はあったのに、この世界にはそれが無いように感じる。
私は、正義の味方では無いけれど、忠誠を誓い自分の庇護下に入った者くらいは護ろうと思う。
ある意味それが、人の命を救うべく学んでいた"前世の私"の知識を悪用する私の罪滅ぼしなのかもしれないわね。
・・・まあ、ストレス発散とも言えるかも。だって、悪人は何をしても文句を言える立場じゃ無いもんね。




