黒薔薇の魔女王誕生。
幾日ぶりのことか、私は暗い、薄汚れた牢の中より、後ろ手に縄で縛られて、民衆の集まる広場に引きずり出された。
私の惨めな姿を見た民衆どもは歓喜の声を上げ、私への罵詈雑言と死を望む声を張り上げる。私より先に引きずり出されていた、私の側で最後まで私を励まし続けてくれていた"少年"の首が処刑人の斧の一撃で飛んでいった。
その光景を両目に映した私は、己の中に暗く燃え上がり、爆発する時を待っていた熱い力の本流を躊躇うことなく爆発させたのであった。
その私の中にあった魔力は、圧倒的な私の知識とイメージによって、一瞬によって構成され、飛んでいったはずの"少年"の首と身体をつなぎ合わせ、私を拘束していた愚か者どもをただの肉片に変えた。
紅い血溜まりの中に、己は死んだと思っていただろう呆然としている"少年"に声をかける。
「選びなさい。ここで再び得たその命を、私に捧げるか、私に背を向けるかを。
どちらを選んでも許してあげる。
でも、私にその命を捧げるというなら覚悟しなさい。
私は、光り輝く栄光の道は選ばない。選ぶのは血と怨嗟にまみれた奈落へと続く茨の道よ。」
「殿下、我が命は貴女に与えられたもの。
たとえ我が身が奈落の底へ落ちることになろうとも、最後のその時まで付き従いましょう。」
"少年"は迷うことなく私を見上げ、血に汚れた私の手の甲に口づけ、忠誠を誓った。
身体を紅い血で濡らした私は"少年"を従え、"現代"で学んだ"医療の知識"を利用して、圧倒的な"想像力"を元に己の"魔力"で具現化した"メス"や"注射器"のみならず、"感染病"の"原因菌"をばらまき、私の敵を全て・・・・・殲滅した。
ここに私、黒薔薇の魔女王の圧倒的な魔力と現代の未知なる知識によってもたらされる物語は始まったのである。
他の連載を書き始めたばかりなのに、頭に思い浮かび書きたくてたまらなくなってしまいました。
もう一つの連載を書きながらですので更新はゆっくりペースになるかもしれませんが、よろしくお願いします。