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一年で一番長い日 キリ番リクエスト はんぺんの冒険 おまけ

こんにちは。ぼく、はんぺんです。

このあいだね、ぼく、すごい ぼうけんを したの。ほんとだよ。


とっても おてんきの いいひ だったの。なつきくんは ぴくにっくに いくのを すごく たのしみに していたのに、きゅうに いけなく なりました。パパとあおいちゃんの つごうが わるくなったんだって。


だから、なつきくんは ぼくといっしょに おでかけすることに きめました。ひとりで おそとにでたら だめって パパもあおいちゃんも いってたけど、ぼくといっしょだもの、ひとりじゃないよね。


ふたりで きぶんよく おそとを あるいていたら、しらないおにいちゃんが ぼくを なつきくんから とりあげました。ひどいよ。なつきくんより ずっとずっとおにいちゃんなのに、どうして そんなことするのかな。


ぼく、すぐに なつきくんの ところに もどりたかったのに、そのおにいちゃん、ぼくをつれて はしりだしました。なつきくんが ひっしで おいかけてくるのを わらいながら みています。


いじわるなことしちゃ、いけないのに。いじわるなことすると、ぜったい じぶんに かえってくるって パパもいってたのに。このおにいちゃん、しらないのかなぁ。かわいそう。


おにいちゃんは ぼくを こうえんの きのうえに ほうりなげて、どこかへ はしっていきました。


ぼく、なつきくんの ところに はやくもどりたかったけど、ぬいぐるみだから うごけないの。とても かなしかった。


そしたら、とてもおおきな おとこのひとが ぼくを きのうえから おろして、なつきくんに わたして くれました。


うんめいに ひきさかれた ぼくたちを さいかいさせてくれて ありがとう。


そのあと、なつきくんが この おおきな おじさんと いっしょに いてあげてというので、ぼくは おとなしく おじさんに だっこされて いました。このおじさんは、さかばやし という なまえだそうです。


さかばやしさんは、ぼくを だっこしながら、なぜだか ねむってしまいました。まるで なつきくんが おひるね するときみたい。


あとで なつきくんから きいたら、ぼくを だっこしてると さかばやしさんは りらっくす? できるんだって。とっても おちついた きもちになって、それで ねむく なるんだって。


ふしぎ。


それいらい、さかばやしさんは ときどき なつきくんを たずねてきて、ぼくを かりにきます。ほんとうだったら なつきくんは ぜったいに ぼくを そばから はなしたり しないんだけど、さかばやしさん だけは べつみたいです。ぼくも、さかばやしさんのこと すきだから いやじゃ ないんだ。


だってね、こんな おおきな おとなの おじさんなのに、むねの あたたかさと そのおくにある ゆうがたに いちばんぼしを みつけたときの ような さびしいきもちが なつきくんと おなじなんだ。


さかばやしさんが ぼくを なつきくんから かりるのは、いちにちだけ。だけど、いちどだけ みっか かりていたことがあるの。さかばやしさん、なつきくんに でんわで あやまってた。


ぼくも そんなに ながいあいだ なつきくんに あえないのは はじめて だったから さびしかったけど(おしょうがつのじけん の ときは べつだよ。あのときは ぼく ほんとうは なつきくんの そばに いたもの)、ぼくを だっこしているあいだ、さかばやしさん ごはんも たべなかったんだ。


なにか つらいことが あったのかなぁ。だから、ぼくは さかばやしさんを なぐさめて あげたくなりました。なつきくんも ぼくと おなじ きもちだったみたいだよ。


そのことが あってから、つぎに なつきくんに あいにきたとき、さかばやしさんは おおきな くまのぬいぐるみを つれてきました。ぼくは しろいいぬ だけど、くまさんは ちゃいろです。


ぼくを なつきくんから かりている あいだ、さかばやしさん、ぼくの かわりに くまさんを おいていくことに したんだって。なつきくんが さびしく ないように。ぼくも、ぼくのいないあいだ なつきくんのこと しんぱいだったから、くまさんに なつきくんのこと よろしくって おねがいした。


うん、ぼくたち ともだちに なったんだ。


くまさんは ふだんは さかばやしさんの おうちにいます。さかばやしさん、いそがしくて あんまり いえに かえってこないから さびしいけど、かえってきたら、かならず くまさんを だきしめて、「ただいま」って いってくれるんだって。


そうそう。くまさんの なまえ、がんも っていうんだ。なつきくんが つけたんだよ。さかばやしの おじさんが なつきくんに なまえを つけてくれるように たのんだんだ。


ぼくは しろいから はんぺん。くまさんは ちゃいろいから がんも。なつきくん、はんぺんの つぎに がんもが すきなんだ。なつきくんの すきな がんもは、ぎんなんと うずらのたまごが はいってるんだよ。


あ、ちゃいむの おと。さかばやしさんと がんもが きたみたい。きょう くるって きのう れんらくが あったんだ。わあい。おともだちが きてくれるって うれしいね。


さかばやしさんが なつきくんや パパやあおいちゃんと おしゃべりしている あいだ、ぼくたち、おたがいに きんきょうほうこく と じょうほうこうかん するんだ。なつきくんと さかばやしさんの ために、ぼくたち、いつも いっしょうけんめい なんだよ。


だって、ぼくたちは がんもとはんぺん。いやしの めいこんび だもん。


おまけは「はんぺんのつぶやき」でした。

「がんもとはんぺん」はsakabayasiさんのアイディアです。こんなところで使わせていただきました。


以下、ブログの方に書いていたあとがきっぽいもの。

=====

今回、sakabayasiさんのお名前を頂いた「酒林」という人物。

実は、今の話(注:『一年で一番長い日』)が終わったら出そうと思っていたキャラクターなのでした。ジキルとハイド、は無理でも、大魔神、いや、それも違うか。トミーとトミコ? まあ、そんな感じのON-OFFの差が激しい人物のつもりで考えていたのです。


そういうわけなので、<俺>や夏樹とのかかわりをきちんと書いておかなければならなかったのでした。実はこれでも足りなくて、本当はもっと色々絡めたかったのですけれど、長くなるので抑えました。夏樹と酒林だけの話にすればさらっと短くて済んだのですが、それでは寂しいと思い、こんな感じになりました。

=====


大魔神・酒林と<俺>の絡む長編は、いつか書きたいと思っています・・・


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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もこっちの<俺>も、<俺>はどこでも変わらない。
『俺は名無しの何でも屋! ~日常のちょっとしたご不便、お困りごとを地味に解決します~(旧題:何でも屋の<俺>の四季)』<俺>の平和な日常。長短いろいろ。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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