おまけ その2
三月三日。ひな祭りの日に何かあったようです。
「と、ともはるくん?」
「何ですか、義兄さん?」
「そ、それってバーバリーのコートに見えるんだけど」
「よく分かりましたね」
「いや、高そうだし」
「そうでもありませんよ」
「そ、それにそのスーツ」
「はい?」
「それってポールスミスかな?」
「ええ」
「駅前の高級紳士服店のディスプレイに同じようなのがあったから」
「そうなんですか」
「もしかして、そのネクタイも?」
「そうですよ」
「その出で立ちでそのマフラーするの、やめてくれよ! 頼むから! 変だろ、浮いてるだろ、貧乏くさいだろ!!」
「えー、どうしてですか、義兄さん。せっかくのあなたの手編みマフラーなのに。この配色! 素晴らしいじゃありませんか。僕、手編みのマフラーなんかもらったの初めてだから、とってもうれしくって」
「・・・」
「目が揃ってないのがまた、本当に手編みって感じでいいなぁ」
「・・・お前、ひな祭りの時のこと根に持ってるだろ?」
「何のことです? 僕、義兄さんに何かされましたっけ?」
「智晴・・・」
「ふふ」
智晴、圧勝。
三月三日は智晴くんのお誕生日です。
<俺>の桃の節句話は、近いうちに『何でも屋の<俺>の四季』http://ncode.syosetu.com/n5805bw/ に投稿する予定です。




