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2016年黄金週間の<俺> 1  5月5日 雑貨マン

今年五月五日にちらっと公開していたのと全く同じです。既読の方はスルーしてください。

五月五日の子供の日は、商店街のイベントで<雑貨マン>になり、千円以上お買い上げのお客様にタワシを配った。二千円以上でタワシと食器用スポンジ、三千円で三分計れる砂時計、五千円で東欧風のお洒落なマグカップを一客。


<雑貨マン>って何かって?


それは、雑貨屋のゆるキャラ(?)。いつかの年には和菓子屋の<柏餅の妖精さん>に扮したけど、今年は雑貨屋の<雑貨マン>なんだ。


ネーミングが安直なのは分かってる。だけどさ、雑貨屋店主が「タワシマンはどうだろう……いや、アロマポッターとか箒マンとか……」なんて悩んでるから、つい「雑貨屋だから、雑貨マンでいいじゃないですか」と言ってしまったんだ。


タワシマンとかアロマポッターとかだと、何の店か分からない。だから、分かりやすく<雑貨マン>。こういうのはストレートなのがいいんだ。うん。


頭にはタワシに見える茶色い張りぼてを被り、白い全身タイツの背中には黒いフェルトで作った「雑貨マン」の文字。腰の周りにスポンジとタワシを繋いで作ったスカートふう腰蓑を装着し、右手に木のおタマ、左手に木のお盆の裏に持ち手を付けたのを盾のように持つ。


もう何が何だか分からない。だけど、この訳の分からない雑多な感じの造形が、「雑貨屋」を視覚的に表していて大変よろしい、と商店街の店主たちの間では評判が良かった。


お客さんたちにもウケた。


<柏餅の妖精さん>の時は、ゆるゆるふわふわゆらゆらと踊っていたけど、<雑貨マン>の動きはバッキンガム宮殿の衛兵をイメージし、おタマとお盆をカッコ良く振りながら商店街中を練り歩いた。──それって本当にカッコ良いの? とか聞かないでほしい。


あくまでイメージです。


お客さんを福引の場所に案内したり、乞われてポーズを取ったり、雑貨屋の前で謎のパントマイムもどきを踊ったり。今回は動きやすい格好だったんで楽だった。


最近は百均に押されがちな雑貨屋だけど、店に入って品物を見れば何故かその時一番必要なものが見つかるという評判があり、何とか元気に生き残っているようだ。また、この辺りではここの店にしか無いという棕櫚箒を目当てに来店するお客様も多いという。


この日の売り上げは、いつもの1.5倍だったとか。


ほくほく顔の店主から明日も来てほしいと頼まれたので、他の依頼の合間に顔を出す予定。


それにしても……同じ着ぐるみ系なのに、<柏餅の妖精さん>より<雑貨マン>のほうが恥ずかしいのは何故だろう。


……

……


いや、こういうのは深く考えたら負けだ。俺はただ頼まれた依頼をこなすのみ。それが何でも屋の美学というものよ……。


ふっ。

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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もこっちの<俺>も、<俺>はどこでも変わらない。
『俺は名無しの何でも屋! ~日常のちょっとしたご不便、お困りごとを地味に解決します~(旧題:何でも屋の<俺>の四季)』<俺>の平和な日常。長短いろいろ。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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