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別の年の<俺>  父の日 おまけ

ポイントがまた微増。数字が増えるとやっぱりうれしいです。

ひとときのお時間を当作品にいただき、ありがとうございます。

近頃、「何でも屋さんのTシャツが面白い」とご近所で評判? らしい。

グレートデンの伝さんの飼い主、吉井さんから聞いたんだけど。


今朝、散歩のために伝さんを迎えに行ったら、着てたTシャツを見た吉井さんに「それは何の柄なんですか」と訊ねられてしまった。たまたまヴォ○ニッチ手稿柄だったんだけど、俺としては「未だ解かれたことのない暗号? らしいです」としか答えられなかった。


伝さんの散歩を終えたら、次はセントバーナードのナツコちゃんの散歩。伝さんと違ってお転婆なまま来てしまってるナツコちゃんを連れて公園コースを回ったら、もう汗だくだ。


次は野田の爺さんの将棋の相手をする予定だったんで、出掛ける前に汗臭くなったTシャツを着替えた。それはたまたま算額プリント柄だったんだけど、爺さんには「何じゃ、そりゃ。そんな柄のTシャツがあるのか?」と呆れられた。


これは娘からもらった、父の日のプレゼントなんです・・・と控え目に主張してみたら、爺さん、しばらく黙ってた。


「そ、そのなんだ。なかなか個性的な趣味で、良いんじゃないか、あー・・・」


不自然に咳払いしながら視線を彷徨わせる爺さん。どうしたんだろ? ・・・個性的かぁ。俺だってちょびっとマニアックかな、とか思っちゃったもんなぁ。ごめんよ、ののか。ちゃんと色々考えてくれたのに。


「面白い柄のTシャツは、お客さんとの話題作りに役立つし、声も掛けてもらいやすくなるからって・・・」


「なんと!」


爺さん、改めて算額プリント柄を見た。


「よく出来た娘さんじゃなぁ・・・」


「ありがとうございます。自慢の娘なんです」


ののかのことを、褒められるとうれしい。とてもうれしい。俺の顔面は今、でれでれに笑み崩れている自信がある。


「きっと、一緒に暮らしてるお母さんもいい人なんじゃろうなぁ」

「はい・・・俺にはもったいないほどの女性でした」


俺が子持ちのバツイチだってこと、殆どの顧客の方々はご存じなのでこんな会話になる。


「まあ、なんだ。将棋の前に、その算額解いてみるか」


「えっ!」


「何を驚く? 話題作りになるであろうというせっかくの娘さんの心尽くし、有り難く頂かないでなんとする」


え? これって解けるの? この謎の図形が? ああ、算数の問題だもんな、解ける人には解ける、のか・・・? それにしても、説明文がちょっと読みにくいと思うんだけどなぁ。あ、爺さん、虫眼鏡出してきた。解く気満々だ。


・・・

・・・


最終的に、野田の爺さんは算額の問題を、解いた。解いてしまった。凄い。俺も、久しぶりにこういう純粋な数学の問題に取り組んで、懐かしい気持ちになった。


爺さん、父の日にもらったTシャツには他にどんな柄があるのかを聞いてきて、次回はバージェス動物群柄を着てくるようにとリクエストしてきた。図書館からわざわざ図鑑を借りてくるらしい。


バージェス動物群柄はいいけど、ヴォ○ニッチ手稿柄をリクエストされたらどうしよう? あれって解きようが無いんだけど・・・


それはともかく。ののかと元妻の「つかみOK」プロデュース(?)Tシャツのお陰で、俺は野田の爺さんから次回も仕事をゲットすることが出来たのだった。将棋、正直いって強くはないけど、俺頑張るよ。


ありがとう、ののか。ありがとう、元妻。ついでに智晴。

20140706

5/6~5/9

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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もこっちの<俺>も、<俺>はどこでも変わらない。
『俺は名無しの何でも屋! ~日常のちょっとしたご不便、お困りごとを地味に解決します~(旧題:何でも屋の<俺>の四季)』<俺>の平和な日常。長短いろいろ。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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