別の年の<俺> 父の日 3
作者名をユーザー名の「有沢 鵤」からペンネームの「月見月葉月」に変えました。
一枚目の太陽系柄で、天文学好きやSF好きにアピール。
二枚目のバージェス動物群柄で、古生物学に関心を持つ人にアピール。
三枚目の髑髏柄で、ロックな人(?)にアピール。若者にも受けるかも。
四枚目の謎柄で、神秘主義的なものが好きな人にアピール。
五枚目のマンボウ柄で、のんびりやさんや海が好きな人にアピール。
六枚目の算額柄は、数学好きにアピール。一緒に問題を解くといいかも。
七枚目の月月火水木金金+カレーライス柄で、いつでも仕事請けますよとアピール。ミリタリー好きにも受けるかも。
・・・
・・・
まにあ・・・個性的! うん、個性的だな。ちょっと個性的すぎるけど、ののかの選んでくれた柄だもん、パパ、気に入っちゃったな!
はっはっは。
ひきつりそうになる口元をなんとかかんとか堪えていると、智晴がひと言。
「義兄さん、何だか目が虚ろになってますよ」
うるさいわ!
面白そうに笑う元義弟を軽く威嚇し、俺は今着ているシャツを脱いた。可愛い娘のくれたTシャツを着て、撮影会に臨むのだ!
それから俺は、智晴の構えるデジカメの向こうにののかがいるつもりで、色んなポーズを取った。
一枚目は両手で輪を作って軌道を表わし、
二枚目では身体をくねらせたポーズでアノマロカリスになり、
三枚目では駅前に時々いるギターを持ったうた歌いの若者を真似た立ちポーズをし、
四枚目では肩をすくめて首を傾げて「この謎は解けない」を表現し、
五枚目では両手を揃えて頬に添え、ぼーっと眠るマンボウのつもりに、
六枚目では電卓を持って計算するポーズを取り、
七枚目ではカレースプーンを握ってイラストのカレーライスを食べる真似をした。
時々ポーズに修正を入れながら、智晴は淡々とTシャツを着た俺を撮影してゆく。
「・・・僕はつくづく、姪っ子と義兄に弱いなぁ」
そんなことを呟く智晴。姉にも弱いことを俺は知っている。
「ありがとう、智晴。付き合せて悪いな」
本当、世話になりっぱなしだ。
「いいんですよ、別に。僕も義兄さんに用があったので」
急にそんなことを言う智晴。
「え? 俺に用って?」
「伝言です」
「誰から?」
わざわざ伝言・・・。誰? ののか? 元妻?
俺が首を傾げていると、智晴は物憂げに溜息を吐いた。
「自分で連絡すればいいのに、意表を突きたいとかなんとか言ってね」
「意表って」
なんじゃ、そりゃ?
「義兄さんとの関係では、<風見鶏>って名乗ってるんでしたっけ。その<風見鶏>からの伝言です」
「え? 何で<風見鶏>が智晴に・・・!」
<風見鶏>というのは、時々俺に接触してくる性別年齢全て不祥の情報屋だ。ちょっとした偶然からネット越しに知り合ったけど、俺から連絡を取ることは滅多に無い。連絡手段がやたらめったら面倒だということもあるし、平凡に生きてるただの何でも屋の俺には、<風見鶏>が扱うような特別な情報は必要無いということもある。
「何で僕にって、そりゃ意表を突くためです」
「・・・俺の?」
「そう。義兄さんの」
「・・・」
確かに意表を突かれた。
──何で智晴に。
そう俺に思わせることが<風見鶏>の狙いなら、その狙いは見事に当たったといえる。
<風見鶏>の悪戯っぽい笑い声が、耳元で聞こえた気がした。
これを書いた当時、「何を目指してどこまで行くんだ!」とセルフ突っ込みを入れてました。
<風見鶏>に関しては、目次の一番上にある「<俺>と愉快な仲間たち?」をどうぞ。




