表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
172/308

別の年の<俺>  四月 寒の戻り余波 1

翌日。


朝、グレートデンの伝さんの散歩に続き、タロの散歩を終えてから、病院まで石田さんの様子を見に行った。昨日に比べたらかなり回復していて、ホッとした。


念の為、あと二日ほどは入院しているらしい。石田さんからは改めて愛犬タロの世話を頼まれたので、快く了承した。


それにしても、昨日の混乱の中、保険証を忘れなくて本当に良かった。あれがないと、後から色々面倒だからなぁ。




買い物代行したり、雨で痛んだ古い板塀を簡単に修理したり、小学生の算盤塾送迎なんかをやってるうちに今日も一日が終わる。夕方の散歩では、タロに「明後日にはじーちゃんが帰ってくるからな」と話しかけたりもしたんだが、タロはやっぱり元気が無かった。可哀想だけど、こればっかりはなぁ。じーちゃんはちゃんと帰って来るんだから、堪えろ、タロ。


そんなこんなで、遅くなった夕飯。疲れたせいか酸っぱ甘いものが食べたくなった俺は、イワシの南蛮漬けに挑戦してみた。スライサーで薄く切って水に晒したタマネギと、同じく薄く棒状に切った人参を一緒に漬け込んでみると、けっこういい感じ。これで後、残ったたまねぎのヘタと乾燥ワカメで味噌汁でも作るかな、というところで、古道具屋の慈恩堂さんから明日のヘルプ依頼が来た。


なんと、店主真久部さんも、この寒の戻りに油断して風邪を引いてしまったんだそうだ。

寝込んでいる間、店を閉めておくことが出来ればいいのだが、明日はどうしても開けないといけないのだという。何でも、断れない来客が来るのだとか。


慈恩堂の店番か・・・気が進まないなぁ・・・


そんな俺の気持ちは百も承知の真久部さんは、ここぞとばかりに高い報酬を約束して来る。そうなると、万年ふところが寒い俺としては、断るという選択なんか出来ないわけだ。もったいなくて。


くぅっ! 策士め!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もこっちの<俺>も、<俺>はどこでも変わらない。
『俺は名無しの何でも屋! ~日常のちょっとしたご不便、お困りごとを地味に解決します~(旧題:何でも屋の<俺>の四季)』<俺>の平和な日常。長短いろいろ。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ