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いつかの年の<俺> 藤の蔓 その3

わけが分からなくてぼんやりしているうちに、住職から藤の蔓を切ってもらった男性が、韋駄天のように境内を駆け抜けて行った。すぐに車のエンジン音が聞こえる。


ヴォン、ヴォン、ヴォー、ヴロロロロ

キュキュッ!

ヴ、ヴォーン、ヴォー・・・・・・・


遠ざかるF1みたいなエンジン音。何をあんなに慌ててるんだろう。事故らなきゃいいけど・・・


「大丈夫でしょう。日頃は安全運転をなさる方です」


俺の心の声が聞こえたかのように、住職は言った。

日頃は、って。今日はあんまり安全じゃないように思うんだけど。


そんな俺の思いをよそに、住職は園芸用の枝切り鋏を布で丁寧に拭っている。


「この鋏は、こういう時のために縁側の床下に置いてあるんですが、久しぶりの出番でした」


「はぁ・・・」


やたら慌ててる男性と、藤の蔓と、住職。

──ダメだ。俺にはやっぱりわけが分からない。


「あの・・・さっきのあの方は、一体どういう・・・?」


恐る恐る訊ねた俺に、住職は事もなげに答えた。


「葬儀社の社員さんなんですよ」


何ですか、それ。

あああ、さらにワケワカメに!


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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もこっちの<俺>も、<俺>はどこでも変わらない。
『俺は名無しの何でも屋! ~日常のちょっとしたご不便、お困りごとを地味に解決します~(旧題:何でも屋の<俺>の四季)』<俺>の平和な日常。長短いろいろ。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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