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いつかの年の<俺>小話 ホラー映画はいかが? 2
昨日の依頼は、結局断った。ジャケットの裏に書かれたあらすじや解説、あおり文句によると、どうもクライマックスあたりがスプラッタ・シーンの連続らしいんだよな。
血が吹き出す! 内臓が飛び出る!
・・・作り物とはいえ、心臓に悪い。それに──父と母のことを思い出す。二人が殺された日のことを。
もう過去のことだけど、未だに夢に見ることがある。
というわけで、依頼者の濱中さんには知り合いのホラー映画好きを紹介することにした。『シエラデコブレの幽霊』とかいう、マニア垂涎のホラー映画の16mmを所有しているという彼なら、どんな怖い映画でも、微に入り細に渡って語り尽くしてくれるだろう。
彼の語りは、聞いた人によるとあの稲川淳二にも勝るとも劣らないという。
頑張れ、濱中さん。
リアルにチビるかも知れないけど。
20100421-20100422