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ある年の<俺>の皆既日食

今日も曇り。たまに小雨。


昨日の大雨のあおり、というより、お陰かな? 今日は樋掃除の依頼が多い。この辺りには昔からの林を一部残したような公園もあるし、街路樹もある。だからだろう、まだまだ現役のところをきっつい風雨に毟られました! みたいな生々しい緑の葉っぱが、あちこちに引っかかってる。


あ・・・


なんか、さーっと空が暗くなった。曇りだから元より明るくはなかったけど、それよりももっと・・・何ていうか、和室用でよくあるような二重輪っかの照明のうち、ひとつの輪をふっと消したような、そんな感じ。


そっか。今日は日食かぁ。


皆既日食だったっけか。こんな天気だからすっかり忘れてた。そういえば昔、子供の頃、「皆既日食」の「皆既」を「怪奇」と間違ってて、すごく怖いものだと思ってた。弟に笑われたけど・・・


ぼーっと曇り空を見上げてる間に、また元の明るさに戻った。蝕の始めから蝕の終わりまでの時間はもっと長いらしいけど、地上からの見かけ上、ずれた月の背後から射す太陽の光は、やっぱり強烈だってことだな。


もっとも、俺の住んでるこの辺りから見える範囲だと、元々太陽は全部隠れはしないらしいが。


天岩戸に籠ってしまった天照大神が、アメノウズメノミコト&バックバンドの賑やかさに少しだけ戸を開けた時も、こんなんだったのかもしれないな。

ほんの少しの隙間からでも、眩しい光が射す。


次にこんな日食が見られるのは、二十六年後だってニュースで言ってた。


二十六年後かぁ・・・その頃には、もうののかも結婚してて、俺にも孫の一人や二人は出来てるかもしれない。


・・・

・・・


よその男に可愛い娘を取られるかと思うと腹立たしいけど、幸せになってくれるといい。うん。パパはののかの幸せを祈ってる!


けど・・・相手の男、絶対一発は殴ってやる・・・

ふふ、ふふふ。


2009.07.22

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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もこっちの<俺>も、<俺>はどこでも変わらない。
『俺は名無しの何でも屋! ~日常のちょっとしたご不便、お困りごとを地味に解決します~(旧題:何でも屋の<俺>の四季)』<俺>の平和な日常。長短いろいろ。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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