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take16:今日はオムライスです

 4限目の授業が終わって昼休みに入り、机の上にお弁当を広げたアザカ。今日もその向かいにはマナミがやってきて、椅子を逆向けにして座った。

 彼女はいつものように勝気スマイルを決めてから

「フーテ・ミッターフ アザカ!」

 と友の挨拶。それにアザカはトロンとした目を向けて

「ふーて・なーふおんと マナミ」

 言えばガクっとマナミは突っ伏した。

 そして突っ伏したままに言う。

「うぐぐ。そうきたかアザカ。た、確かにワタシはオランダ語で挨拶をした。そしてアザカはオランダ語で挨拶を返してくれた。そこまではいい。すごくいい。しかし問題はその意味だ。ワタシのは『こんにちわ』という言うなれば二人の織りなすドラマの始まりを示す挨拶なのに対し、アザカお前のは『さようなら』という終わりを示す挨拶だ。これは一体どういうことだ?」

「それはもはや言うまでもないことだと思うマナミよ。つい昨日同じ時間帯になした自分の所業をちょちょいと振り返って見ると良い」

「昨日にワタシがやったこと?? ん~、はてさてワタシは一体何をやったものか」

 言いながら、マナミが隠し持っていたハシをすっとアザカのお弁当に伸ばそうとしたとき

「ちょっと待ってみようかツインテールの少女マナミよ」

「ちょっと待ってみるぞロングポニーの少女アザカくん。……もぐもぐもぐ」

 と、待たずにお弁当のハンバーグを一口で消したマナミ。それにアザカは世界終焉(アポカリプス)を見るような目を向けてから、一瞬。やがて両手で顔を覆い

「ううう。予想通りだよ。予想通り過ぎるよマナミ。一限目終わった時に『今日のお弁当はハンバーグなのである』といった時から機嫌いいと思ってたらあまりに予想通りの展開がまさかの一口目で来たよ。ううう」

「あ、うん。ごめん。やっぱりいきなりハンバーグ全食いはマズかった?」

 頭をポリポリしつつ言うマナミに、アザカはシクシクと顔を左右に振って

「ううう、それは別にいいんだよ。食いしん坊ダブルキャノン腹ペコ娘ツインテール・ザ・マナミに今日のご飯がハンバーグ宣言した時からこれはもう謹呈する気満々だったからそれは別にいんだよ。ううう」

「お~いアザカ~。アザカはいま『泣いてる女の子』に分類される上にメインディッシュをロストした身だからワタシはあまり強いことは言えないが、いま結構ユニークなニックネームをワタシはつけられなかっただろうか?」

 アザカがそれに顔をあげ、トロンとした目を向けていった。

「むむ、ハンバーグだけで良いのかマナミよ?」

「いやむしろ、ハンバーグとか食べてよかったのかアザカ?」

「それはもしかして、ハンバーグのないハンバーグ定食は存在するのかという(しょく)への疑問を呈しているのか?」

「いやそこまで事態は複雑でないぞ」

「そうだろう。単にマナミが食いしん坊ダブルキャノンだと言えば収束する事態だからな」

「100歩譲ってもダブルキャンはない」

 とマナミがツインテールを流しながら言えば、アザカは黙ってカバンからもうひとつのお弁当箱を取り出し、

「まぁ結論から言えば、私にはまだ食べるべきものがあるからな。題してお弁当第二号」

 そう言ってフタを開けると、中には形の崩れたオムライスが入っていた。

 マナミがそれを覗きこみ、

「む、これはなんとも予想外の展開。アザカくん、事情を説明してくれたまえ」

「うむ説明しよう。説明するからそのポテトちょっと置いて聞いてくれると私は嬉しい」

「えっと、はい」

「実はいまマナミが食べたのはいつも姉上が作ってくれている平常通りのお弁当だ」

「なんとワタシがいま食べたのはアミ姉様の手作り弁当だったのか!? なんということだワタシはもう死んでもいいかもしんない!」

「死ぬ前にぜひとも事情は聞いてほしい」

「死ぬこと自体を止めて欲しかったな今のは。それで、そっちのお弁当はどういう事情でアザカは持ってきたのかね?」

 言いながらマナミがオムライスをマジマジと見れば、アザカがうむと答える。

「これはミミが作ったお弁当なのだ」

「なんとミミが!?」

 マナミはいちいち驚いてからオムライスを覗きこんだ。

 よく見ればケチャップで『ばくはつ』と書かれている――ようにも見えないことはない。

 アザカが腕を組んで頷き、

「左様。ミミが作った」

「へ~、すごいなぁ。ミミが料理かぁ」

「ああ、それが本当にすごいのだ」

「ちょっと味見してもいいかねアザカくん?」

 アザカはそれに、『話を最後まで聞いてからだ。あと、お弁当に残ったデミグラスソースをニンジンで掃除しつつ食べるのももう少し待ってほしい』と言ってからこう告げた。

「どのぐらいすごいのかと言うと、具体的には最初にひとくち食べた姉上が『たいそう美味しいわミミ。さすがわたしの可愛らしい妹ね。ところでいまちょっと急用を思い出したからベッドで横になってくるわ』と言ったきり、部屋から出てこないのだ」

 心なしか、マナミのハシが後退したようだった。それにアザカが言う。

「さて。言うべきことは言った。さぁマナミ、一緒にこれを食べようか」

「え、え~と……」

 と、マナミは目を逸らした時

「私のメインディッシュたるハンバーグを問答無用に一口で食べた上にツインテールなマナミに、もはやいかなる弁明も拒否権もあるとは私には思えない」

「ツインテールってそこまで重罪!?」

「あるいはそう……」

 そこでアザカが、ボウと虚空を見上げて、教室の天井を見つめて呟いた。

「このお弁当を、一緒に美味しく私と食べてくれるのは、きっと私の親友ぐらいだろうから」

 と。

 そしてしばらくの間のあと。

 マナミはしかし、ハシをその場に置いて。

「ごめんアザカ!!」

 言ってからすぐさま、その場を離れた。

 取り残されるアザカ。

 しかし数秒後、マナミは戻ってきた。

 その手にスプーンを持って。

 そしてポカンというかトロンとしているアザカに言う。

「ワタシはオムライスがアザカの次に大好きだ!」

 そして元気よくパクパクと食べ始めた。

 その勇ましい姿に胸を打たれたか打たれていないのか、アザカは言った。

「私もマナミの次にオムライスが大好きだ」

 そしてアザカもオハシで手を付け始めた。


 一方その頃、

 某市某所の3LDKのマンションにて。

 アミは自室のベッドで今も唸っていた。

 目元の涙を拭いながら。

「本当にすごわいねミミ。形以外はわたしのオムライス再現完璧」


END

どもども無一文です^^

4月1日、幼い頃から夢見ていた夢が開始されます。

そういう節目なので筆名を現在考案中です。

自分を現すと同時に自分の道標にもなるようなものがあると良いのですが。


さてともあれ、まとりょーしか。

今度は学校編とかやりたいと思います。

家編そろそろネタ切れですね。


でわでわまた^^

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