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KAYO  作者: sagitta
6/7

 でも、カケルは北海道に住んでいるんじゃなかったの?

 あたしがそう返信すると、カケルは、あれは嘘なんだ、と決まり悪そうに(といってもそれはあたしの想像でしかないけど)返してきた。



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送信者:カケル

受信日時:2006/01/08 16:02

件名:実は、

本文:

オレは、東京に住んでいるんだ。横浜なんてあっという間に行ける。

あの時は……KAYOに会いたくなくて、嘘をついていたんだ。すまない。

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 それをメールを見て、あの時あたしもカケルと会うことになったらどうしよう、とあわてていたことを思い出す。

 まさか、カケルもそんな風に思っていただなんて。そんなことは思いもしなかった。



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送信先:カケル

送信日時:2006/01/08 16:05

件名:それなら、

本文:

どうして、今度は会おうと思ったの?

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送信者:カケル

受信日時:2006/01/08 16:08

件名:Re:それなら、

本文:

自分でもわからない。でもたぶん……。

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 カケルからのメールは、中途半端な所で途切れていた。きっと、言うのをためらっているのだろう。もしかしたら自分でもまだ何を言うべきかわかっていないのかもしれない。

 かなり、間があった。

 あたしはただ、ぼうっと光るディスプレイを見つめ続けながら、カケルからのメールを待った。

 ピコン。

 散々聞いたはずの電子音が、やけに大きく響いた。


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送信者:カケル

受信日時:2006/01/08 16:24

件名:無題

本文:

嘘をつくことに、つかれたんだ。

今まで作ってきたオレは、全部ニセモノなんだ。

それでいいと思っていた。

ネットの上では、ニセモノで生きていこうと思っていた。

でもダメなんだ。


KAYOにだけは、本当のことを知ってほしい。

でも……正直、怖い。

自分をさらけ出すのが怖いんだ。


だってオレは、欠けているから。

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 カケルからのメールを、何度も読み返す。何故だか、涙が零れ落ちそうになった。

 おんなじだ。あたしとおんなじ。

 カケルも、あたしと。

 心の奥の何かに突き動かされるように、あたしの指がキーを叩く。



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送信先:カケル

送信日時:2006/01/08 16:28

件名:あたしも

本文:

あたしも同じだよ、カケル。

すごく、すごく怖いけど。


カケルに、会いたい。

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