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プロローグ
ガラスの向こうに満月が輝いている。
明かりがなければ、何が植わっているのかもわからない——温室の奥。
寮を抜け出し、鍵の壊れた裏手の扉から侵入した男子生徒たち。
度胸試しに訪れたそこで、先頭の一人が足を止める。
月光の届かぬその先で、彼は息を呑む。
「……なんだ、あれ」
暗がりでもなお白いとわかる。
靄か。布か。髪か。
湿度に満ちた空気が、視界をわずかに揺らしていた。
声を張り上げることもなく、彼らは後ずさる。
支え合うようにして、その場から逃げ出していく。
彼らを見つめるのは、丁寧に育てられた植物達だけ。
——果たして、そうだっただろうか。




