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世界に最後のふたりになった夢

作者: 秋葉竹


 


たまに

みた夢を映画のように憶えている

ことがある


さきほどみたこの夢は

吉夢なのか

凶夢なのか


ある蔵の2階部分あたりのちいさな穴から

白蛇が

スルリと出てきて下へ落ちていった


それをわたしは彼女とふたり

隣の建物からみている


また スルリと

また スルリと

あとからあとからえんえんと

蛇は出てくる


「ちょっと、止まらないね」

「ちょっと、ヤバいかもね」

などと呑気に云い合っていると

それまで一匹だけが出てこれる

ちいさな穴が

突然ダムが決壊するようにおおきくなり

数百匹が一気に出てくるくらいの勢いで

ドドドドドドドド

と出続けるようになって


あっと云うまに

地表を白蛇が覆い尽くし

あっと云うまに

それがドンドンドンドン迫り上がってくる


「これ、マジで、ヤバくない?」

「ここまで、上がってくるとか?」

「とりあえず、上に上がる?」

「そやねー」


もともと2階くらいに居たわたしたちは

階段を駆け上がってゆく


途中で窓から外をみると

とどまることなく白蛇が増えつづけ

もとの蔵は埋まりきって

近くの家たちも埋まりきっていた


わたしたちは

城を駆け上っていることになって

ふたり

わかれわかれになって

わたしはひとり

恐慌と闘いながら上を目指す

(たぶん、この城も飲み込まれるな)

と想いながら

城の最上階を目指す


最上階に着いても

あのひとは居ない


この城はあたりで一番高く

外は

もうすぐそこまで

白蛇の海と化している

み渡すかぎり真っ白な海のようだ


この最上階も

もうすぐ白蛇に埋め尽くされると

悟ったわたしは

「屋根にのぼるからッ!」

彼女に届けと大声で叫ぶ


そして

窓から身を乗りだし

屋根にのぼる


屋根からみ回すと

ほんとうに

この城のてっぺんを除いて

み渡すかぎり

波立つ白い海だ




彼女が

ようやくあがってきた


手をとって

ふたり

顔み合わせて

なんだかふたりして大笑いした


なんだか

衝動的に抱きしめたくなって

ギュッって

ギューッって

思い切り抱きしめて

「愛してる」

って声に出して云った

すると

「わたしも、愛してる」

って心蕩けるような甘い声が聴こえた


こんな状況なのに

わたしは

心を濡らしながら

涙を流しながら

「愛してる、愛してる」

って

馬鹿みたいに云いつづけた




って

夢をみた


怖くて目を醒したのではなく

感動に身を震わせなら

目醒めた

わたしは

馬鹿みたいに泣いているじぶんに気づいた








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