あかねちゃん誕生
着せ替え再開。
1着ごとに、スマホと高そうなカメラでパシャパシャと連射したり。
指定ポーズで、笑顔で、手を振って……シャッター音に、僕がとろけていく。
喜びが胸に広がって、新たな自分を発見したみたい。
その最中、僕の携帯が鳴る。
母さんから。「帰りが遅いよ、どうしたの?」って。
慌てて出たら、先輩が代わりに。
「生徒会副会長のあかりです。今、ゆうなくんは学園祭の会議中です。
もうすぐ終わりますので、ご安心ください」って、完璧な真面目モード。
母さん、納得して切れた。
すごいよ、先輩……。
流石に疲れて、「終わりにしようか」って。
先輩が服を脱がせてくれるんだけど、
僕はこの可愛いワンピースが惜しくて、脱ぎたくなくなって涙目。
先輩、心読んだみたい。「私の服、脱ぐの嫌になったんでしょ?」。
1回限りの約束のはずなのに……。
「今度の週末、また着てもいいよ。その代わり、二人でデートしようね。
約束だからねと。ゆうな君に合った服や下着、買いに行こう」。
嬉しさが溢れて、頷く。
「ゆうなって名前も女の子ぽい名前で可愛いけどさ、
女の子の服を着るときは名前を変えた方が良いと思うんだ。
私があかりだからあかねにしよう。今日からゆうな君はあかねだよ。
女装時は、あかねちゃんって呼ぶからね。」
プレゼントに、今日着たピンクのワンピース一組。「これ、持って帰って」。
LINE交換して、「痔の薬、ちゃんと塗って。ナプキンは定期的に交換よ」って、送り出された。
帰宅後、LINEが。「あかねちゃんへ。今日は楽しかったよ。
ナプキンは交換しなくても、こまめにチェックして。
でも汚れてなくても、不衛生だから交換ね」。
そして、僕の写真、何枚も。「この中から1枚、待ち受けにしよう。私も同じにするから」。
続けて、「今日はあかねちゃんに出会って、あかねちゃんの誕生日にもなったね!
これからも、ずっと一緒にいようね」。
週末のデート、何されるんだろう?
胸がざわつく。
新しい服? もっと深い秘密の共有?
先輩の目が、優しくて、少し怖くて……でも、僕、あかねとして、受け入れちゃってる。
きっと、もっと可愛く、もっと女の子らしくなれるんだろうな。
読んでいただいてありがとうございます
ゆうな君からあかねちゃんになってしまいました




