表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/44

僕の夏休み

今回から夏休み編に入ります

高校生活初の夏休みが入った。


本当なら、楽しい夏休みになるはずだった。あゆみちゃんと約束した薬局のアルバイトがあったからね。  


でも、僕は制服を着て、普通に高校に通っていた。

理由はとても単純だった。期末テストで赤点を取ってしまい、補講を受けなければならなかったのだ。しかも赤点者はアルバイトは禁止。補講の追試で全て合格点を取らないと、先生から許可が下りない。だから、夏休みなのに教室で机に向かう日々が続いた。


同じ補講者は学年でたったの6人だけ。みんな真面目そうな顔でノートを取っている。


そもそも僕は勉強が苦手だった。この高校のレベルが高いのは入学前からわかっていたのに、家から一番近かったからという理由だけで受験した。寝坊しても間に合う距離が魅力だったんだ。


中学校の先生には「お前の成績じゃ入学できても厳しいぞ」と言われたけど、実際その通りだった。

授業についていくだけでも精一杯で、テストは惨憺たる結果。こうして夏休みを補講で潰す羽目になってしまった。


そんな補講初日の休み時間に、担任に職員室に呼ばれた。出てきた僕は肩を落として廊下をトボトボ歩いていた。凹みすぎて、周りなんて見えていなかった。

そんな時に、廊下でばったりあかり先輩と遭遇してしまった。


「ゆうな君! 夏休みなのに、どうしたの?」いつもの眩しい笑顔で話しかけてくる。あかり先輩は推薦入試の面接練習で来ているんだと言っていたけど、その明るさが逆に僕の暗さを際立たせる。


そんな先輩に嘘をつく気なんて起きなかった。「期末で赤点取っちゃって……補講で来てるんです」正直に言うと、先輩は一瞬目を丸くして、それから少し怒ったような顔をした。「教科書とノート、見せて」素直に出すと、先輩はページをめくりながら呆れ顔。「このままじゃ進級も危ないわよ」と真剣に言われた。


補講は午前中だけだから、午後から私が先生になって教えてあげる。私の家で勉強会しましょう──そんな提案が飛び出した。遠慮する理由なんてなかった。嬉しくて、すぐに「お願いします!」と頭を下げた。


今日は月曜日。補講は金曜日まで続き、次の月曜に追試だ。全教科で合格点を取らなければアルバイトの許可は出ない。午前中の4限の補講が終わると、僕は急いで先輩の豪邸へ向かった。久しぶりの先輩の家。リビングにはホワイトボードが用意され、先輩は笑顔で待っていた。


あかり先輩の個人授業が始まった。先輩は成績優秀だった。美人で長身で生徒会副会長、しかも頭がいいなんて完璧すぎる。でも、ちょっとだけ性格が歪んでるんだよね(笑)


「どうしてそんな成績でこの高校にしたの?」と聞かれ、正直に「家から一番近かったから」と答えると、呆れ顔で見られた。先輩は自分の1年生時の教科書とノートを出してくれた。カラーペンでびっしり書き込まれた教科書、分かりやすくまとめられたノート。ひと目で頭が良いのがわかる。


そして、授業が始まった。先輩の教え方は本当に上手かった。要所要所で小問題を出して、僕の理解度を確認しながら進める。学校の先生よりずっと分かりやすい。僕が少しずつ理解していくのを見て、先輩も楽しそうに笑っていた。


翌日も、翌々日も同じスケジュール。午前は補講、午後は先輩の家。そんなある日の授業中、インターホンが鳴った。少し前からちらちら時計を気にしていた先輩は、モニターで来客を確認し、リモートで鍵を開けた。ドアが開く音がして、聞き覚えのある声。


「こんにちはー」部屋のドアが開き、そこに立っていたのはあゆみちゃんだった。


僕を見て「ホントにあかり先輩の授業受けてるんだ?」明るい声に、僕は恥ずかしくて下を向いた。個人授業を見られるなんて、成績の悪さを晒すみたいで。先輩がフォローしてくれた。


「あゆみちゃん、茶化さないの。ゆうな君は薬局でアルバイトするために頑張ってるんだから」


確かにアルバイト許可のためだけど、今はそれ以上に、先輩を喜ばせたい気持ちが強かった。あゆみちゃんは少し黙って、それから僕の横に座った。そして、授業に参加し始めた。時には僕にアドバイスをくれたり。2人から3人の勉強会に変わった。


3人の方が断然理解しやすかった。あゆみちゃんも成績優秀者だった。僕の成績がまさかここまで悪かったとは予想外だったみたいで、真剣に教えてくれた。それが僕が追試で合格点を取って一緒にアルバイトをしたい為だったのかは知らないけどね。


授業は真剣で、夜18時を過ぎることもあった。そんな時は先輩が手料理をご馳走してくれた。3人で合宿しているみたいで、勉強なのに楽しかった。先輩は僕の理解力が上がっているのをわかっていて、嬉しそうだった。出題の難易度も少しずつ上がっていった。僕自身、初めて勉強の楽しさがわかってきた気がした。


母には「午後は図書館で自習してる」と嘘をついていた。


全ての補講が終わり、週末になった。土日は朝から晩まで先輩の家に缶詰め。日曜の午前中は総仕上げ、午後は先輩が作ってくれた模擬テストを受けた。結果は──全て良い点だった。「やればできるじゃん」先輩とあゆみちゃんに言われて、嬉しくてその場で泣いてしまった。「まだ泣くの早いよ」あゆみちゃんが笑う。


夕飯はあゆみちゃんがキッチンを借りて作ってくれたカツカレー。最高に美味しいカツカレーだった。あかり先輩が「明日の追試で合格点を取れば毎日あゆみちゃんの手料理を食べれるかもね」と僕ら煽って困らせていたね。


月曜日、追試を受けた。


無事に全教科合格。アルバイト許可書をもらえた。


すぐに先輩にお礼のLINEを送り、その日の夕方、アルバイトの許可証を持ってあゆみちゃんの薬局へ行ったよ。


それ以降も、あかり先輩は僕の為に定期的に勉強会を開いてくれた。ノートの取り方、勉強のコツ、全部教えてくれた。おかげで赤点はなくなった。


成績も安定して上がっていった。


あかり先輩、本当にありがとう。



読んでいただいてありがとうございます

今回から夏休み編に入りました

ゆうな君の夏休みはどうなっていくのでしょか?

次回からアルバイトが始まります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ