薬局と囁き
当然、男の僕が一人で薬局でナプキンなんて絶対に無理。
先生も用事があるって言うから、困った。
あかり先輩が「じゃあ、私と一緒に帰りに寄りましょうか」って、提案してくれた。
校門で待ち合わせて、二人で歩き始めたんだけど、
初めてのショーツ&ナプキンの感触が……心地よい。
歩くたびにナプキンがお尻に優しく当たって、
痛みが遠のくような安心が広がる。
周りの生徒たちから「ヒューヒュー!」って声が飛んでくる。
「あかり先輩、ナンパされたの?」「弟さん?」「 可愛い子連れてるじゃん!」って。
僕、顔真っ赤。
先輩も少し照れくさそうだけど、僕の秘密は絶対守ってくれて、
本当に優しい人だと思った。
薬局までの道中、先輩は熱心に教えてくれた。
「ナプキンやショーツ、種類がいっぱいあるのよ。
女の子は生理が始まって終わるまで、ずっと付けてるんだ。
吸収量とか、羽つきとか、選ぶの大変だよ」。
薬局に着いて、棚の前で商品を指差しながら説明。
「これ、夜用で長くて厚め。ゆうな君みたいにたくさん出る時はこれがいいわ。
注意点は、交換をこまめにね。漏れたら大変よ」。
周りに人がいるのに、僕は恥ずかしくて赤面MAX。
話、半分しか頭に入ってこなかった。
「じゃあ、どのナプキン買おうか?」って聞かれて、
恥ずかしくて「今付けてるのと同じのがいいです……」って呟いた。
先輩、目を輝かせて「それだと、私とお揃いだね! 嬉しいなあ」って。
結局、痔の薬とナプキン、予備のショーツを買ってもらった。
お金を心配したら、「私はお金持ちだからいいよ。気にしないで」って。
先輩の家、僕の家と10分くらいの距離で、同じ町内だって知って驚いた。
僕の家の方が学校から遠いんだって。
だから、「私の家に寄ってから帰りなよ。ズボン、血まみれじゃ明日学校行けないでしょ?
私の家の洗濯機と乾燥機なら、90分で綺麗になって乾燥器でフカフカに乾くから」と促されて、断れず。
先輩の家は、近所を散歩したことある豪邸だった。
あの大きな門の家が、ってビックリ。
聞くと、両親は海外出張中で、兄弟なし。一人で暮らしてるんだって。
「平日の昼間はお手伝いさんが来るけど、夜と週末は寂しいのよ」って、
少し寂しげに笑う。
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