あかねとして下着屋さんへ
約束通り、僕の服を買うことに。
モールを一周歩いて、選んだお店で可愛いブラウスとスカートを買ってもらった。
興奮と照れが混じって、手が震える。
先輩に「どう?」って見せると、「似合いすぎ! 買っちゃおう♡」
袋を抱えて出る時、心が弾む。
次は、下着屋さん。先輩のお気に入りのお店。
服屋なら普通に入れたけど、下着屋はハードルが高すぎる。
ゆうなの時でも、店内をチラ見するのも恥ずかしくて目を逸らすのに……。
あかねの女装で入るなんて、足がすくむ。
店内は、色鮮やかなブラやショーツがずらり。
ピンク、ブルー、レースの花柄……目に痛いくらいの鮮やかさ。
モールの通路から、たった2、3歩の別世界。
甘い香水の匂いが漂って、心臓が早鐘のように鳴る。
先輩が自然にブラジャーのコーナーへ僕を誘導。
目の前に広がる光景は、パラダイス――いや、僕には試練の場。
「ここで本当にあかねのブラ買うの? 通販でいいじゃん……」
心の中で叫ぶけど、先輩は店員さんを呼ぶ。
「この子のブラを探してるんです。アドバイスお願いします」
僕は赤面。耳まで熱い。
店員さんが駆け寄ってきて、にこやかに。「それではサイズを測りますね」
「えぇ、測ったらバレるじゃん!」
冷汗が背中を伝う。パニック寸前。
でも、先輩が素早くフォロー。「家で測ってきましたからとメモを見せてこの数値です」
「親戚の子で、小さいのが悩みで大きく見えるのが欲しいんです。中3くらいの可愛い感じで」
店員さんが頷いて、「サイズと年齢考えて……これとかどうですか? パッド入りのおすすめです」
何枚かセレクトして、先輩が「あかね、どれにする?」
僕は目立たない白系のを、震える指で指差す。
「試着しますか?」って聞かれたけど、先輩が「大丈夫です。このサイズでショーツとセットのはありますか?」
店員さんが「大きく見せなければ、これがいいですよ。フィット感抜群です」
先輩が僕に目をやって、「どう?」
僕はゴクリと唾を飲み、ウンと頷く。
買い物は続き、ブラ2枚をカゴに入れて店内をうろうろ。
「あかねは意外とお尻が大きいから、全体をカバーできるこれがいいよね♡
レースの縁取り、可愛いわよ」
先輩、楽しそうに選んでる。
僕も、だんだんその楽しさに引き込まれる。
結局、20分も店内にいた。
会計が終わり、袋を抱えて店外に出る。
そこには、慣れ親しんだモールの喧騒。
下着屋はざわつきの連続だったけど……楽しかった。
「ありがとう、先輩。下着買ってもらっちゃって……僕、こんなの初めてで」
先輩が優しく微笑む。「妹のためよ。あかねの成長、楽しみだわ」
読んでいただいてありがとうございます
初めての下着屋さんでの買い物でドキドキしたゆうな君に
次回新たな試練が・・・・




