04教育
「ふぁ~、朝か。マグノリア、起きろ!!」
「ひゃい!!」
「君には俺の母上から公爵夫人にふさわしい教育を受けて貰わないといけない」
「そ、そうですか。頑張ります」
マグノリアはメイドたちにドレスを着せられ化粧をして私の母上のところにつれていかれた。可哀そうだがしかたがない、公爵夫人となるための教育は避けられないものだ。そんなことをしている間に私はパジャマで執務室に行って軽食を食べた、それから偶には真面目に執務をするかと書類を片付けていた。
「ウエザーとラルト、ここ横領されてるぞ」
「どちらの部署になりますか、公爵様」
「誰が横領などしていますか、公爵様」
「ほらっ、ここ数字がおかしい。絶対に横領をしている」
「すみません、気が付きませんでした、公爵様」
「すみません、見逃してしまいました、公爵様」
直ちに部下の騎士を横領をしていた部署に派遣し、横領犯を捕らえて拷問にかけた。すると他にも横領をしている者がでてきた。物凄く少額ではあったが横領は横領であった。だから横領犯は死刑になった。私は偶には執務室に顔を出さないといけないなと思った。ウエザーとラルトの目をかいくぐって横領するとはなかなか器用だった。そうして執務室の後は戦闘服に着替えて体を鍛えた、私は最強のニートなのだから体を鍛えるのは止められなかった。午後になるとマグノリアがぐったりとした様子で帰ってきた、私の母上から受けた伯爵夫人としての教育が辛いそうだった。
「それじゃ、マグノリア。私も汗を風呂で流したし、寝よう。嫌なことは寝て忘れるものだ」
「ええ、こんなに早いうちから寝てもよろしいのですか?」
「良いに決まっている、勉強は終わったのだろう。後は寝ながら復習しろ」
「うわーい!! ぬくぬくのお布団、すぐにドレスを脱いで参ります!!」
マグノリアは私と同じような人間だった、つまり働かないですむなら働かないという人種だ。私もパジャマに着替えて寝ることにした、マグノリアもドレスを脱いでパジャマでベッドに飛び込んできた。そうして私たちは眠った、ベッドの中で何もせずに眠り続けた。お世継ぎの誕生、知るかそんなものと思っていた。そうして夕方になったら起きてきて、寝室に食卓を置いて夕食を済ませた。そうして私はまた眠った、マグノリアはしばらくベッドでごろごろしていたが、やがて眠りに落ちた。そんな最強のニート生活を楽しんでいるとまた面倒なことを言われた。マグノリアと結婚したばかりなのに第二夫人を娶れと父親が言っていた。
「私は結婚したばかりですよ、父上」
「だが孫ができんではないか、第二夫人を娶れ!!」
「そんなに焦らなくてもそのうちに孫もできますよ」
「お前のそのうちなんて当てにならん!! 良いか、第二夫人を娶れよ」
私はマグノリアと相談することにした、結婚したばかりなのに第二夫人を娶れとは彼女にも失礼な話だと思ったからだ。私が相談するとマグノリアはこう言ってきた。
「それではセレーサ・アンソレイユ子爵令嬢はいかがでしょう。私と同じで寝るのがなによりも好きな人です」
「それいいな、明日。セレーサ・アンソレイユ子爵令嬢に会いに行ってみよう」
そうして私はアンソレイユ家に行ってみた、セレーサを第二夫人として迎えたいと言ったら、最初はエンター子爵は断った。でも金の髪に青い瞳のセレーサ子爵令嬢がでてきてこう言いだした。
「お父様、良いお話ではありませんか。我が家には借金もありますが、それを返して頂けますでしょうか。そうしたら第二夫人になります」
「うむ、借金くらい返してやろう。セレーサ、君は今日から第二夫人だ」
こうしてアンソレイユ家の借金を私は払った、その代わりにセレーサを第二夫人として公爵家に連れてきた。
「マグノリア、元気だった?」
「セレーサも、元気みたいね。良かった」
「マグノリアは公爵夫人として頑張って」
「ずるーい、セレーサも公爵夫人教育受けようよ」
マグノリアは公爵夫人になる為に勉強する必要があったが、セレーサにはそんな義務なかった。だから私の寝室の隣の部屋にベットを運びこみセレーサは眠って過ごしていた。眠ってばかりだと体に悪いのでセレーサにも私は運動をさせた、彼女はあくびをしながらのんびりと走ったりしていた。それに一応第二夫人だったから、マグノリアにセレーサのベッドに行って貰って寝室で私とセレーサが寝たりした。私はまた親指を切って血を出し、その後『治癒』で治して初夜を演出しておいた。こうして私は第二夫人を娶った、私の父上はそのおかげでご機嫌だった。
「三食昼寝付きなんて最高、呼んでくれてありがとう。マグノリア」
「セレーサはいいな、私は公爵夫人になる教育で疲れたよ」
「疲れたのなら早く昼食を食べて、早く眠ってしまうといいぞ」
奇妙な三角関係が成立しつつあった、私とマグノリアとセレーサでだ。だれも世継ぎを作る気がなかった、皆そろって寝ることにしか関心がなかった。私はまた寝室でウエザーとラルトの報告を聞いていた、マグノリアは公爵夫人になるための教育につれていかれた。
「今年も麦が豊作になりそうだな」
「虫を退治する薬を広くにまいています、公爵様」
「あとは村人たちの努力のたまものです、公爵様」
「うむ、村人は大事にしないとな。魔物などの被害はどうだ?」
「被害はでてますが、冒険者などを雇っています、公爵様」
「傷を受けたりはしていますが死者は出てません、公爵様」
報告を聞き終わると私はまた戦闘服に着替えて体を鍛えにいくことにした、ついでに寝ていたセレーサに体を動かすように言っておいた。セレーサはまたあくびをしながらゆっくりと走っていた。マグノリアは公爵夫人教育から帰ってきて、午後からは三人でぐーすか寝ていた。それがなにか酷い誤解をうんでしまったようだった。世間では私が第一夫人と第二夫人を一度に可愛がっていることになっていた。私はどちらにも手を出していなかった、なんていう酷い誤解だと頭を抱えた。
「世間では私は二人の女性に同時に手を出していることになってるぞ」
「あらっ、私はまだ手をだされていないのに。おかしいことですわ、ねぇ、セレーサ」
「ふふっ、私だって手をつけられていないのに、面白いわ、ねぇ、マグノリア」
「これだと私が性に奔放すぎる男みたいじゃないか!?」
「えっと今からでも私を抱きますか? 公爵様」
「私は寝てるほうがすきですけど抱いてみます? 公爵様」
「いや、いい。そういう気分じゃない。私は平和に寝ていたいだけなのだ」
「それは賛成します、公爵様」
「私も同意見ですわ、公爵様」
というわけでその夜も三人で眠った、世間の吟遊詩人が何を歌おうが放っておくことにした。私たちは眠っていたいだけなのに、なかなか上手くいかなかった。
「公爵様、先代様から催淫薬を渡されました」
「公爵様、母上様から催淫薬を渡されました」
「だぁ――――!? 父上も母上もなんて物を息子にくれるんだ!!」
「この催淫薬はどうされますか、公爵様」
「使わないと怪しまれますよぉ、公爵様」
「馬にでも飲ませてやれ、駿馬を産んでくれるだろう」
その晩、馬小屋では大騒ぎだったそうだ。雌馬を取り合って牡馬が怪我をしたとか言っていた。私は駿馬が産まれるといいなぁと思っていた。
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