03結婚式
そうやって私はベッドでごろごろしながら過ごした。最強のニートとしてふさわしい姿だった。執務でなにか分からないことがある時は、私の寝室にウエザーとラルトがやってきて聞いた。私は的確な指示をだして公爵領を発展させた。寂れるより発展することは良いことだった。そんなことをしていたら、ある日公爵家に一人の女の子が捨てられていた。仕方がないから私はその子を拾ってきた。パジャマ姿の私に銀の髪に青い瞳のその子は素直についてきた。
「名前はなんというのだ?」
「二コラ」
「二コラは何故、我が公爵家にきた」
「私は公爵様の子どもだって」
「はぁ!?」
「これからよろしくお願いします」
童貞の私に子どもがいるわけがなかった、だが流石に恥ずかしくて童貞とは言えなかった。ウエザーとラルトに子どもの母親と父親を探させた。住民名簿からすぐに二コラの母親と父親は見つかった。連れて来いと命令したら、二人とも逃げ出した後だった。二コラは捨て子になった、私は仕方なく二コラを育てることにした。
「二コラ、お前は私の子どもではない。だが我が公爵家で雇ってやろう」
「はい、分かりました。よろしくお願いします」
こうして二コラは公爵家でメイドの仕事をするようになった、まだ十歳だったが一生懸命に働いていた。
「最強のニートとして、あの子を一人前のメイドにしてやろう」
「それは良いお考えです、公爵様」
「優しくしてくださいよ、公爵様」
こうして私の生活の中に二コラという存在が入ってきた、二コラは私がパジャマ姿でうろうろしてようが気にしなかった。私の最強のニート生活の邪魔もしなかった。私はそれに満足してまたベッドでごろごろしていた。父上と母上は本当ならこのくらいの孫がいるはずなのにと私を見た。私はそんな視線は気にしないようにした。二コラの後も何人か子どもが公爵家に捨てられた。調査させるとその父親も母親も逃げだした後だった。その子どもたちには孤児院に行って貰った。そして、そもそもなぜ子供を捨てていくのかを調べさせた。
「闇カジノが原因みたいです、公爵様」
「お金を払えなくて逃亡です、公爵様」
「そんな場所ができているなら早く潰さないとな」
二コラがその闇カジノの場所を知っていた、そこにいる父親を迎えにいったことがあったのだ。私たちは騎士たちを引き連れてその闇カジノに踏み入った。そこにはいろんな人間がいた、ガードマンのような者もいたが私の一撃で吹っ飛んだ。私は最強のニートなのだ。そうして闇カジノを運営していた組織を捕まえた。組織は金で取引しようとしたが私は拒否した、そうして組織の人間は全員が縛り首となった。私は少し心配だった、こういう組織はもっと大きな組織の一部であることが多かった。だからウエザーやラルトに護衛の騎士をつけた、私は最強のニートであるから護衛は必要なかった。ニートはちょっとしたことに敏感なのだ、私はすぐに私を暗殺しようとする者を捕まえた。
「ウエザー、ラルト、暗殺者を捕まえたぞ」
「それでは拷問官に引き渡しましょう、公爵様」
「泣き喚いて後悔をして貰いましょう、公爵様」
暗殺者は拷問を受けて雇い主を吐いた、やはり闇の組織からの依頼だった。その組織の場所を聞き出して静かに騎士たちを連れていった。そうして組織の入り口を開けると乱戦が始まった。もちろん最強のニートである私には誰も敵わなかった。こうして闇の組織は全員がつかまり縛り首となった。こうして公爵領は綺麗になった。闇の組織を二つ潰したのだから、私も安心した。
「やれやれ闇の組織が二つもあったとは、自分の足元でも油断できんな」
「少しは街が綺麗になったのは確かです、公爵様」
「謎の殺人や事件が減っていったのです、公爵様」
「ああ、疲れた。私は最強のニート生活を謳歌するぞ」
「この書類を片付けたらいいです、公爵様」
「こちらの書類もご覧下さいです、公爵様」
私はベッドでごろごろしながら、書類を見て処理していった。ウエザーとラルトはテキパキと書類を処理していった。おかげで最強のニート生活を楽しめた、書類を処理した後はもう私はベッドでごろごろし放題だった。布団の中でぬくぬくとしながら、次は何をしようかなとぼんやり考えていた。公爵領内の橋などはこの前必要なら作り直した、公爵領には水道も引いてあった。その施設の見学に行こうかななどと考えていた。私は公爵らしい格好をして、浄水場の見学に向かった。
「浄水場には結界もはってある、順調に水が流れているようだな」
「公爵様が仕事をするなんて雨が降るぞ」
「公爵様のことだ、雨なんかですまんぞ」
そうして大粒の雨が降ってきた、慌てて私たちは乗ってきた馬車に戻った。その雨はやがて嵐となり公爵領を通り抜けた。麦畑がいくつか水没したが他は無事だった。私は珍しく仕事をしたせいじゃないよなと思っていた。私はいつものように体を鍛えた。最強のニートとしてこれは止めらなかった。そうして嵐が来るのなら、仕事をしないことにした。私はベッドでお布団を抱えぬくぬくとしていた。
「いい加減に結婚せんか、この馬鹿もん!!」
「早く孫の顔を見せて頂戴」
「おや、父上と母上。ご機嫌麗しゅう」
「機嫌がいいわけあるか、お前はさっさと嫁を探してこい!!」
「そうよ、お嫁さんに孫を産んでもらいなさい」
「えー、嫁探しならこの前もしていなかったじゃないですか」
「そこを何とかみつけてこい!!」
「どんな子でもいいから、早く見つけてくるのよ」
「はぁ、まぁ努力はします。努力は」
父上と母上から嫁を探してこいと怒られてしまった、確かに私もいつかは結婚しなければならなかった。だからパーティにそれなりの格好をしていったのだが、寄ってくるのは公爵家の財産目当ての女性ばかりだった。私は女性に嫌気がさした、それでもと思って花嫁を探し続けた。そうしたら風の噂に私のように引きこもっている女性がいると聞いた。私は興味を持ってその女性について調べてみた。社交界の噂ではその女性は幼いころに男に襲われて助けられ、それから引きこもっているそうだった。私は好奇心にかられてその女性に会いにいった。
「公爵様が来てるですって、止めて光を当てないで溶ける~」
「溶けたりしませんよ、お嬢様。早くパジャマから着替えてお支度なさって下さい」
「なんで私のような引きこもりに公爵様が会いに来るのよ」
「分かりません!! 分かりませんが、ほらっドレスを着て化粧もして!!」
そうして会ってみた女性は黒い髪に茶色の瞳、どこか懐かしい日本人を思わせる可愛い姿をしていた。
「マグノリア・ブラウンと申します、公爵様」
「私はクレイス・ミュートスという、マグノリア子爵令嬢」
「それで私に何の御用でしょうか、公爵様」
「うむ、君と結婚しようと思う。どうだろう、マグノリア子爵令嬢」
「けっ、結婚!?」
「そうだ結婚だ、御父上と良く相談してくれたまえ」
こうして私はブラウン子爵家を去っていった、そしてマグノリア子爵令嬢に婚姻の申し込みをしておいた。するとすぐに返事があって私はマグノリア子爵令嬢と結婚することになった。
「結婚式をするぞ、ウエザーとラルト!!」
「良くお相手を見つけましたね、公爵様」
「もう駄目かと思っていました、公爵様」
そうして私はマグノリア子爵令嬢と結婚した、父上と母上は泣いて喜んでいた。私も黒髪に茶色の瞳の花嫁を見て可愛いと思っていた。結婚式をしてパーティが開かれた、それが終わったら二人で寝室に入った。
「あの公爵様、なるべく痛いのは無しの方向でお願いします!!」
「おお、そうだ。こうしておこう」
私は右手の親指をナイフで切って血を出した、それをシーツをつけておいてから『治癒』で傷を治した。そしてマグノリアに言った。
「初夜なんて気が向いた時にすればいい、君の気が向いたら教えておくれ」
「えっ、はっ、はい!!」
そうして最強のニートとして私はベッドで眠った、近くにマグノリアの気配があったがすぐに慣れた。こうして私たちは清らかな関係のままで深い眠りについた。
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