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02御前試合

 真面目なウエザーとラルトはニートについて話し合っていた、そうして二人がだした結論がこれだった。


「つまり働かない人のことですね、公爵様」

「勤労意欲に欠けてることですね、公爵様」

「その通りだ、ニートとは働かない者のことだ。そして私は最強のニートだ」


「何の自慢にもなりません、公爵様」

「恥ずかしいことですよね、公爵様」

「何を恥ずかしがることがある、私はお前たちの手を借りて立派に領地を治めている」


 ウエザーとラルトにはやれやれと首を振られた、ここまでくれば私が二人から見捨てられそうなものだがそれは出来ない理由があった。ウエザーとラルトは貴族のお坊ちゃんで二人の家は借金で傾いていた。そして借金のかたに売られたのが二人だった、その二人を私が買い取ったのだ。買い取って二人に領地経営の仕方を教えた。だから二人には奴隷紋が押してあった。私はその奴隷紋も気に食わなかった、そもそも奴隷という制度自体が好きではなかった。


「二人ともいい加減にその奴隷紋を消させろ」

「でもこれはご主人様との繋がりです」

「そうです、ご主人様との繋がりです」


「もういい、私が勝手に消す。『完全なる(パーフェクト)癒し(ヒーリング)の光(シャイン)』」

「ああ、奴隷紋が消えた」

「忌々しい印が消えたよ」


 二人は驚いていた、奴隷を解放する主は珍しいからだ。だけどそのうちに二人ともバッとひれ伏してこう言った。


「心よりずっとお仕え致します、公爵様」

「恩を返す為にお仕え致します、公爵様」

「うむ、お前たち二人がいれば我が公爵領は安泰だな」


 二人が来る前は私一人でひーひー言いながら公爵家を統治していた、奴隷を辞めても二人が残ってくれるというのは嬉しかった。これで最強のニート生活を送れるはずだった。なのに王家が厄介事を押し付けてくれた。第一王女様がある日こうおっしゃったのだ。


「私は外に出てみたい、普通の貴族の生活がしてみたいわ」


 それで第一王女様を我が公爵家で預かることになった。私はいつものパジャマ姿でいられず、公爵として威厳のある服を着ることになった。そうしていつもの鍛練もできず、執務室で真面目に執務をすることになった。外が見てみたいと第一王女が言うので、信頼できる護衛の騎士たちを用意して、王都の外の海が見える花畑へ行った。


「まぁ、凄い。海が綺麗に見えるわ」

「それはようございました」


「花々もとっても綺麗。感謝するわ、クレイス」

「いいえ、紳士として当然のことをしたまでです」


「また連れてきて欲しいわ」

「第一王女様におかれましては、広い見識を持つといいでしょう」


 そうやって第一王女の相手をしていたが、この第一王女は一月も我が公爵家に滞在した。もしかしたら王家としては私と第一王女をくっつけるつもりだったのかもしれなかった。しかし、私は第一王女を女性として見られなかった。美女だったし、頭も良さそうだったが私には合わなかった。そうして第一王女は王宮に帰っていった。私はなまっていた体を鍛えなおした、最強のニートとしてふさわしく体を鍛えた。そうして最強にふさわしく体を鍛えると元のニート生活に戻った。


「ここ一月の間に執務を済ませておりますから大丈夫です、公爵様」

「なんだかんだいって執務をしていましたから大丈夫です、公爵様」

「それなら安心した、遠慮なくニート生活を満喫できるな」


 こうして私はニート生活を謳歌した、体を鍛えるのは止めなかったがそれ以外ではパジャマでごろごろしていた。ベッドの上が私の生活場所だった、一月真面目に働いたのだ、少しくらい休んでも問題はないはずだった。そうしたら今度は御前試合が行われるということだった。最強のニートとして出ないわけにはいかなかった。


「戦闘服の準備はできております、公爵様」

「動きやすく軽い素材にしました、公爵様」

「うん、これは動きやすい。これなら優勝を勝ち取れるだろう」


 王の前での御前試合ということで沢山の人々が集まった、強そうな奴らがごろごろいた。私ははりきっていた、最強のニートとして強い者と戦えるのは喜びであった。そうして私は順調に勝ち進んでいき、決勝まで勝ち残った。最後の相手は白金の冒険者だった、さすがに強く動きも独特だったが、私が勝ち残った。勝ち残った褒美として金貨一万枚を頂いた。私は公爵領の予算に当てようと思った。


「素晴らしい戦いでしたわ、クレイス」

「これは第一王女、お恥ずかしい限りです」


「エアルと呼んで貰えませんか?」

「第一王女を愛称で呼ぶなど不敬です」


 そうして私は御前試合が行われた会場を立ち去った、まごまごしてると第一王女が追いかけてきそうだった。お姫様はもう間に合っている、私は最強のニートとしてベッドでごろごろと過ごしたかった。御前試合も終わって私はパジャマを着てベッドでごろごろしていた。そうしていながら、ウエザーとラルトから公爵領内のことも聞いていた。


「麦に付く虫を退治したので今年は豊作だそうです、公爵様」

「豊作なので食料を備蓄しておくと良いと思います、公爵様」

「うむ、そのようにせよ。決して領民を飢え死になんてさせるな」


「もちろん承っております、公爵様」

「精一杯の努力を致します、公爵様」

「そういえば奴隷紋も消えたし、二人は結婚しないのか?」


「そのうちに良き人と結婚したいです、公爵様」

「僕もじっくりと結婚相手を探します、公爵様」

「結婚する時にはお祝いを贈るから言えよ、二人とも」


 その年は麦につく虫のせいでプランタン国全体が不作になった、私は錬金術師から作って貰った虫を殺す薬を他の貴族たちにも広めた。だが多くの貴族はそれを使わなかった、不作となり餓死者を出した貴族もいた。我が公爵家とそれにつらなる貴族だけが無事だった。私は国王陛下に麦を枯らす虫を駆除する薬を薦めた。そうして国王陛下から全貴族に命令があって、その薬は広く知れ渡った。


「貴族ってプライドが高いからな、なかなか人の忠告を受け入れない」

「とても愚かな行為です、公爵様」

「馬鹿としか言えません、公爵様」


「そうだよ、愚かだし馬鹿だ。お前たちもし私の傍を離れることがあっても、そんな馬鹿な貴族には仕えるなよ」

「僕は公爵様に忠誠を捧げております」

「僕も話を聞く公爵様を尊敬してます」


 こうして我が公爵家においては心配なことは何もなかった。相変わらず私はパジャマでうろうろしていたが、両親も呆れ顔でいた。この子に何を言っても仕方がないと思われていたのかもしれなかった。最強のニートとして鍛えて、ベッドでごろごろするのは最高の気分だった。


「最強のニートって幸せ、もうベッドから出たくない」

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