01最強のニート
私はごく普通の日本人の男性だった、就活に失敗して百回目だった。自棄を起こして酒を飲み夏なのにエアコンをつけずに寝た。それでどうやら私は熱中症をおこして死んだ。そして異世界転生した、公爵家の長男として生まれてきた。私は思った最強のニートになってやると心に誓った。もうあくせく働くのはごめんだった、ニートになってお布団でぬくぬくしていたかった。だが私が目指すのは最強のニートであった。だから体を鍛えぬいた、鍛えて鍛えて最強と言われるようになるまで鍛えた。もちろん魔法も忘れなかった、ここは異世界であるから魔法があった。私は最強の魔法を使えるように訓練した。そうして数々の強者と戦い最強になったと思ったらニートになった。
「というわけで私は仕事をしないのである!!」
「何をおっしゃってるのですか、公爵様」
「仕事がたっぷりたまってます、公爵様」
「ウエザー、ラルト。お前たちで仕事はしておけ!!」
「いいんですか、公爵様」
「好き勝手です、公爵様」
私の名前はクレイス・ミュートス、銀の髪に青い瞳を持つ公爵様だった。父が引退したので私が今は公爵様だった。ウエザーは金の髪に緑の瞳をしていた、ラルトが金の髪に黄色い瞳をしていた。共に私の仕事を片付けてくれる貴重な側近だった。ぬくぬくとしたベッドから私は立ち上がった、体を鍛える時間だったからだ。最強のニートとして、それは譲れなかった。私が走りだすとウエザーとラルトはついてきた。
「公爵様、この書類はこの処理でよろしいでしょうか」
「公爵様、こちらの案件は処理したのですいいですか」
「うむ、それで構わん。それより二人とも剣の相手をしろ!!」
「僕は剣の達人じゃありませんよ」
「僕も剣について詳しくないです」
「嘘をつけ、二人とも剣術大会で優勝したくせに!!」
「僕たち一年違いで優勝したんだっけ?」
「そう僕たちが戦う事はなかったっけ?」
「さぁ、二人まとめてかかってこい!! 私は負けんぞ!!」
私はウエザーとラルトを二人まとめて相手をした、それでも負けることはなかった。ウエザーとラルトには手加減などしたら拷問すると言ってあった。それで二人は必死にかかってきたが、私が負けることはなかった。その後も体を鍛えて汗を風呂で流して、私はぬくぬくとしたお布団さんにこもった。私は最強のニートという生活を堪能していた。そうしたら父上と母上からそろそろ嫁を探せと言われた。
「最強のニートは結婚なんかしないんだ。はっはははっ」
「いや結婚しないとまずいですよ、公爵様」
「ホモですなんて疑われてますよ、公爵様」
「それは酷い疑いだな、私はホモではない。ちゃんと女性が好きだ」
「だから嫁探しをしましょう、公爵様」
「疑いを晴らすためですよぅ、公爵様」
「しかしこの最強のニートを受け入れてくれる嫁がいるかな」
「地道に探しましょう、公爵様」
「きっと見つかります、公爵様」
それから私はパーティにでることになった、最強のニートなのにお布団でぬくぬくしていられなくなった。パーティ用に紳士服を身に着け、ダンスを踊る練習をした。私はお嫁さんなんて簡単に貰えるものかなっと思っていた。そうしてパーティに出たが、どの女性もギラギラした目をしていて怖かった。私に夢中というか、私の持つ公爵家の財産に夢中だった。それでパーティにでたがお嫁さんは見つからなかった。パーティはいくつもあるので探す場所には苦労しなかった。
「やっぱり私は体を鍛えている方がいいぞ」
「花嫁はみつかりませんか、公爵様」
「そう簡単にはいきません、公爵様」
「そういえば公爵領が今年は不作のようだな」
「備蓄した食料の準備はできております、公爵様」
「領民を飢え死にさせることはないです、公爵様」
「うむっ、領民が死ねば税を納める者が減るからな。不作の原因を探らせろ」
「かしこまりました、公爵様」
「すぐに手配します、公爵様」
不作の原因は麦につく虫の仕業だった、直ちに虫を殺す薬を錬金術師に作らせ公爵領中に散布させた。来年もその薬を使うように指示しておいた、これで来年は不作ではなくなるはずだ。最強のニートは働かないためなら何でもするのだ。そうして翌年は大豊作となった、だからその間に穀物を備蓄しておいた。
「体を鍛えるのは楽しいが、そろそろ腕のたつ者と戦いたいぞ」
「密かに探してまいります、公爵様」
「良い強者を用意致します、公爵様」
そうして私はウエザーとラルトが用意した強者と戦ったが負けなかった。魔法を使う奴には魔法で対抗した。王宮を守る騎士団長ですら私には勝てなかった。おかげで私の名が広く世間に知られてしまった。私はこれはいかんと最強のニートらしくお布団でぬくぬくしていた。しかしそうもしていられなくなった、隣国との戦争が始まったのだ。私は公爵家として戦うように呼び出された。仕方なく私はぬくぬくとしたお布団から出ていった。領内の統治はウエザーとラルトに任せておいた。そうして戦争がはじまった。
「『抱かれよ煉獄の熱界雷』」
私は公爵として戦った、魔法で何千もの命を奪った。私の魔力量は異常だったので、私は一日に何発でも魔法を使うことができた。私自身は何千、何万もの人々の冥福を祈っていた。そうして戦争は主に私の活躍によって勝てた。そうすると国王陛下が褒美をやろうと言ってきた、私は悩んで悩んで悩みぬいたすえにこう答えた。
「戦場で活躍したクレイス・ミュートスに褒美をやろう」
「それでは私が自由に花嫁を探す権利をください」
「うむ、分かった。クレイス・ミュートスに見初められたものは、必ず彼に嫁ぐように」
「ありがたき幸せ」
こうして私はどこの令嬢でも花嫁にしていい権利を貰った、お姫様だって私に嫁ぐことになるのだ。もっとも私はお姫様を娶る気なんてさらさらなかった。私はいつものように体を鍛えると汗を風呂で流して、お布団の中でぬくぬくしていた。そうしているとウエザーとラルトが私がいない間の公爵領のことを報告してきた。私はお布団でぬくぬくしながらそれを聞いた。
「そうか麦につく虫も死んだか、錬金術師に薬を作らせたかいがあったな」
「公爵様の慧眼のおかげでございます」
「公爵様の判断のおかげでございます」
「報告はそれだけか、それなら私はお布団でぬくぬくしよう」
「戦場から帰った者が職を得られずに困窮しております、公爵様」
「仕事がないために犯罪にはしる者もでてきております、公爵様」
「それなら公共事業をしよう、領内の橋などを点検して必要なら新しい物を作れ」
「なるほど仕事を与えられますね、公爵様」
「犯罪にはしる者達も減りますね、公爵様」
こんな調子で私はウエザーとラルトに頼って公爵領を治めていた。公爵領は発展し王都にも負けないくらいに商業が活発になった。公共事業のおかげで職を得た者が買い物をするのだ。私は公共事業が終わった後のことも考えていた、戦場から帰った者を騎士として雇おうと思っていた。
「はっはははっ、私は最強のニートになるのだぁ!!」
「ニートって何でしょう、ラルト」
「僕にも分かりません、ウエザー」
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