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第九話 告白と健太の秘密

 朝、目が覚めた健太は、憂鬱な気分でいっぱいだった。それもそのはず、昨日、千夏と電話で、今日、話をしないといけないからだ。千夏の事を諦めようとしていた分、千夏と会うのが、悪いと思い、会わないようしていたが、今日は、千夏と会って話をしなければならない。そう思うと、千夏への罪悪感で、憂鬱な気分だった。そのせいか、亜子が作った朝御飯もあまり、喉を通らなかった。

「行ってきます」と、健太は、学校に向かったが、千夏の事を思うと足取りが重い。

学校に着いて、教室に入るとすでに、千夏がいた。健太は、あえて気づいていない振りをし、席に着いた。

授業が始まっても、授業の内容が、頭に入らず 「たるんでる」と、先生に怒られる始末。

そんな状況が、ずっと続き、とうとう放課後になった。放課後になった教室は、皆、足早に部活へ向かう子、家路に着く子ですぐに、教室には、健太と千夏の二人だけになっていた。

千夏は、二人だけになった教室を見回して、健太に近づいて。

「け、健太くん、昨日は、急に電話してごめんなさい。どうしても、話したい事があって」

「ううん。いいよ、話って何?」

「あの、ここじゃぁ~、ちょっと……屋上に行かない?」と、千夏はちょっと困った顔をした。

「分かった。じゃ、屋上に行こうか」

二人は、屋上に向かい、屋上の重たい鉄扉を開けた。秋の風が、頬に当たり少し肌寒さを感じさせた。二人は、フェンス沿いのベンチに座った。

「もう、秋だから肌寒いね。千夏ちゃん寒くない?」

「大丈夫だよ、もう、秋なんだよね。早いなぁ」 と、会話してから、なかなか次の言葉が出て来ない。健太と千夏の間に沈黙が続いた。数十分沈黙が続いていたが、その沈黙を破ったのは、健太だった。

「ち、千夏ちゃん、この前は、ごめんね。急に変な事言って。誤っても、済む事じゃないかもしれないけど……」

「ううん。いいよ……気にしないで。私も、あの時、健太くんに言われて、それじゃ、嫌だって気づいたの。だから、今日は、ちゃんと言わせてね。私は、中学の時から、健太くんが……」と、千夏は、言いかけたが、健太が

「千夏ちゃん、そう言えば、今日、部活は?」とはぐらかした。

「今日は、部活休んだの。健太くんと話をしたくて。ちゃんと聞いてよ。お願いだから」

「うん……分かった」

「ありがとう。私は、健太くんが好きです。私、健太くんとずっと一緒にいたいの」

勇気を出して、千夏は、健太に告白をした。

「千夏ちゃん、ありがとう。うれしいよ。俺も、本当は、中学の時から千夏ちゃんに一目惚れしてたんだ。でも、ごめんね。今は、無理だよ」と、健太は、言って、その場を立ち去ろうとしたが、千夏に呼び止められ

「健太くん、待って。どうして、今は駄目なの? ちゃんと理由を知りたいの?」と、うっすらと瞳に涙を浮かべながら、健太の腕を掴んで言った。しかし、健太からの言葉は無かった。健太は、気絶してしまったのだ。 千夏は、健太の身体から力が抜けたのを感じて、健太の顔を見ると、気を失った事に気付いた。

千夏は、慌てて保健室へ健太を運び、ベッドに寝かせた。

千夏は、ベッドの横に座り、健太の様子をうかがいながら

「前にも、こんな事があったなぁ~。これで三回目だっけ。何でだろう? やっぱり、健太くんどこか、悪いのかな?」と、一人呟いていた。

 数十分後に健太は、目を覚ました。

「健太くん、健太くん! 良かった、気がついたみたいだね」

「ごめん、また、気を失ったみたいだね。心配かけて……ごめん……」

「ううん、大丈夫よ。でも、これで三回目だね。本当に、体の調子が悪いの?」と、千夏が心配そうな表情で聞いた。

「いや、違うよ……どこも悪くはないんだ。ただ……」

「ただ……何?」

「実は、信じれないかもしれないんだけど……俺は、変な体質を持ってるんだよ」

「変な体質?」千夏は、首を傾げた。

「俺は、自分と同じ年頃の女の子に触られちゃうと……気絶しちゃうみたいで……だから、さっきも気絶しちゃったんだ」健太は、千夏に自分の体質について全て話した。 「そうなんだ。さっきも、私が、健太くんの手を掴んだから……知らなかったとはいえ……ごめんなさい」

「千夏ちゃんは、悪くないから。だからさ、俺は、好きな人が出来ても……手を繋いで、デートとかも出来ないし……こんな俺なんかと、付き合う女の子が、可哀想な気がして……」

千夏は、少し、険しい表情になり

「健太くん、それは違うよ。体質が、何だって言うの? そんなの関係ないじゃない。好きな人と付き合うのは、当然だし。デートするのも、手を繋ぐだけじゃないんだから。好きな人と、触れ合っていたいってのも分かるけど……触れ合うのが、全てじゃないのよ。好きな人が、隣にいてくれるだけでも私は、いいと思う。私は、好きな人が、隣にいていつも、笑顔を見せてくれるだけでも幸せを感じるもの」

「千夏ちゃん」

健太は、千夏の言葉に、胸を打たれた。

「でも……千夏ちゃん、俺の体質を知っても……俺の事、好きでいてくれるの……」と、下を向いたまま聞いた。

「当たり前だよ。私は、健太くんの体質なんて、気にしてないよ。私の気持ちは変わらない」と、健太に笑顔を見せて言った。

「千夏ちゃん、俺の事を真剣に考えてくれた人初めてだよ。ありがとう」 と、健太は、無意識に千夏の手を取った。が、そのまま気を失った……

目を覚ました健太は、千夏が、笑っているのに気付いた。

「あれ……俺、どうしちゃったの?」

「もう、健太くんったら。さっき、私の手を握ったからじゃない」

「あっ、ごめんね」と、二人は、笑いあった。 健太は、千夏が、自分の事を心から想ってくれているのを知って、健太の胸は、高鳴った。雪絵の時とは違う。健太は、そう思った。健太は、千夏の顔を見ると真っ赤になった。そんな健太を千夏は

「どうしたの? 健太くん。真っ赤だよ」

「いや……何でもないよ……そうだ、千夏ちゃんって、今日、誕生日じゃなかったかな?」

「そうだよ。覚えててくれたんだ。嬉しい」

「中学の時に、皆で誕生日会をしたじゃん。それで、覚えてたんだ。大したプレゼントじゃないけど、これ、プレゼント」 と、ポケットから、昨日、買った星のストラップを渡した。 「健太くん! ありがとう。キラキラしてて可愛い。絶対大切にするね」と、千夏はすぐに、携帯に取り付けた。健太は、喜んでくれている千夏を見て、自分の想いを千夏に告げた。

「千夏ちゃん! 本当に、こんな俺でよかったら……付き合って下さい」 千夏は、突然の健太の告白に、びっくりしたが

「はい、私の方こそよろしくお願いします」千夏は、嬉しさのあまり舞い上がって、健太に飛び付こうした。

「ち、千夏ちゃん、待って、また、気絶しちゃうよ~」健太の言葉に、我にかえった千夏は、頭を掻きながら

「あっ、ごめんなさい」と、笑いながら言った。健太も、そんな千夏を見て、笑った。


 空も、暗くなり二人は、学校を後にした。

「何か、変な感じだね。健太くんとこうして、下校するなんて」

「本当だね。でも、これからは、千夏ちゃんの部活が、ないときは一緒に帰れるよ」

「うん!」

千夏と健太は、二人の時間を楽しむように、ゆっくりと歩いて駅に向かって、それぞれの家路に着いた。


 家に着いた健太は、すぐに、自分の部屋へ入り、服を着替えて、リビングにおりた。

リビングには、ムスっとしている亜子が待っていた。

「ただいま、亜子」

亜子は、健太を睨み付け 「お兄ちゃん、遅い。何してたの? 折角の晩御飯が冷めちゃったじゃない。心配したんだから」 と、プイッと顔を背けた。健太は、両手を合わせ 「ごめん、ごめん」と、平謝りをした。

「もういいよ。今度は、ちゃんと連絡してね。じゃ、温め直すから食べようよ」と、亜子は、笑顔を取り戻し、おかずを電子レンジの中に入れた。 温め直したご飯を食べながら、亜子は、健太がやけに、ご機嫌な事に気付いて

「お兄ちゃん? 今日、何かあった? やけに、ご機嫌なんだけど……」と聞いた。健太は

「まぁね、昨日、亜子に言われて、ちゃんと答えを出してきたんだ」

「そっか……って事は、彼女出来たって事?」

「うん。雪絵ちゃんには、悪い事したけど、やっと自分の心に素直になれたよ」

「雪絵には、私が、うまく言ってあげるよ。お兄ちゃんは、彼女を大切にしてあげなよ」と、亜子は、大切な兄に、彼女が出来て、嬉しいんだか、悔しいんだか、複雑な気持ちだった。


 一方、千夏は、健太の彼女になれた事が、今でも、夢を見てる感覚だった。健太と、これからは、毎日、楽しい日々が過ごせると思うと、嬉しくてしょうがなかった。

千夏は、机の上に伏せていた、健太の写真を立て直し、もうすぐ始まる文化祭で、健太とたくさん楽しい思い出を作ろうと 決めて、眠りについた。

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