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第十一話 文化祭

 文化祭当日は、いつもとは違う活気溢れる声が、飛び交っていた。

健太達も、校門のアーチをくぐり大勢の人を掻き分け教室に辿り着いた。 「すごい人だったね」

「今日は、文化祭だしね。色んな人達が、来てるんだもん。私達のクレープ屋もなかなか繁盛してるみたいだし」

と、店番の準備をしながら、言った。

健太と千夏の店番の時間になり、先に店番をしていたクラスメイトに

「お疲れ、交代します」 「うん。よろしくね」

と、二人は、店番についた。健太達のクレープ屋は、皆の予想を上回るほど繁盛していて、忙しく走り回っていた。

そんな中、教室に健太のよく知ってる女の子達が入ってきた。亜子と雪絵だった。亜子は、クレープを作ってる健太に近づいて

「お兄ちゃん! 来たよ。頑張ってるみたいだね。私達も、売り上げに貢献するよ。って言っても、お兄ちゃんのおごりだけどね」と、舌を出しておどけてみせた。

「亜子、雪絵ちゃん、いらっしゃい! 何にする? 二人のお代は、俺が払っとくから」

「そんな事より、ほら、雪絵」と、亜子は、雪絵の肩を押した。

「健太さん、おはようございます。頑張ってますね。亜子から、健太さんに彼女が出来たって聞いて、ショックだったけど……私、健太さんに恋をしてよかったです。これからも、今まで通り仲良くしてくださいね」と、雪絵は、頭を下げた。

「雪絵ちゃん……もちろんだよ。可愛い妹が、二人になったみたいで、俺も嬉しいよ」と、笑顔で返した。それを見た亜子が、辺りを見渡し

「ところで、お兄ちゃん? 彼女は何処?」

と、ニヤニヤしながら言った。健太は

「えっ、別にいいだろ。早く注文しなよ」と、はぐらかす。亜子と雪絵は 「いいじゃん。紹介してよ。勿体振らないでさ。ね、雪絵」

「うん、私も見たいな。健太さんの彼女」

「雪絵ちゃんまで~」と、騒いでいると千夏が、健太の元へやって来た。 「健くん? どうしたの?」と、健太達を見た。 「ちぃちゃん、何でもないよ。うちの妹が来ててね。話をしてたんだ」

亜子達は、健太の隣に来た、千夏をキョトンとした表情で見つめていた。 「あっ、そうなんだ。初めてまして、倉橋千夏です」と、笑顔で挨拶した。亜子達は

「初めてまして、妹の亜子です。こっちは、友達の雪絵です」と、慌てて挨拶する。亜子が

「お兄ちゃん! めちゃくちゃ可愛い人じゃないの! お兄ちゃんにしては、よくやったね。妹としては、鼻が高いよ」と、首を縦に振りながらしみじみと言った。雪絵も 「健太さん、お似合いですよ。これじゃ、私も歯が立たないですね。ちょっと悔しいですけど」

「ゆ、雪絵ちゃんまで……もういいよ、恥ずかしいって」

「何言ってんの。喜んであげてるのに。千夏さん、うちのお兄ちゃんをよろしくお願いします。それとまた、うちに遊びに来てくださいね」

「うん、ありがとう。亜子ちゃん。今度遊びに行かせてもらうね」

健太は、二人が話をしている間に入り

「亜子、それより早く注文しろよ」

「折角、話をしてるのにぃ~、分かったよ。じゃ、私はチョコバナナで」 「雪絵ちゃんは?」

「えっと、私もチョコバナナにします」

「はい、じゃ、チョコバナナ二つね。五百円になります」

「お兄ちゃん、よろしくね」と、言われて健太は、ポケットから五百円を取り出して、千夏に渡し、クレープを作った。

作りたてのクレープを二人に渡して

「亜子、これからどうするんだ」

「一応、一通り見て回るつもりだよ」

「そっか、まぁ、楽しんで来なよ」

「うん。お兄ちゃん達の邪魔はしないから、お兄ちゃん達もね」と、またニヤニヤしながら言った。健太は、溜め息をつき「はいはい、気をつけていけよ」

「うん、ありがとう。じゃあね」

と、亜子と雪絵は、手を振りながら教室を出ていった。

それから、一時間ほど店番をして、交代の時間になった。

「やっと終わったね」

「うん、健くん、とりあえず私達も見て回ろうよ」と、エプロンを外しながら言った。


 二人は、教室を出て、 グラウンドにある、仮設のステージの近くを歩いていた。すると、仮設ステージの方から、聞き覚えのある歌が聞こえてきた。健太達は、仮設ステージのところへ行き、学生達のライブを見ることにした。

「そう言えば、この曲って、今話題のJurny(ジャーニー)の曲だよね。俺、Jurnyの曲好きなんだよ」「健くんもなんだ。私も大好きなの。特に、『涙をふいて』って曲が好きだな。あの切ない感じがいいの」

「うん、いいよね」

歌を聞き終わった二人は、移動して、今度は体育館の中にあるメインステージに行った。

体育館の入口の前で、勧誘の人に呼び止められた 。

「二人は、カップルですか? だったら是非これに参加して下さい」と、チラシを見せられた。見ると、『ベストカップルコンテスト』と書いてあった。健太は

「いや、出場はいいですよ。見てるだけで……」と、断ろうとしたが、勧誘の人に強引に

「君等は、見た感じイケメンと美少女じゃないか! 優勝間違いないから! 優勝商品は、ペアのシルバーリングだよ。出ようよ」と、半ば強制的に体育館の倉庫に連れて行かれた。倉庫の前には、『楽屋』と書かれていた。仕方なく、健太達は楽屋と書かれた倉庫の中に入った。倉庫の中には、出場するカップルが、十組ぐらいいた。その中に、真樹と大地の姿があった。真樹の姿を見つけた千夏が

「あれ、真樹じゃない? どうしたの、こんなとこで? もしかして出るの?」と、真樹に声をかけた。 「いや、私は別に出たくなかったんだけど……無理矢理連れて来られて」 「誰に?」

「あのバカの中川だよ。体育館の前で、ばったり会っちゃって、勧誘の人にカップルだって間違えられて、ここに連れてこられたって訳なの」

「へぇ~、そうなんだ」 「千夏達は?」

「一緒だよ。勧誘の人に無理矢理にね」

と、溜め息混じりに言った。

しばらくすると、体育館内に、コンテストが始まる放送が流れた。

楽屋にも、コンテストの説明をしに、係の人がやって来た。

「今回は、二つの審査を行います。一つは、デートに着ていく服装、もう一つは自分の好きな服装です。服は、沢山用意してますので、頑張ってくださいね」と言って、楽屋を後にした。健太達は、とりあえず服を選び着替えた。

メインステージでは、司会の人が

「只今より、文化祭一大イベントのベストカップルコンテストを開催いたします~」と、コンテストの開催を宣言した。

「審査員は、観客の皆さんです。これぞ、ベストカップルと思った組に投票して下さい」

拍手がおこる。

「では、早速、初めの審査は、デートに着ていく服装です。それでは、一組目、どうぞ」

コンテストが、始まった。最初は、嫌がっていたが、いざコンテストが始まるとその気になってしまう。健太達は九組目だった。刻一刻と、出番が近づいてくる。

そして、とうとう、健太達の番になった。

司会者の悠長な紹介を受けて、健太達は、ステージに出た。服装は、シンプルな物だったが、観客は、大歓声をあげた。

観客席から

「あの人、超カッコいい」とか、男子からは

「あの娘、可愛いじゃん。アイツ羨ましいなぁ」 などと言った声が聞こえてきた。

健太達は、とりあえずポーズを決めてステージをおりた。楽屋に戻り、次の審査の服を探していた。健太が

「ちぃちゃん、これにしようよ」

「えっ、これは、ちょっと恥ずかしいなぁ」

「でも、俺もちぃちゃんが、これを着てる姿が見たいな」

「健くんが言うなら……来てみるよ」

次の審査の服が決まり、急いで、着替えた。

二つの審査の後に投票する為、すぐに二つ目の審査に移った。

「続きまして、二つ目の審査を行います。それでは、どうぞ」

一組目からまた、順番にステージに上がった。

もうすぐ健太達の順番になった時、千夏が、着替え終わって出てきた。健太は、千夏の姿を見て、一瞬言葉を失ったが

「ちぃちゃん、すっごく似合ってる。可愛いよ」と、健太は、顔を真っ赤にしながら言った。千夏も、顔を赤くして

「ありがとう、健くん。着てよかったよ」

健太達の一組前は、真樹と大地で、真樹たちは、水着で勝負していた。

真樹達の出番が終わり、健太達の番になり、司会者の紹介の後、ステージに上がった。またしても大歓声。

「めちゃくちゃ綺麗じゃん。いいなぁ、あんな娘と付き合いたい」と男子の嘆きの声がする。

健太達の服装は、大絶賛だった。

健太達は、千夏は、純白のウェディングドレス、健太は、白のタキシードで決めていた。

二人は、ポーズを決めて千夏が、手に持っていたブーケを観客に目掛けて投げステージをおりた。 全ての審査が終わり、コンテスト出場者がステージに上がり、審査結果を待っていた。

しばらくすると、司会者が、優勝ペアの書いてある紙を持ってステージの真ん中に立った。

「お待たせ致しました。審査結果の発表を行います。第五回ベストカップルコンテスト優勝ペアは……」ドラムロールの音が鳴る。

「優勝は、健太、千夏ペアです」と、発表された。健太達は、信じられないといった表情を浮かべ喜びあった。

「では、優勝ペアにシルバーリングの贈呈と、優勝パレードと言う事で、体育館内を一周回って頂きます。それでは、どうぞ」と言われて、ステージにかけられている階段を降りようとした時、ウェディングドレス姿のままの千夏は、ドレスの裾を踏んでしまい、階段から落ちそうになった。健太は、千夏が階段から落ちそうになるのを無我夢中で支え、気がつけばお姫様抱っこ状態になっていた。千夏が、目を開けた時に、健太は千夏を抱えたまま歩いていた。

「健くん、大丈夫なの? 私を抱えて……」

「えっ、本当だ、気絶してない! 無我夢中だったから気がつかなかったけど、治ったのかな?」 「健くん、無理しないで、もうおろしてもいいよ。重たいでしょ……」

「ううん、全然軽いよ。このまま回ろうよ。今まで、ちぃちゃんに触れ合う事が出来なかった分今、触れときたいんだ」と健太は、千夏抱えたまま体育館を一周した。


 コンテストが終わって、体育館を出てきた二人は、健太の体質が治ったのか確かめる事にした。 「健くん、大丈夫なのかな?」

「分からない。やってみようよ」と、言って二人は、手を繋いでみた。

健太は、さっきと同様に気絶する事はなかった。 健太は、感極まって大喜びした。

「やっと、あの体質から逃れる事が出来たぁ」

と、跳び跳ねながら喜んだ。千夏も、健太の体質が治った事に感極まり、涙を流しながら

「健くん、良かったね。本当、良かったね」と一緒に喜びあった。


 その後、二人は、手を繋いで、文化祭を楽しんだ。文化祭も終わりに近づいた頃、健太達は学校で一番大きい桜の木の下 に来ていた。健太は、千夏を見つめて

「ちぃちゃん、ありがとう。この体質が治ったのも、ちぃちゃんのおかげだよ。ちぃちゃん、これからもよろしくね」

「うん。こちらこそ、これからもよろしくね。健くん」と、二人は、抱きしめあった。そして

「ちぃちゃん、大好きだよ」

「私も、大好き」

と、二人は、桜の木の下で唇にキスをした。


(おわり)

初めの恋愛小説。読みづらかったと思いますが、最後までお付き合いして頂きありがとうございました。


また、感想、ご意見ありましたらよろしくお願い致します。

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