第一話 特異体質
今回は、恋愛小説です。 読みづらいかもしれませんが、読んで頂けたなら幸いです。
ここに、一人の少年がいる。彼の名前は、如月健太。健太は、容姿端麗で、いわゆる『イケメン』というやつだ。
だが、健太には、弱点があった。健太は、小さい頃から、自分と同じ年頃の女の子に、触られたりされると、何故か、気絶してしまうのだ。前は、話かけられただけでも、気絶していたのだが、何とか、話かけられるだけなら、気絶する事は、なくなった。そんな、体質の持ち主健太が、この春から、高校生。さてさて、どんな波乱が待ち受けているのやら!
ジリリリリっと目覚まし時計の音が鳴り、朝を知らせる。健太は、寝ぼけまなこで、騒々しい目覚まし時計をたたいて止めた。まだ、眠い目をこすりながら、カーテンを開ける。
そして、顔を洗い、制服に着替えて、コンビニで、買っていたパンをかじりながら、コーヒーを飲んでいると、携帯電話が鳴った。
「もしもし、お兄ちゃん、起きてる? 可愛い妹からのモーニングコールだよ」と、健太の妹、亜子からの電話だった。健太は唯一、妹だけには、話かけられたりしても、気絶する事はなかった。「起きてるよ! 毎日、電話してくるなんて、亜子も、マメだなぁ~」
「当たり前じゃない! しっかり者の私が、お兄ちゃんの面倒を見なきゃね! 朝ご飯もちゃんと食べたの?」
「今、食べたとこだよ」「それなら、よろしい! 後は遅刻せずに学校行きなよ。それと、今度、お兄ちゃんのアパートに行くからね。じゃ、バイバイ」亜子はそう言って電話を切った。健太は、ため息をひとつついて、アパートを後にした。
学校に行くまでは、電車に乗って行かなければならない。その為、健太にとっては、最悪な交通手段なのだ。通勤、通学で、満員電車に揺られながら、行かなければならない。その中には、健太の苦手な女性もたくさんいるのだ。健太はいつも「何で、女性専用車両はあるのに、男性専用車両はないんだ」と胸の奥で叫んでいた。今日も、満員電車に揺られながら、女性が近くにきませんようにと、祈りながら電車に乗った。満員電車に揺られること三十分、何とか、無事に電車から降りて、駅から学校に向かう途中、後ろから、声をかけられた。
「おっす! 健太! 今日は、無事に登校出来てるみたいだな」と、健太に声をかけたのは、健太が、中学の時からの親友の中川大地だった。
「おはよ! 大地! 今日も、ヒヤヒヤだったけど、何とか辿りつけそうだよ」
「お前、本当に、治らんよなぁ。けっこう女子から、モテんのに、勿体ないぞ」
大地は、健太の体質の事を知っていた。それは、健太が、中学生の頃、大地と知り合って、健太が、女子から告白された時に、大地が、からかって健太の体を押した。その時、健太は、女子にぶつかった瞬間に、目の前が真っ暗になり、意識を失った。数分後、健太は、意識を取り戻した際に大地が
「すまん! お前が気を失うなんて思わなかった。っか、何で、気を失ったんだよ」
「恥ずかしいけど、俺は、昔から、年頃の女の子に触れられると、気絶するんだよ。女性恐怖症ってやつなんだ」と、健太は、大地に自分の体質について、説明した。その時から、大地は、健太の秘密を知ったのだ。
駅から学校まで、歩いている途中にも、女子の視線は健太に向いていた。健太は、その視線にビクビクしながら、学校に向かった。
「本当、健太が、羨ましいぞ。高校に入って、すぐに、告白されたんだろ?」
「まぁ……そうなんだけど……」
「健太は、やっぱり、千夏ちゃんがいいのか?」「うん! 中学の時から、一目惚れしたからな。でも、俺は、この体質のおかげで、告白なんて出来ないよ。絶対、気を失ってしまうだろうな」
健太が、中学生の時に一目惚れをした、女の子 倉橋千夏は、中学時代、健太とは、三年間同じクラスで、クラスでは、一、ニを争うぐらい男子には人気の女の子だ。千夏は、クラスの皆に優しく、明るい性格の持ち主である。そんな千夏に健太は、一目惚れをした。ある日の放課後、健太と千夏が、掃除当番になり、ゴミを焼却炉に持って行く時に、千夏が、段差に躓き、倒れそうになった瞬間、健太がとっさに千夏を抱き抱えた。だが、案の定、健太は、気を失って倒れてしまった。千夏は、助けてくれたはずの、健太が倒れているのを見て、すぐ、保健室に健太を運んだ。数十分後、健太は、目を覚ました。千夏は、健太が、目を覚ましたのを確認してから 「如月くん! ごめんね! 私が、段差に躓いたせいで、如月くんに迷惑かけちゃって」
「大丈夫だよ! 千夏ちゃんは、大丈夫? 怪我はなかった?」
「私は、大丈夫だよ。如月くんが、目を覚まさないから心配したよ」
「ごめんね。俺の方こそ千夏ちゃん……倉橋さんに心配かけちゃって」
「ううん。全然いいよ。元はと言えば私のせいだし。それより、私、うれしいんだ。初めて、男の子に、名前で呼んでもらえたから」
「ごめんね。ついつい名前で、呼んじゃったりして」
「いいよ。千夏って呼んでも。私も、如月くんの事、健太くんって呼んでもいいかな?」
「俺も、構わないよ」「ありがとう。そう言えば、健太くんって、いつも、教室のお花の水をかえたりしてるよね」
「恥ずかしいなぁ。見られてたかぁ。実は、うちの家族が、みんな花が好きでさ、その影響で、俺も、花が好きになったんだよ。それで、教室の花の水を入れ変えたりしてたんだ」
「そうなんだ。すごいよ。私、毎日、やってる健太くんの姿を見て、すごい優しい人なんだなって思っての」と、千夏は、健太に、尊敬の眼差しを向けた。健太は、その眼差しに、ドキドキしながら、また、気を失わないように、必死にこらえて千夏に向けて笑顔を返した。
その頃から、健太は、千夏の事を気になるようになったのだ。
学校についた健太は、いつものように、気だるい授業を受け、放課後、皆が、部活で汗をかいているなか、健太は、帰宅部な為、そそくさと学校を出た。帰りも、電車に揺られ、女性の視線を気にしながら、アパートに辿りついた。鉄の階段を上がり終えた時に、
「お兄ちゃん、お帰り! 待ってたよ」と、亜子が、駆け寄ってきた。突然の事に、健太は、呆然としたが、
「亜子、どうしたんだよ。何で、俺のアパートにいるんだ?」
「何言ってんのよ。朝のモーニングコールで、お兄ちゃんのとこに行くって言ったじゃない。しかも、こんな可愛い妹を待たせて」
「今日来るとは、聞いてなかったんだけど、それにしても、何で、ボストンバックまで持って来てんだ」
「実は、パパが、海外出張になったの。それで、ママも着いて行くらしいから、私は、お兄ちゃんのとこにやっかいになろうかと思って。それに、お兄ちゃんの世話は、私が、してあげないとね」「そっか。そんな話は、聞いてなかったけど、まぁ、仕方ないか」
「そうそう、だから、よろしくね、お兄ちゃん」 と、亜子が、無邪気に笑ってみせた。
健太は、これから自分の生活が、どうなるのか不安を感じずにはいられなかった。




