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第八話:神に等しき獣たち

 邪竜を殺した。その時に何か特別な感情は湧かなかった。地底の海を飲み干し、自身そのものが海となったその質量を使って邪竜をじわじわと足元から捉え、溺れさせる。


 核は巧妙に地底世界の壁面の中に網状に巡らせた俺の肉体の中を移動させ続けた。何か動きを起こす時は天井の方に移動させ、また邪竜に動きがあった時にも同じようにした。


 邪竜は細胞のひとかけらになるまで意識があったのだろう、倒してから時間が経ったと思った時、ようやくアナウンスがやってきた。


[スライム(Lv.1532→1918794 LvUp!)スキル:体液分泌]


 どう考えてもバグってるレベルの上昇に対し、ふっと笑みがこぼれる。


 しかし、まあ。

 それはそれとして。

 俺はどうやって地上へ戻れば良いのだろうか?


 もはや海同然となった自分の巨大な身体を見ながら、独りごちた。























 あれから壁を掘って掘って掘りまくって、なんとか元いた地底湖に合流することができた。細い通路を食べて広げながら進んでいく。通れるように魔改造していく過程で、多くの命が失われたが、レベルは一切上昇しない。


 俺がこの先レベルを上げられるとするならば、邪竜ほどのモンスター、まさに神と呼ぶに相応しい巨体を持つバケモノを倒した時だけだろう。


 しかし、俺には確信があった。

 今なら戦える。


 細い洞窟を内側から食い破るように進む。地上の光が見える。


 そうして、地面を食い破って地上世界へ飛び出した俺を、双翼を羽ばたかせて宙に浮かんだ一人の女性が出迎えた。


「これは想定外でした。異界の魂を呼び込んでまさかこんなひどいことになるなんて…」


 悲しいな。「見込みがある」なんてことを言っていなかったか?天使さんよ。


「あら、よく覚えていますね。たしかに言いました。ですがあれは、大した能力もない人間なら、異世界に行っても特に何の変革ももたらさずに死んでくれると思ったのです。そう言う意味の『見込み』でしたのに。それが、まさかあのような環境最上位のアンブレラ種を食べてしまうなんて…これで生態系に更なるカオスが生まれてしまいます」


 それはあんたの判断ミスだ。残念だったな。恨むなら自分の見る目がなかったことを恨んでくれ。そして、いい言葉を教えてやろう。『適材適所』だ。適性を見極め、自身が望んだ効果を挙げそうな場所へ送るのが上司としての役割なんだよ。あんたそこの理解がちょっと甘かったんじゃねぇか?


 


 

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