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ルルーナガー1

「あしたも世界が穏やかに続きますように」


 ベッドの中でそう祈ってから、目を閉じた。

 おやすみ人類。



 翌朝、お母さんが作ってくれたおにぎりを2個も食べてから登校した。朝はしっかり食べないと儀式中に倒れるかもしれないからって、お母さんはうるさく言う。女の子は特にちゃんと食べろなさいって。だって将来は巫女になるんだからって。


 小六の教室に入ると、真冬なのに半袖姿の村崎くんが、「昨日のテレビ見た?」と聞いてきた。

「見てない。私テレビって見ないもん」

「なんでだよ。昨日の「探検バカンス」にゴーサが出てたのに」

 村崎くんはゴーサとかいうタレントの大ファンで、その布教活動がちょっとしつこい。

「約束やぶんなよ。ちゃんと見るって言ったくせに」

「えー、そんなこと言ってないよ」

「言ったって!」

「言ってない」

 ランドセルがぶるりと震えた。中に入れているタブレットがメールを受信したのだろう。私は自席についてメールをチェックした。

「このたびはタルエル決済を御利用いただきありがとうございました。引き落とし予定日は27日です」

 とあった。

「なんだろう、これ」

 迷惑メールってやつかなあ。私は深く考えずにメールを削除した。


 担任の先生が教室に入ってきて、「みんな、よく聞いて」と、声を張り上げた。

「クラスのお友達が行方不明になりました」

 生徒たちはみんな黙っていた。


 だって、もう、こんな不幸な知らせは慣れっこなんだもん。


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