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04:初恋と幸せな日々

 あの日からずっと、私はデリックのことが忘れられなくなった。

 彼とまた話したい。傍にいて手を握ってもらって、安心させてほしい。


 そんな思いが日々募る中、私は自分の意志というものを持つようになった。

 父親に殴られそうになれば口で抗うし、それでもダメなら相手の時を停止させてしまえばいい。

 継母に悪口を叩かれた時は徹底的に無視をする。


 私は外とのつながりも作っていくことにした。

 王子、それも王太子の婚約者となった私は、ずっと家に引き篭もっているわけにはいかない。


 三日に一度は王城へ足を運び、王妃教育を受ける。

 たくさんの人と知り合いになり仲良くなった。ドブネズミと罵られて生きて来た今までとは違う明るい世界がそこには広がっていたのだ。


 そのうち私は勉強ができるようになりマナーを習得し美貌を誇る、最高の令嬢となっていった。


 その頃にはもはや両親は私に手出しできなくなっていたし、私は私としての人生を歩めるようになった。

 それもこれも、初恋の彼の言葉のおかげ。


「私はデリックの、お嫁さんになる」


 十三歳の私はそれを信じて疑っていなかった。


 あれから時魔法を発動させることもなく、平穏な毎日を送っている。

 私はパーレル家の麗しき令嬢なんて呼ばれてしまい恥ずかしいくらいだった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 デリックのことを想うと、いつも胸が熱くなる。

 抱きしめたくなって、たまらなく恋しくなって。

 そしてそんな私を、彼はいつも受け入れてくれるの。だから私は毎日を頑張れる。頑張り続けたいと、そう思う力になる。


 ……ああ、幸せ。


 私は将来デリックのお嫁さん――つまり王妃になり、彼を支える。

 そして彼にも守られて、夫婦仲慎ましく暮らすの。


 そうしたら今よりもっと幸せになれる。

 昔は嫌なことがたくさんあった。痛いことも数え切れないほどあった。家庭環境は最悪だったし、親からの愛などいまだに一度も受けたことがない。

 でも、そんな過去のことなんてどうでもいい。今は輝かしい未来を待ち望み、恋しい人と結ばれたい。ただそれだけが私の願いだった。


 しかし不幸は訪れる。

 私をどん底に陥れるべく、本物の悪魔の使いが。

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