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34:復讐劇の幕開け

 第二王子ジェイクを仲間に入れたおかげで、随分と助かった。

 王都周辺を壊滅させるべく『闇の騎士』と呼ばれる軍団も、私たちに協力してくれるようだ。

 もっとも私はそんな人員がなくても世界を破滅へ追いやることはできるだろうが、数は多い方がいい。


 それに、破壊した町村の民が王都へ逃げ込まないように滅殺する作業も『闇の騎士』らに任せることができ、私と悪魔には余裕ができた。


 その間に、いくつかの都市を滅ぼすことにも成功した。


「今までは小さな村が多数だったが、都市を滅ぼすのはさらに面白いな。王都への期待が高まるばかりだ」


 破壊した都市は王都の次に人口の多いところだった。

 水魔法によって一瞬にして水没した都市の中、溺れる人々が助けを求めて浮き沈みする。水中で竜巻を起こせば彼らは悲鳴を上げて飛び散っていった。あれは愉快だったなと私は笑う。


 これでこの国の半分を超える町や村、都市は絶えたのではなかろうか。

 それだというのに、王城ではもうすぐ結婚式が開かれるらしい。王太子デリックとその婚約者、メア・ドーランの幸せでおめでたい結婚式が。


 ――ああ、おかしい。あまりにも愚かすぎて思わず嗤えてきてしまうな。


「どうやら順調のようですねぇ、マレ様」


「ああ。明日の朝に特攻、そして後は予定通りに進める」


 王都へ入り、城下町を踏み荒らす第二王子の『闇の騎士』軍。

 その一方で私は城へ向かい、行動を起こす。これは絶対に誰にも邪魔させない。


 人々の悲鳴や涙、滑稽な死に様を見るのが楽しみだ。きっと今まで味わったことのないほどの素晴らしい狂想曲を奏でるだろう。

 ……あの時のメアはきっとこんな気持ちだったに違いない。魔女になった今、私にはよくわかる。


 何もかもを、この世の全部全部を、私の手で崩してやる。

 そして廃墟の中で私は笑うのだ。勝利を祝って、高らかな鼻歌を口ずさみながら。


「マレ様はほんと変わっていらっしゃる。そういうとこ、大っ好きです。僕も今から腕が鳴りますよ」


「そうだな。悪魔も、世界を覆い尽くすほどの悪を与えてやればいいさ」


 かつての私――マレガレットが味わったように、彼女らを救いのない不幸のどん底に陥れてやる。

 泣き叫んでも決して許してはやらない。この胸の内に溜め込んだ憎悪はそれほど甘いものではないのだから。


「さて、ではそろそろ始めようか。――恐怖の魔女の復讐劇を」


 

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