表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/60

29:――救いのために

 不老不死により、私にとって死は救いではなくなった。

 では私にとっての救いは何か。


 それはこの世界が、静寂に包まれることだろう。


 私以外の何者もいない世界。

 いずれは悪魔も殺すつもりだ。もちろん悪魔には内緒だが。


 ……悪魔も私にとっては仇。

 全てが終われば復讐してやる。私は死なない。だから負けることはない。


 悪魔に時魔法を渡してしまったから、タイムリープをされたら厄介だけれど、その時はその時だ。

 大体タイムリープの際は他の人から見ればどうなっているのだろうか。一緒にその時間に引き戻されるのか、別の世界が生まれるのか。


 厄介になりそうだと私は思う。

 しかし決して引くつもりはない。私以外の全てを排除してこそ本当の安寧。その時、私に救いは訪れる。

 この長い長い苦しみから抜け出すべく、癒しが。


 きっと天の神々だって許してくださるはずだ。

 空の上に実在するとされる神々。地上には決して降りて来られないため、ただ状況を傍観することしかできない無能と言ってもいいが。

 そいつらに私を裁くことができようか? 私がいくら足掻いても彼らは手助け一つしてくれなかった。


 私は誰からも見捨てられたのだ。

 だから、何をしたっていいだろう。この穢れた世界をやり直すことくらい、許されるに違いない。


 終わったら、私はどうなるのか。

 そんなことはわからない。私も無に帰すのかも知れないなと思い、そうであったらどんなにいいだろうと願う。


 私はまもなく破滅への動きを始める。

 小さな村から潰していき、やがて王国の中心にまで手をかける。そして彼らを殺めるのだ。


 ああ、なんていい計画だろう。うっとりしてしまう。

 どれくらいの時間がかかるだろう。一年くらい? 物事は急ぎすぎず、確実に進めなくてはいけない。そういえば一年後といえば世界の破滅が訪れる、あの時だ。ちょうどいい。私もあの日あの時を終焉と定めようか。


 結婚を誓い合い、口づけを行う二人。

 しかし今度そこに立つのは私ではない。きっと彼女――メアだろう。

 私はその時に彼らの幸せを打ち砕くのである。


 さあ、それに向けてしっかり準備しなくては。悪魔にも手伝わせれば何もかもがうまくいくはずだ。

 ――全ては救いのために。

 面白い! 続きを読みたい! など思っていただけましたら、ブックマークや評価をしてくださると作者がとっても喜びます。

 ご意見ご感想、お待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ