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01:授けられたもの

 ――私には、生まれ持って授けられたものがあった。


 国有数の金持ち娘という地位? 誰もが震えるような美貌? 頭脳? それとも愛嬌のある顔?

 いいや、そんなものじゃない。私に与えられたものは全てを超越した魔法の才能だった。


 ……時魔法。


 基本、水・火・風・土の四大属性に加え光と闇しか魔法の種類はない。

 しかしごく稀に規格外がある。それが聖・氷・時の三つだった。


 私はそのうち、『時』の魔法の力を有していた。


 最初にそれに気づいたのは乳母の女性だったと思う。

 当時三歳だった私が遊んでいる時に邪魔をして、うっかり私を怒らせてしまった。

 そうしたら突然、体が動かなくなったらしい。


 息ができず心臓も動かない。

 脳みそまで止まってしまったからその時は恐ろしくなかったが、解放された瞬間、恐怖が押し寄せて来たと話していたっけ。

 それが私が時魔法を初めて発動させた瞬間であった。


 それから私は父親の手によって、小さな部屋に押し込められ乳母の監視の下育てられることになった。

 時魔法などという力が周囲に知られれば、それだけ敵は多くなる。それを恐れたが故、私を言葉の理解できる年齢になるまで閉じ込めておくという判断をしたのだろう。


 そして私は長い間部屋に監禁されていた。

 八歳の誕生日の時、父親が部屋へやって来て一言。


「時魔法のことは絶対に喋るな。使うな。いいな? わかったら、出ろ」


 それから始まったのは、愛も団欒もない家族生活。

 母が早くに死んでいたらしく、そこにいたのは私のことなど無関心な父親と、ともかく意地の悪い継母だけだった。

 無視は当たり前のこと、何かの悪口を吐かれたりわざとドレスを汚されたり、そういったことも少なくはなかった。


 これも全部、時魔法のせい?

 私がこんな魔法を持っているから、父親に愛されないのだろうか。こんな力があるせいで、継母に嫌われてしまっているのか。


 幼い頭ではわからなかったが、ただただ悲しかったのを覚えている。

 まだ乳母といられた小部屋の方がよかった。そう思って涙を流すことが、毎晩のようにあったことも。


 それでも私は父親と継母のことを好きになろうとしていたし、努力し続けていた。

 けれどそれが虚しいことだったのだと、後で思い知ることになる。


 私――マレガレット・パーレルに授けられたもの。それは天からの祝福。

 そして……地獄の始まりとなる悪魔の力だった。

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