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17:無駄な四度目の生

 目を覚ました私は、今まであったことを色々と聞かされた後、父親と継母から心無い言葉を吐かれまくった。

 そして、売られるようにして金持ちの家に嫁がされる。


「嫌、嫌……!」


 デリック以外の人を愛せるはずなんてない。

 死にたいと思った。しかしそれが彼を悲しませることになったら? そう思うと死ぬに死ねず、しかし別の男と暮らすのが嫌で嫌で仕方なくて、私はただ怯えることしかできなかった。


 そうしているうちに、突然終わりが訪れる。


 空が赤く染まり、遠くに黒い鳥が見えた。


「どう、して……」


 わけがわからず、私はボソリと呟いた。

 黒い鳥が飛んでいるのは、明らかに王城の方だ。それはつまり――。「デリック!」


 でもおかしい。おかしすぎる。

 だってメアが悪魔を味方につけていて、なおかつデリックの花嫁になる未来があるのなら、こんなことにはならないはず……。

 そこで私は一つの可能性に思い至った。


 私という邪魔者がいなくなったわけだから、メアは悪魔などの力を借りずとも良くなるのではないか?

 彼女の金持ちの家の娘であるから、私の代わりに婚約者に選ばれるのは彼女かも知れない。


 そうしたら、わざわざ悪魔と利用して魔女になろうなどとは思わないだろう。

 そしてそれは、第二王子が悪魔を手に入れられるということであり、


「謀反っ。謀反がっ」


 謀反が起こり、第二王子が兄であるデリックを殺してしまうのだ。

 そして今、世界の崩壊が始まりつつあった。


 私は四度目の生を、無駄にしてしまったのだ。

 ただただ私の身勝手な、そして愚かしい思い込みのせいで、結局全てを犠牲にしなければならない結果となった。


 いっそのこと死ねていたら、こうなる未来は変えられていたのだろうか。

 いいや、無理だっただろう。私が死んだところで結果は同じ。私の守りたいと願うたった一人の少年は、命を散らすことになる。


 今すぐにでも死にたかった。もう諦めて死んでしまいたい。

 けれど、それではデリックはどうなるのだ。私はどうなってもいい。でも彼だけは――。


「なんとしても、救ってみせる」


 今度こそ、ちゃんとやってハッピーエンドに変える。

 例え彼のそばに私の姿がなくたっていい。とにかくデリックが幸せになってくれればそれだけで私は。


 私は……構わないのだから。

 そうして私は四度目の生を捨てる決意をした。


「リープ」


 時間が、戻る――。

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