15:滅びゆく世界
ガタガタと音を立てながら、全てが消えていく。
一体何を間違ったのか。どこをどうすればこうならずに済んだのか。
無駄な問いかけを心で繰り返す。その間にも破滅は迫っていた。
「マレガレット!」
声がして、私は突き飛ばされていた。
地面になすすべなく倒れ込む。全身を打ち付け、しかし慌ててすぐ立ち上がって――悲鳴を漏らした。
そこには、デリックの死体があった。
胸が何かで貫かれており、ポッカリと空洞ができている。そこから真っ赤な鮮血を流していた。
……同じじゃないの。
ふとそんな言葉が頭の中に響いた。
前よりうまくやれている? 今度こそ幸せになれる?
どこが? これのどこが幸せだというの。
一瞬でデリックは殺されてしまった。言葉を交わしたことすらない見知らぬ少年によって。
「はは、はははははっ! 容易い! 容易すぎるな!」
降り注ぐ嘲笑は、私をひどく苛立たせた。
どうして? どうしてあなたなどに奪われなければならない。
私はメアを殺した。この手で。
何もかもが解決されるはずだった。なのに、なのに――。
世界の破滅が無慈悲に私たちを圧し潰す。
ああ、もうダメだ。
私は今度も守れなかった。大切な物、失いたくない人を。
膝をつき、地面に突っ伏す。
何度絶望したらいいの? 私が何をしたというのだろう。
神がいるなら恨み言を言ってやりたい。
私にどうしろというのか。死ねと、死ぬしかないのだと言われているような気がした。
「リー、プ……!」
終わる世界の中で、私は涙を流した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
私が時を遡った時、置いて来た世界たちはどうなるのだろう。
消えてなくなるのか、存在し続けるのか。
もしも後者であった場合、私の魂が過去に乗り移るだけであって、その世界での私の体は死ぬのかしら。
まあ、そんなことはどうでもいい。
真っ暗になっていた視界が、色を取り戻していく。
ああ、また戻って来た。
戻って来てしまったのだ、この時間に。
何も守れずに、結局は取りこぼして。
情けない。なんと情けないのか。
絶世と呼ばれる美貌を誇り、賢いと誰もが口を揃えて私のことを言った。
もちろん、父親と継母だけは別だけれど、私は完璧な令嬢とさえ言われている。
「……笑ってしまうわ」
失ってばかりの出来損ないのくせに。
自分への嘲笑が、四度目の人生の幕開けとなった。
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