プロローグ
時は太陽暦150年
この日、世界が破滅してしまう程の大きな戦争が起ころうとしていた。この世界に存在する4大種族が自分の種族が世界を支配する為に起こった戦争、即ち終末対戦が始まろうとしていた。
勇者を筆頭にあらゆる能力が平均的に備わっている人間種
三頭竜が従える圧倒的な攻撃力と耐久力を兼ね備えている竜種
悪魔王が支配する膨大な魔素量と魔法技術を持っている悪魔種
ゼウスを崇め付き従う全てを無に帰す神聖力を使う神種
それぞれの種族たちが己が一番だと証明する為に総戦力を掲げ戦争の舞台に向かっていた。
「そろそろ向かうか」
誰に向かって言うでもなく俺は1人で呟く
一つ一つの種族が世界を破滅させる事は不可能だろう。だが、大きな力と大きな力がぶつかった時に起こる衝撃は元の力の何倍にも膨れ上がる。4大種族達の総戦力がぶつかったときの衝撃は世界を破滅させるのには充分だろう。
俺は世界を創り上げた者としてこの世界が無くなることを望まない。故に自分の創造物である種族達を滅ぼして戦争そのものを無くしてしまう事にしたのだ。
そして俺は戦争に向かう者達を全て滅ぼした。
「想像以上に疲れたな」
それぞれの種族に力の2割程度使わなければいけないほど奴らは強かった。
なにより竜種の奴等が思ったより手強くて驚いた。あのままやり合っていたら竜種が勝っていたのは明らかだろう。
「ともあれ苦労して創った世界も無事に済んだことだし力を回復する為に少し眠ることにするか」
完全に回復する為には約1万年ほど眠る必要がありそうだ。
だが一万年も眠ってしまっては今回戦争に参加しなかった者達の末裔が再び戦争を起こさんとするかも知れない。
その危険がある為に俺は万分の一ほどの力を持たせた分身をどこかの種族に千年に一度生まれさせる事にした。
「さて眠るか。ゆっくり眠れると良いんだがな」