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「藤原 武尊」「ヴェルビー・ナァ・ラーバン」

新章、更新いたしました。

  (チャア、聞こえているか?)

(大丈夫、聞こえていますよ)

(チャアの姿が見えないで行動するのは初めてだよな)

(シャトルーズの中にいる時とほぼ同じですよ、でも現地に着いたら服から腕輪が見えないよう気を付けて下さい。それから聞こえているからって喋っては駄目ですよ)

(わかっているよ、一般の異邦人の人夫を装ってるのにフェアリースライムの力を使ったら台無しだしな、しかも名前も偽名だもんな)

アキラは「フェル」の商会の出張所に着くやいなや職員に港の小型のコンテナ船に乗せられ出港させられていた。

(しかし偽名が「タケル」なんてなんで親父と同じ名前にしたのか・・)

(パーナらしいですよね)

(・・だよな)

アキラは首にかかった二つの首飾りを見つめると、次に視線を船室の窓から少し荒れている冬の海に移して次の目的地「ブリーテン」へと気持ちを切り替えていた。



「旦那、作業が終わったんでいよいよ上陸しますんで付いて来て下さい」

ドワーフの船員がアキラを迎えに来た。頷き付いて行くと船員はデッキを降りる途中で更に話しかける。

「港のゲートを無事抜けたら、俺達の仕事はここ迄なんで上手くやって下さい、俺達は明日には出港しますんでそれまでは騒ぎを起こさないで下さいな、頼んますよ」

そう告げると港から外に抜けるゲートの長い列の前まで案内すると船の方に戻って行った。

(・・さてパーナが改良して用意してくれた入出国用魔道具、上手く使えるのかな?)


順番がきてゲートの魔道具に五本の指を突っ込むと目の前のゲートがいつも通り開きアキラは無事、街に入ることが出来ていた。


(・・流石だな、なんか密偵になった気分だ)

(明日迄は、情報収集だけにしましょうね、まずは人が多そうな食堂に入りましょう)

(そうだな、腹ごしらえしよう)

チャアの提案でまず港の大きそうな食堂を探すこととなった。



(これは大きな食堂だな、それにいい臭いがする、・・決めたここにしよう!)

中に入ると「アムス」の街と同様の喧騒と様々な港で働く者が好きそうな料理が並んでいた。

アキラは昔よく食べていた料理の列に並ぶと会計の為に硬貨を出すと、店員が硬貨を取りながら話しかける。

「早くカードを作りなよ、お得だし、すぐに済むからね」

アキラの後ろに並んでいた者達は次々と魔道具にカードを差し込んで料理を貰っていった。

「はいお釣りだよ、次からはカードにしてね」

店員の言葉にうなずくとアキラは料理を受け取りテーブルを捜しながら、そっとチャアに呟く。

(うわー!、チャア、回数券から、もうカードに変わっていたよ!)

(カードが硬貨の代わりになるんですね)

(紙幣を飛び越して、いきなりカードかよ!)

チャアは紙幣の意味を取りかねているようだったが、この世界にはカードゲームはあるようなので何とか翻訳はされているみたいだった。



(異邦人さん達、飛ばし過ぎだよ)

意外な街の変化にアキラは戸惑いを隠せずにいた。




新章となります、どうか本章もよろしくお願いします。


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