「ゼラ・ニィー」「フローレンス・ケイト」(9)
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大変な一日が終わり夕食を済ませ疲れた体を休ませるためにシャトルーズにもたれ仮眠を取っているとチャアがすまなそうに声をかける。
「パーナから連絡が入ってます。会話してください」
「え・・、わかった」
「アキラお久しぶり・・、一度も連絡してもらえなかったけど・・」
パーナの強い口調にアキラは言い訳を考える。
「だってさ、この魔道具距離が遠くなるほど話せる時間が短くなるって聞いてたから迂闊には使えないと思ってとっておいたんだよ」
「長話しない限りそんなにすぐには話せなくならない様に最高級の物を渡してあるのに・・、本当にもう・・」
「探索の方はどうにか三体の希少なゴーレムを捕獲できたので明日には皆で迷宮を出て地上の拠点に向かう予定だよ」
「凄いじゃない、流石ね」
「ありがとう、でも結構苦労は有ったんだよ」
「あの暗黒大陸イグドラシル「アンマ」の地下迷宮で探索しているんだから、・・でこちらの要件は貴方の父親が「わの国」を離れ私達の大陸の西方側に位置するブリーテン諸島に視察に来ているって情報が入ってきたの」
「親父が・・」
「ブリーテン諸島は今「わの国」の造船所の一大拠点になっているの。もし会いに行きたいなら密入国の手配をしておくけど」
「すまない頼むよ」
「わかったわ、「フェル」の商会の出張所で手配できる様に準備しておくわ。本当は一度、王都に帰ってきてほしかったんだけどね」
「パーナ、帰ったら埋め合わせは必ずするよ」
「ホントね、楽しみにしてるからね」
パーナがそう言うと、すまなそうにチャアが会話に割って入ってきて一言。
「次の場所でも魔道具は使わなければならないので、ここらで切らせて頂きますすみません・・」
そう言いながら魔道具の効果を閉じてしまう。
「ごめんなさい、アキュラ。いざという時に使えなかったら大変だから・・」
「仕方がないよ、パーナはもう少し喋りたそうだったけどね」
チャアにそういうと後ろからニィーが傍によってきて話しかけてきた。
「凄く良いものを持っているんだな、今、王都「ウロポロ」のパーナ王女と話していたんだろう」
ニィーが同じ様な首飾りタイプの魔道具を見せる。
「はい、ニィーさんもケイトさんと今日使ってましたよね」
アキラがそう答えると。
「ああ、そんなに長距離では使えないけどな。それ、王族くらいしか持てない希少品だぞ」
「そうなんですか、・・そうでしょうねこの距離で会話できるんですから」
「そうだぞ、俺達が持っている魔道具クラスでも恋人達のあこがれの品物なんだぞ」
「え、恋人同士が使うものなんですか」
「別に用途が決められている訳ではないが、一番の用途は恋人達だよ、離れていても話せるんだからな」
「そうなんですか、俺達のいた世界ではほぼ全員が同じ様な物を皆が持っていましたので・・」
「ケイトにはそう聞いてたから、これを手に入れた時の嬉しそうな顔を今でも思い出すよ」
「その位貴重品なんですね」
「ああ、一度も使ってなかった様子だったからな、上手く使わないと失礼になるぞ」
ニィーの助言にパーナに悪い事をしていたなとその夜、アキラはおおいに猛省することとなった。
次話もどうかよろしくお願いします。
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