古の戒律により呪縛されし王都「ウロポロ」(13)
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「ぜら・あな」商会の裏庭でアキラがいつも通り剣の鍛錬をしているとセグーとジャンニまでが駆け足で現れた。
「やはりこちらでございましたか、明日、ニィー殿、ケイト殿達がこちらに合流するとの事です」
セグーが状況を説明する。
「半年以上お待たせいたしましたが、ついに「アンマ」の迷宮探索を主任務とした外商部隊の発足です」
ジャンニの言葉にアキラは身を乗り出す。
「いよいよですか」
「聖戦士殿が文字通り店の看板になって下さいましたので、遠征費も既に心配ありません」
ジャンニが深く頭を下げ礼を言う。
「いえ、そんなパーナ王女があまり王都を離れる機会が少なかったから、守護者としての公務以外の時間は店の中庭にシャトルーズを立たせていただけですから・・」
「国中の者が新たなる伝説の聖戦士とゴーレムを崇めに来て頂きました。商人は皆潤っていたと思います」
「シャトルーズは神という訳ではないと思うのですが・・」
「ここは古い都です、幼い頃から聖戦士の伝説を皆、聞いて育ったのです。そして女王の守護者になられた・・まさに伝説の再来なのです」
「俺自身は普通の人だと思っているのですが・・」
「本日は休息日とさせて頂きご準備を、明日は新たな商隊の発足の簡単な前祝を行いたいと思います。そして明後日には「ハサン」の国の支店で他の者達と合流して「アンマ」へ向かって頂くことになります」
困り顔のアキラに良いタイミングでセグーがいつも通りの口調で変更された予定をアキラに伝えてくれた。
「アキュラ、久しぶり」
そこには懐かしい顔が有った。
「ケイトさん、そしてニィーさん」
「久しぶりだなアキュラ・・、いや聖戦士殿」
ニィーも久しぶりに見るアキラが少年から青年の顔へと変化している様子を見て感嘆深げに挨拶をした。
そしてその背後に立つ飛行ユニットを装備した二体のゴーレム、更にその後ろに三体のゴーレムを従えていた。
「これは全て商会のゴーレムなんですか?」
「ああ、全ての商会のミスリルゴーレムを「アンマ」へ向かわせる、一大プロジェクトだな」
ケイトが笑いながら説明する。
「ケイトが鬼教官となって俺ともども鍛え上げたんだ、信用してくれて良いと思うぞ」
ニィーも笑いながらケイトを見る。
「鬼教官だなんて・・、日にちが無いからそうなったとは思うけど・・」
むっとした表情でニィーを見つめる。
「とにかく、これからよろしく頼む聖戦士殿」
握手を求めるニィーにアキラは応じながらも答える。
「どうかこれまで通りアキラと呼んでください」
「わかった、商隊内ではアキュラと呼ばさせてもらおう」
二人はあつい握手を交わした。
ニィー率いる「ぜら・あな」商会の外商部隊の冒険の旅が始まろうとしていた。
古の戒律により呪縛されし王都「ウロポロ」の章はここまでとなります。次回から新章に入ります、どうか次章もよろしくお願いします。
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