古の戒律により呪縛されし王都「ウロポロ」(12)
更新いたしました。
「・・・ところで聖戦士の伝説ってどんな話だったんだい?」
たまらずアキラは話題を少し変えるべく質問をしてみた。
「要約すると、恐ろしく巨大な金色の三つ首の魔獣が国を襲い防戦するも、いかなる魔法も退け王都に迫っていた時に「ビル」と共に現れた聖戦士が魔獣を追い払い・・その後、王の娘と結ばれ以降「なぁの国」の守護神となり平和な日々が続きました。・・と言った神話だ」
キラがアキラに神話の説明する。
「え、金色の三つ首の魔獣・・」
「知っているの?」
アキラの呟きにパーナが尋ねる。
「黒い大洋からの帰りに巨大な魔獣同士が闘っている所を見たもんで・・」
「アキラ、何故それを言ってくれてなかったの?」
「御免・・、言いそびれてたよ・・」
「黒い大洋の周りには伝説の魔獣も存在するのね・・」
パーナは溜息をつく。
「ここからはかなり距離があったから、当面は大丈夫だと思うよ」
「やはり、もっとゴーレムの部隊を強化しなければならないな」
トロフが真剣な表情でパーナに進言する。
「「わの国」と違ってミスリルゴーレムを量産する事も出来ないし、国内の迷宮ではゴーレムはそんなに簡単に見つかるはずがないわ。かといって遭遇率の高いが危険な暗黒大陸の地下迷宮を探索するのも容易な事ではないし・・」
「そうだな、ゴーレムの優位性を示したのも異邦人だが・・さらにその異邦人がフェアリースライムに消化される事なく乗り込むことが出来ると分かってからだからな」
「量産するための工房を建設しようにも、かなりのミスリルが既に「わの国」に抑えられてしまっている」
トロフとキラが口々にパーナに問題を提起していると少し考えこんでいたアキラが提案を口にする。
「その問題、「ぜら・あな」商会に任せてみるってどうでしょうか?。俺のいた世界では武器の開発や商品化は民間が行っていました。「アン」商会の行っている様に「ぜら・あな」商会を活用してみたらどうでしょうか?」
「死の商人・・、と言われている「アン」商会と同様に「ぜら・あな」商会も変わってしまうという事よ」
「多分、今は国として動きにくい状況だと感じていましたジャンニさんが何と言われるか分かりませんが・・、そうしていただければ俺が積極的に行動できますし、再び「アンマ」の迷宮を探索する事も出来ると思います」
「考えてみます・・、でも私の個人的な気持ちも少しは考えていて下さいね・・」
悲しそうなパーナの表情にアキラは戸惑いながらも明るく返事をする。
「大丈夫だよ、今のシャトルーズの力なら暗黒大陸からだって半日あればパーナのもとに帰ってこれるから」
その言葉にパーナは気休めでは無くアキラの本心からの気遣いを感じ嬉しそうに頷き微笑んだ。
次話もどうかよろしくお願いします。
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