古の戒律により呪縛されし王都「ウロポロ」(9)
更新いたしました。
「やっぱり、シャトルーズの中の方が落ち着くな」
アキラはチャアに同意を求める。
「一旦、空中分列飛行に入れば人目は気になりませんからね」
チャアが明るい口調で答えてくれる。
王都「ウロポロ」を決められたコースで低空飛行する。王宮の騎士団を従えて編隊飛行を組んではいるが、この状態になればチャアにお任せでアキラのすることはほぼ無い。
「この街はヨーロッパのの古都を飛んでるみたいで美しいな」
「「エィミ国」の都もこの様な感じで美しかったんですよ」
今は「わの国」に侵攻され無くなってしまったかつての都にチャアは思いをはせていた。
「辛い事を思い出させてしまったね」
「いえ、それに私には復讐や敵討ちなどは許されていませんから・・」
「エルフ族の人達は二つの王都を失った・・、この最後の王都は戦火から守り抜きたいよね」
「そうですね・・でも、その願いを壊すのは「わの国」になるのでしょうか?それともあのスライムの創造主達になるのでしょうか?」
「・・、チャア・・、もしかしたらエルフ族の民衆たちによって壊されるのかもしれないよ」
「アキュラのいた世界での歴史ではそうなっていたんですよね」
「そうだ、新しい価値観と新しい文化が王政の時代を終わらせる事となったんだ」
「それは「わの国」が仕掛けている事ですよね」
「無理やり新しい文化を運んできている」
「止められないのですか」
「難しいな、この世界の人々は既に新しい文化を知ってしまっている」
「もう後戻りできないのですね」
「「アムズ」の街でそれは十分すぎるほど感じていたよ」
「何故、この世界の人達は異邦人を召喚し続けているのでしょうか?これはあのスライム達の策略なのでしょうか?」
「何とも言えないよな、例えば俺達が「ハサン」に向かう途中でパーナ女王を助け「アンマ」に飛ばされシャトルーズは真の姿になり「わの国」を視察後、黒い大洋に沈む幻の海底迷宮を探索し帰ってきたって事になっている。ざっくりしていてスライムの事や「わの国」での事は極力秘匿されることになった・・。打つ手が無くて現状維持するしかないって事なんだと思う」
「この国は大丈夫なのかな・・」
「・・、パーナ女王はその中でも最善の方法を模索しているよ、信じよう」
「あ、もうすぐ空中分列飛行は終わりです。次は晩餐会ですね」
「俺にとっては晩餐会こそ打つ手なしだよ・・」
「何とかサポートしますので頑張って下さいね」
チャアの言葉にアキラは心の中で呟き嘆く。
(庶民以外の世界なんて俺はドラマや映画以外では見た事も聞いたことも無いんだぞ!)
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