黒い大洋に沈む幻の大陸「ランディア」の海底迷宮(11)
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「久しぶりに、ゆっくり眠れたよ、魔獣も現れなかったみたいだし・・出発しよう」
アキラが声をかけるとチャアが答える。
「生物が生まれない死の海ですから・・もし現れるとしたら迷宮から漏れ出た魔獣か黒い大洋上空にまで棲息していると言われている伝説のワイバーン種位だと思いますが・・、未知の領域です注意して下さいね」
「伝説のワイバーンか・・どんなのかな?」
「伝説ですから・・、なんでも三つ首のゴーレムの十倍以上の金色の巨体にをしているとか・・、普通のワイバーンでも中々見る事のない魔獣なんですけど・・」
会話が続く中、シャトルーズはどんどんと高度を上げる・・そして。
「あれは、ニューギニア島と・・インドネシアの島々にしか見えないよな・・、やっぱり地形は殆んど俺達の世界と同じ様に見えるよ」
「アキュラが迷わなのであれば向かう方向を教えって下さい、私にはさっぱりです・・」
「そんなに詳しい訳じゃないけど、北に向かってくれないか・・もしかしたら・・」
「分かりました、空気が心配ですのでゆっくりと高度を下げながら北に向かいます」
「頼む、北にあるだろう島をどうしても見ておきたいんだ」
シャトルーズは北へと向かっていった。
「日本だ、形は少し変わっているけど、間違いなく日本だ・・」
陸地を確かめるために再び上昇するシャトルーズの中でアキラは興奮していた。
「アキュラの世界ではここで生活していたのですか?」
「そうだ、建物も草木もないけど・・ここなんだよ、あ、そうか、人の手が加わってないから海岸線の形が違ってたんだ・・、本来の形を見ているんだ・・」
名残惜しそうに自分の住んでいた地域の上空を旋回すると、さらに列島を北上していくと動く稲光の様な光が北海道の東部に見えてきた。
「あまり近づかない方が・・」
チャアが警告を発した。
「あれじゃ怪獣、怪獣映画だよ・・」
巨大な魔獣達が口から光線の様なブレスを吐き闘っていた。
「あの湖は黒くない・・、普通の水の様に見える、そうか・・内陸湖だ、内陸湖が彼等の水飲み場や餌場になっているんだ」
「内陸湖?」
「海と繋がっていない湖の事だよ」
「だから生きていけたのね、伝説は本当だったんだ・・」
アキラの説明にチャアは納得する。
「彼等の邪魔にならない様に海に向かおう、内陸湖のある大陸を通らず北極海ルートで一旦、ヨーロッパへ、いや「ぜら・あな」商会に戻ろう、皆が心配している様な気がするし」
「ええ、方向を指示してください」
嬉しそうに、チャアが答える。
内陸湖を避けシャトルーズは皆の待つヨーロッパへと向かっていった。
「黒い大洋に沈む幻の大陸「ランディア」の海底迷宮」の章はここまでとなります。次回から新章に入ります、どうか次章もよろしくお願いします。
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