黒い大洋に沈む幻の大陸「ランディア」の海底迷宮(10)
更新いたしました。
「明らかに地層が変わったね、天井に氷柱?いや鍾乳石?違うな大理石じゃない」
迷宮の側面に空いていた穴の奥に有った上に続く通路をシャトルーズで探索しながらアキラが呟く。
「シャトルーズが僅かにですが発光してくれていて助かります、・・岩が解けて出来たような感じですね」
チャアが状況分析し答える。
「もしかしたら溶岩洞かもしれない、卵の腐ったような臭いがしないかい?」
「臭いって言われても・・、今の所は毒にあたるものは検出されていません」
「毒は防げるのかい?」
「はい、シャトルーズと私の体内に取り込んでいる空気が尽きるまでの間の時間位でしたら・・」
「どの位?」
「アキュラが働いていた頃のお昼休み位の間でしたら」
「解った進もう、チャア、頼んだよ」
「わかりました、毒が有りそうなのですね」
シャトルーズで探索しながらゆっくりと歩んでいく。
「毒が出てきました、どうしますか?」
「進もう、もう少しは進める引き返せる時間ぎりぎり迄進もう」
「限界ですこれ以上進むと、安全な所まで戻れなくなります!」
「まて、奥が少し明るく感じないか?」
「何かの光が発せられていますね、進みますか?」
「進もう、外に出られるかもしれない、熱にも注意だ」
「はい」
「もう時間が・・あまりありません・・飛びます少しは広くなっているようです、盾での防御よろしくお願いします」
「わかった、可能な限り速度を上げてくれ」
シャトルーズに触れる岩々をアキラは巧みに薄明りの中、両腕の盾であしらいながら飛行方向を制御する。
「出ます、前方に広い空間が有ります・・、出ました・・が真白です霧でしょうか何も見えません」
「チャア、空中で静止しろ、上下は判るか?多分ここは火口だ、上昇する空気の流れが有るはずだ」
「少し待ってください空気の流れを探ります」
暫くたった後にチャアが答える。
「分かりました、上昇します。時間があまりありません」
上昇するシャトルーズの眼下に巨大な火口がその姿を見せた。
「チャア、出たぞ地上だ」
「毒は薄くなりましたが、ここは少し空気が薄いので安全な所まで降下します」
「頼む、青空が眩しいよ」
暫く空中で散策したのち、安全そうな孤島を見つけアキラは久しぶりにシャトルーズを降り休憩していた。
「この後、どうしますか?」
チャアの問いかけにアキラは。
「十分に休憩して、明日の朝までシャトルーズの中で寝ようと思う、ここは危険そうだからね。その後可能な限り上昇する。ここがどこか確認しよう」
「移動はその後ですね」
「本当に大変だったね。ありがとう」
チャアにお礼を言うとチャアは。
「アキュラこそ大変な思いをして・・、今日はゆっくり寝て下さいね」
チャアの言葉が、チャアの存在が今のアキラにとって心の底からありがたかった。
次話もどうぞよろしくお願いします。
もしよろしければ小説家になろうでの、評価、ブックマーク・フォロー、感想などを頂けますと幸いです。