黒い大洋に沈む幻の大陸「ランディア」の海底迷宮(9)
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あれから幾日が経ったのだろうか?、アキラはまともな安全地帯も無く少しの間しかシャトルーズから降りる事が出来ず、水分補給と乾パンの様な物を口に放り込みと再び乗り込み上を目指すという日々が続いていた。
「冒険者が全くいない迷宮がこれほど精神的に辛いとは思わなかったよ」
「未開拓の地ですから・・、どうやらアキラのお父様の侵入した形跡も見当たりませんし、全く別の方角に進んでしまったようですね」
チャアがすまなそうに答える。
「シャトルーズが導いてくれたらありがたいんだが・・、あれから全く反応が無いんだよな~」
「上に向かっている事は間違いありません、とにかく海面より高い場所まで登らなければ安心できません、もう少しですよ」
「明らかに階層ごとの空間が狭くなっているもんな」
「そうですよ、もう少しで沈んだ大陸の頂上にきっと出ます」
攻撃してくる魔獣を払いのけながらシャトルーズは上へと進んでいく。
その頃「なぁの国」の王都「ウロポロ」ではパーナ王女達一行が南のドワーフの国「ハサン」での商談を終え南回りの陸路をゴーレムで飛行し王宮へと戻ってきていた。
「アキラのシャトルーズが暗黒大陸「ベニン」の港町に現れていたって本当なの?」
パーナは文官の報告に執務室で身を乗り出して質問する。
「はい、「ハサン」での積み下ろしの後、予定を変更し「ベニン」に買付けに向かわせた黒船からの報告です」
「それで、無事なの?」
「宿に泊まった記録が有ったとの事です」
執務室内で警護していたトロフもパーナを見つめ声を出す。
「良かった・・、良かったですね」
顔をくしゃくしゃにしながらパーナも頷く。
「ただ・・、黄緑に光り輝く翅をもつゴーレムが街の上空を西に向かって飛んでいったとの目撃情報が有りますので」
文官が申し訳なさそうに言葉を続ける。
「西の大陸へ向かったということですか?」
「多くの者に同じ様に目撃されているとの報告です、今のところはここ迄です」
「ありがとう、仕事に戻って下さい」
文官が退室した後、パーナはトロフに抱き付き涙を流した。
「アキラ・・、生きて・・生きていてくれた」
「アキュラ、転移魔法に巻き込まれどこかに飛ばされたと思っていたが・・生きていたなら何故、北を目指さない」
トロフの言葉にパーナは。
「「わの国」に向かったのでしょうか?」
「何かを確かめるために向かったのかもしれません・・、異邦人に聞かなければならないことが生じたと考えましょう」
「トロフ・・、そうですね・・待ちましょう、彼が再び姿を見せる日を」
アキラに降りかかっている過酷な出来事、その事をパーナ達は知る由もなかった・・。
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