黒い大洋に沈む幻の大陸「ランディア」の海底迷宮(8)
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ショワンウー(玄武)は自室に戻るとバイフー(白虎)と共に魔道具に話しかけていた。
「お呼びでございましょうか、如何なさいましたか?」
呼び出されたエクスペルは神妙な面持ちで答えた。
(エクスペルよ問題が発生した。チンロン(青龍)を受け継いだ男の息子がチーリン(黄麟)を受け継ぎここに現れたのだ)
バイフー(白虎)の言葉にエクスペルは驚き答える。
「フジワラの息子がこの世界に来ていたのですか?しかもフジワラと同様のゴーレムを操っていた?」
エクスペルは更に説明を求めた。
(チーリン(黄麟)は更に特別なゴーレムなのだ、チンロン(青龍)は貴様の野望の役に立つだろうと目をつぶっていたが、チーリン(黄麟)はそういう訳にはいかない)
ショワンウー(玄武)が苦々しく答える。
(息子を決して会わせてはならない、できれば息子だけを始末してチーリン(黄麟)を献上してほしいが、できるか?)
バイフー(白虎)が命令口調で尋ねる。
「わかりました、必ずや献上いたしましょう」
エクスペルが深々と頭を下げる。
(エクスペルよ我々がお前の野望の為に希少なゴーレムや魔道具の改良を手伝っている事をゆめゆめ忘れる事なく励めよ)
大統領室の隣の私室で通信が終わるとエクスペルは「バリキシメト」からの報告書に目を通しながら白髪の頭を掻き一人呟いた。
「フジワラ、すまんな・・私の野望の実現の為だ・・」
わの国の大統領は一つの決断を下していた・・。
アキラは多種多様な魔獣達を払いのけながら上層階を目指していた。
「「アンマ」より随分広そうだよな」
「追手も来ない様ですし通路も狭くなってきましたので、そろそろ飛ぶのを止めてじっくりと道を選びましょう」
チャアの提案にアキラも頷く。
「そうだよな、かなりの距離を飛んだからな」
シャトルーズを着地させゆっくりと迷宮の通路を歩み出させた。
「魔力って地球から地の底から湧き上がっているんだね」
「どうしてですか?」
「大陸を浮上させようとして失敗して、多分地下のマントルにある魔力を利用しようとしたのに失敗して魔力を大量に含んだ黒い大洋を生みだしてしまったなんてさ」
「魔力が強すぎて、魔獣さえも生きられない死の海になってますよ」
「プレートテクトニクスの知識が有ればか・・」
「プレートテクトニクス?、それよりも、知恵のある全ての種族が彼等によってスライムによって作られたって事の方が驚きでしたよ・・」
「全くだね・・、魔力が有るか無いかで、こんなにも世界が変わってしまうんだね・・」
アキラはゴーレムが生み出されなくなったもう一つのイグドラシルの地下迷宮の歴史に、自分たちが居た世界がこんなにも関わりだしている事にその理不尽さと同時に、何も見えてこないが何らかの必然さが合わさっているように感じていた。
本年もどうかこの物語の続きをよろしくお願いします。
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