黒い大洋に沈む幻の大陸「ランディア」の海底迷宮(6)
更新いたしました。
部屋を出て、転送紋のある部屋に移動する途中にもう一度確認の為にアキラは質問した。
(私達の世界、異邦人の召喚を止めてもらう訳にはいかないでしょうか?)
バイフー(白虎)は答える。
(亜人達は、主に兵力と労働力として召喚をしているし、我々はこの世界にはない知識の獲得の為に「異邦人」を欲している。しかし膨大な魔力を必要としているので双方で年間、百人も召喚転移はされていないと思うが・・)
(その人達にも、かけがえのない家族や仲間たちが居たとお考えにはなりませんか?)
(申し訳ないとは思うが、この世界において「異邦人」の扱いとはそういったものだ・・、仮に止めようというものが現れても大多数の意見に飲み込まれていくだろう。この世界で召喚転移の方法が確立してしまったからな)
(その魔力は魔核を使用しているのですか?)
(そうだ、亜人達はゴーレムを使って戦い魔核を大量消費しているみたいだから、暫くは召喚転移は減ってくると思うがな)
(貴方達はどうなんです?)
(私達は数十年かけて一体ずつだ、どうか勘弁してほしい・・人数の減った我々には知識を深めるかけがえのない手段となっているんだ)
(それは、この世界の者達のエゴでしか有りませんよ!)
(君達「異邦人」も同族間や異種族の生命に対してのエゴは止まっていないと聞いているが)
その言葉にアキラははっとする。
(・・その様々な「エゴ」の為にここでは不幸となる異世界人が召喚されるという訳なんですか・・)
この世界の者達は決して召喚をこの先ずっとやめる事はない、だから親父達は戦っているのだろうか?
「シャトルーズ」との出会い・・この出会いは俺に何を求めこの世界で何をなすべきと力を貸してくれているんだろうか?答えなど俺に見いだせるはずもない・・。
(ここだ、君達がアメリカと呼んでいた東側の大陸、そしてヨーロッパと呼んでいた西側の大陸どちらに転移したいかな?)
バイフー(白虎)が尋ねる。
(どんな場所に転移するんですか?)
(今は「わの国」の首都と呼ばれている「WA」の神殿と「なぁの国」の王都「ウロポロ」の神殿となる、勿論一方通行だよ)
(ワシントンですか・・)
アキラは思案しする。
(南米迄はかなり距離もあるし、神殿に現れるとなると間違いなくトラブルになる・・、一旦、「なぁの国」に行った方が良いのかな?)
(「なぁの国」に転移するのかな?)
(直接、シャトルーズで外には出れませんか?)
(出口は無いはずなんだが、君の父親がどこからか降りて来た魔獣達がいる上層階か、どこに繋がっているか出口が有るかもわからない君が現れた最下層の湖だが、もう一度挑戦してみるかい?)
(・・、「なぁの国」でお願いします)
(わかった、行先は神殿だからチーリン(黄麟)は収納してもらえるかな?)
(わかりました。チャア、開いてくれ)
しかし、シャトルーズには何も変化が無い、そしてチャアがさけぶ。
「開きません、シャトルーズが開くのを拒んでいます!」
初めての出来事にアキラは首をひねる。
「なぜだ、シャトルーズ!」
次話もどうぞよろしくお願いします。
もしよろしければ小説家になろうでの、評価、ブックマーク・フォロー、感想などを頂けますと幸いです。




